施設紹介動画の作り方|施設タイプ別の見せ方・撮影の段取り・空撮と複数尺の設計を制作会社が解説

動画制作
公開日:2022年6月3日 / 最終更新日:2026年8月25日
施設紹介動画の作り方|施設タイプ別の見せ方・撮影の段取り・空撮と複数尺の設計を制作会社が解説
桔梗 素直
桔梗 素直 株式会社VIDWEB クリエイティブコミュニケーション部

施設紹介動画は、施設の種類によって見せるものが変わります。オフィスなら働く人の姿、工場なら技術と設備、商業施設なら動線と期待感、医療や福祉の施設なら専門性と安心感。同じ「空間を見せる動画」でも、視聴者が知りたいことがまったく違うからです。

当社が公開している施設紹介の制作事例9件を見ると、9件すべてが会社紹介や採用、ブランディングを兼ねていました。施設だけを見せる動画はありません。また9件のうち4件がドローンの空撮を使っています。

施設紹介動画は、すでに「作る」と決めた方が調べる分野です。当社の検索流入を見ても、その傾向がはっきり出ています。だからこの記事は、検討の入口ではなく、発注前後の実務に重心を置きました。

この記事では、施設タイプ別の見せ方、撮影の段取り、空撮と複数尺の設計、費用と期間を、発注担当者の実務として解説します。

施設紹介動画とは。会社紹介動画との違い

施設紹介動画とは、オフィス、工場、商業施設、医療施設などの空間と、そこでの体験を映像で伝える動画です。写真やパンフレットでは伝わらないスケール感、動線、雰囲気を見せることを目的にします。

会社紹介動画との違いは、答えている問いにあります。会社紹介動画は「何をしている会社か」に、施設紹介動画は「そこがどんな場所か」に答えます。

施設紹介動画と会社紹介動画の違い。会社紹介は何をしている会社かに、施設紹介はそこがどんな場所かに答える

ただし実務では、きれいに分かれません。前述のとおり、当社の事例9件はすべて会社紹介を兼ねています。採用に使われているものが3件、ブランディングを兼ねるものが5件ありました。施設紹介動画は単独で企画されるより、会社紹介や採用の中に「空間を見せるパート」として組み込まれることが多い、というのが実態です。

このことは発注のときに効いてきます。施設紹介として1本作るのか、会社紹介の中に施設のパートを入れるのか。先に決めておくと、撮影で押さえるカットの量が変わります。

なお、学校や大学のキャンパス紹介は、対象者(受験生・保護者・留学生)ごとに設計が変わるため、学校紹介動画を解説した記事で扱っています。

施設のタイプで、見せるものが変わる

当社では施設を4つのタイプに整理して構成を提案しています。それぞれ視聴者が知りたいことが違うためです。

施設タイプ主な視聴者何を見せるか向く表現
オフィス・本社採用候補者、取引先働く人の姿、ワーキングスペース、カフェテリア、福利厚生エリア空撮で外観、実写で働く様子
工場・製造拠点・研究開発施設取引先、技術者設備、生産工程、技術力、品質管理空撮で規模、寄りで工程の細部
ショールーム・商業施設・ホテル・式場来店検討者動線、雰囲気、スタッフ、来店後の体験実写、来場者目線のカメラワーク
医療・福祉・保育利用検討者とその家族、採用候補者専門体制、設備、スタッフの顔、清潔感実写、丁寧な施設案内

医療や福祉の施設は、ほかの3つと設計が大きく変わります。専門医療体制やリハビリ設備といった「その施設ならではの専門価値」を打ち出しながら、同時に利用を検討している家族の不安を解消する必要があるためです。設備のスペックだけを並べても伝わりませんし、雰囲気だけを見せても判断材料になりません。両方を1本に収める構成が求められます。

工場については、機密エリアの扱いや安全の段取りが他業種と大きく違うため、製造業の動画活用を解説した記事で詳しく扱っています。

引きと寄り。空撮をいつ使うか

施設紹介では、広さや雰囲気を伝える引きの映像と、体験の細部を伝える寄りの映像の両方が必要です。どちらか一方では成立しません。引きだけでは「広いことは分かったが、そこで何ができるのか分からない」となり、寄りだけでは「良さそうだが、全体像がつかめない」となります。

施設紹介の引きと寄り。引きで広さと立地、寄りでそこで何が体験できるかを見せる

引きの映像で効くのが空撮です。当社の施設紹介の事例9件のうち4件がドローンを使っていました。空撮を使うと、施設の規模、立地、周辺環境までを一度に見せられます。写真では伝わらない部分です。

ドローンの飛行には航空法に基づく許可と承認が必要で、当社では都市部や工場、プラントでの空撮に対応しています。撮影場所によっては管理者の許諾も必要になるため、発注の段階で撮影したい場所を共有してください。

空撮以外にも、引きの表現には手段があります。当社が制作した帝京大学様の八王子キャンパス施設紹介動画では、朝から夜への時系列を意識した構成にしました。時間の流れを見せることで、広いキャンパスが1日をとおしてどう使われているかが伝わります。桜美林大学様のキャンパス紹介動画では、ドローンとジンバルを使い、場面転換にタイムラプスやフレームイン・アウトを織り交ぜました。切り替えが単調にならないようにするためです。

寄りの映像は、その施設で何が体験できるかを見せます。桜美林大学様の事例では、学生が主体となって運営する食堂やカフェ、イベントを開催できるスペースといった、従来の大学キャンパスと違う部分を丁寧に切り取りました。設備の名前を並べるより、そこで人が動いている様子を見せるほうが伝わります。

撮影の段取り。発注側が準備する6項目

施設紹介の撮影は、スタジオでの撮影と違って、その施設が動いている中で行います。ここでの段取りが仕上がりと日程を大きく左右します。当社の経験でいえば、施設撮影で当日にもめる原因は機材でも天候でもなく、「誰まで映してよいか」が決まっていないことです。

発注の段階で、次の6つを決めておいてください。

施設撮影で発注側が準備する6項目。営業中か休業日か、利用者の映り込み、衛生と動線の制約など

1. 営業中に撮るか、休業日に撮るか

営業中に撮ると自然な様子が撮れますが、利用者が映り込みます。休業日なら自由に撮れますが、人がいない空間はどうしても寂しく見えます。折衷案として、開店前や閉館後にスタッフだけで通常の動作を再現する方法もあります。どの時間帯に何を撮るかを、撮影日を決める前にすり合わせてください。

2. 利用者・患者・園児・入居者の映り込み

医療施設、福祉施設、保育園、商業施設では、第三者が映り込みます。誰の同意を取るのか、取れない場合はどう撮るのか。後ろ姿にする、手元だけを撮る、ぼかしを入れる、撮影エリアを区切って告知するなど、方法はいくつかあります。特に医療と福祉では、利用者本人の同意が取れるかどうかの判断が難しい場合があるため、施設側の判断基準を先に確認しておく必要があります。

3. 衛生と動線の制約

医療施設や食品を扱う施設では、撮影クルーが入れるエリアが限られます。手指消毒、着替え、機材の持ち込み可否、清潔区域と不潔区域の区分。これらは施設ごとにルールが違うため、ロケハンの段階で現場の責任者と確認します。

4. 一度しか撮れない場面があるか

グランドオープンや竣工式のように、やり直しがきかない撮影があります。当社が制作した荒井商事株式会社様の名古屋会場オープンPVは、実際のオープン当日に撮影しました。オープニングセレモニーやテープカットの様子を収めています。こうした撮影では、カメラの台数と配置を事前に固め、撮り直しができない前提で人員を組みます。

5. 他社製品とロゴの映り込み

施設内で使っている他社製の設備、什器、モニターに表示されたソフトウェアの画面。ロゴがそのまま映ると、意図しない宣伝や許諾の問題になることがあります。映してよいもの、隠すものを整理しておいてください。

6. 出演する職員の同意と、退職後の扱い

スタッフに出演してもらう場合、公開範囲と使用期間をどう伝えるかを決めておきます。あわせて、退職した場合に映像をどう扱うかも先に決めてください。施設紹介動画は数年使うことが多く、その間に人は入れ替わります。特定の個人に依存しない構成にしておくと、長く使えます。

1回の撮影から、複数の尺を作る

施設の撮影は、準備にも当日にも手間がかかります。だからこそ、1回の撮影から複数の版を書き出す設計にしておくと、投資が長く効きます。

1回の撮影から複数の尺を作る設計。採用向け3分版・営業向け90秒版・SNS向けの縦型短尺

初期設計の段階で、次のような派生を決めておいてください。

  • 採用向けの3分版:働く人の姿、福利厚生エリア、スタッフの声を厚めに
  • 営業・商談向けの90秒版:設備と規模、実績に絞る
  • SNS向けの短尺:印象的なカットだけを縦型で

後から「短い版も欲しい」となると、素材が足りずに撮り直しになることがあります。逆に最初から派生を見込んでおけば、撮影時に押さえるカットが変わるだけで、追加の撮影費はかかりません。

当社が制作した都立広尾病院様の看護部紹介動画は、新卒学生向けのリクルーティングをメインにしつつ、一般の方にも施設の概要が分かるよう汎用性を持たせた構成にしました。1本で複数の視聴者に対応する設計です。

サーモス株式会社様の会社案内動画では、国内2拠点と直営店に加えてマレーシアの自社工場でも撮影しました。この案件では、会社案内とは別に、魔法びんの生産工程を紹介する動画も制作しています。撮影で得た素材を複数の動画に展開した例です。

VR・360度動画は必要か

施設紹介の相談でよく挙がるのがVRと360度動画です。結論から言うと、多くの場合は必要ありません。当社では補助的なオプションとして位置づけています。

必要になるのは、遠隔地や海外から来訪を検討している人に、来る前の疑似体験を提供したい場合です。オープンキャンパスに参加できない遠方の受験生、現地を見に行けない海外の取引先。こうした相手には、自分で見回せる360度動画が効きます。

一方、Webサイトに置く施設紹介、採用サイトに載せる動画、商談で見せる動画であれば、実写と空撮で十分に伝わります。むしろ編集で見せる順番を設計できる分、伝えたいことが整理された映像になります。360度動画は視聴者が自由に見回せるかわりに、作り手が見せたい順番をコントロールできません。

内部構造を可視化したい場合の3DCGも同様に、補助的に組み合わせる手法として考えてください。

毎年改定して使い続ける

施設紹介動画は、一度作って終わりにするか、定期的に改定するかで運用が変わります。

当社が制作した国際短期大学様の紹介動画は、2020年に第一弾を納品してから毎年改定しています。毎年更新することで、鮮度の高い情報を発信しながら、長期にわたって同じ動画資産を活用し続けられます。

毎年作り直すのが難しい場合は、陳腐化しやすい要素を分離しておく方法があります。設備の名称、収容人数、営業時間、スタッフの人数といった変わりうる情報を映像に焼き込まず、差し替えられるテロップにしておけば、部分的な更新で済みます。

作り直しを検討すべきなのは、次のような場合です。

  • 施設を改装またはリニューアルしたとき
  • 映像の大半を占めるスタッフが退職したとき
  • 提供するサービスや設備が大きく変わったとき
  • ロゴやコーポレートカラーを変更したとき

費用と期間の目安

当社の施設紹介の事例9件では、制作期間は2ヶ月が5件で最も多く、最短は1ヶ月(都立広尾病院様の看護部紹介)、最長は8ヶ月でした。

最長の8ヶ月はサーモス株式会社様の会社案内動画で、国内2拠点と直営店、さらにマレーシアの自社工場を撮影した案件です。期間を押し上げるのは、拠点数と海外撮影です。1拠点で完結する施設紹介であれば、2ヶ月前後が目安になります。

尺は9件すべてが60秒以上でした。施設の全体像と体験の両方を見せる必要があるため、15秒や30秒では収まりにくいのが実情です。短尺が必要な場合は、本編を作ったうえで派生させるほうが確実です。

費用は施設紹介として単独で見積もるより、会社紹介や採用と兼ねる前提で考えるほうが実態に合います。当社が公開している料金相場では、会社紹介・企業案内の動画が50万円から400万円です。金額が動く主な要因は、拠点数、撮影日数、空撮の有無、派生する版の数です。

費用の考え方は動画制作の費用相場を解説した記事、発注から納品までの流れは依頼から納品までの流れを解説した記事で説明しています。

施設紹介動画の事例

当社が制作した施設紹介の動画を、施設タイプ別に紹介します。すべて自社で制作したもので、詳細ページから実際の動画をご覧いただけます。

本社・工場

サーモス株式会社様 会社案内動画は、既存の会社案内をリニューアルした動画です。ブランドの歴史や魔法びんの構造をナレーションで解説しながら、国内2拠点と直営店、マレーシアの自社工場で撮影しました。ブランドが大事にしている価値観を色味や空気感で表現し、パートごとにトーンとテンポを変えることで、長尺でも単調にならない構成にしています。制作期間は8ヶ月です。

会場・商業施設

荒井商事株式会社様 名古屋会場オープンPVは、グランドオープン当日に撮影した動画です。オープニングセレモニーやテープカットの様子を収め、重機が立ち並ぶ様子をジンバルとドローンで撮影しました。海外展開に向けて英語テロップも制作しています。制作期間は2ヶ月です。

医療・福祉施設

都立広尾病院様 看護部紹介動画は、東京都病院経営本部からのご依頼で制作した動画です。新卒学生向けのリクルーティングをメインとしつつ、一般の方にも施設の概要が伝わるよう汎用性を持たせた構成にしました。ホームページとYouTubeで活用されています。制作期間は1ヶ月です。

住居・レジデンス

HmletJapan株式会社様 ブランディング・採用向け動画は、家具家電付き住居を展開する同社の動画です。海外から日本へ移り住む方を主な視聴者として想定し、入居者や社員に出演いただいて、暮らしぶりと人のつながりを描きました。言葉に頼らずとも世界観が伝わる映像表現にしています。制作期間は2ヶ月です。

キャンパス

帝京大学様 八王子キャンパス施設紹介動画は、最新設備を備えた建物を中心にキャンパスを紹介した動画です。朝から夜への時系列を意識した構成にし、広大なキャンパスを訴求するためにドローン撮影を行いました。制作期間は1ヶ月半です。

桜美林大学様 キャンパス紹介動画は、新キャンパスを紹介する動画です。学生が運営する食堂やカフェ、イベントを開催できるスペースなど、従来と異なる施設構成を映像で紹介しました。ドローンとジンバルを活用し、タイムラプスやフレームイン・アウトで場面転換に変化をつけています。制作期間は2ヶ月です。

このほかの施設紹介の事例は施設紹介の動画制作ページからご覧いただけます。

施設紹介動画のよくある質問

施設紹介動画の費用はいくらかかりますか?

施設紹介は会社紹介や採用と兼ねることが多いため、その前提で見積もります。当社の料金相場では、会社紹介・企業案内の動画が50万円から400万円です。拠点数、撮影日数、空撮の有無、派生する版の数で金額が変わります。1拠点で完結する構成なら、期間は2ヶ月前後が目安です。

営業中の施設でも撮影できますか?

できます。ただし利用者の映り込みへの対応を先に決めておく必要があります。開店前や閉館後にスタッフだけで通常の動作を再現する方法、撮影エリアを区切って告知する方法、後ろ姿や手元だけを撮る方法などがあります。どの時間帯に何を撮るかを、撮影日を決める前にすり合わせてください。

患者さんや利用者が映ってもよいのでしょうか?

施設側の判断基準によります。同意を取れる方だけに出演いただく、後ろ姿やぼかしで対応する、スタッフのみで構成するなど、方法は複数あります。医療や福祉の施設では利用者本人の同意取得が難しい場合もあるため、ロケハンの段階で施設の方針を確認したうえで撮り方を設計します。

VRや360度動画は必要ですか?

多くの場合は必要ありません。当社では補助的なオプションと位置づけています。有効なのは、遠方や海外から来訪を検討している人に、来る前の疑似体験を提供したい場合です。Webサイトや採用サイト、商談で見せる用途であれば、実写と空撮のほうが伝えたい順番を設計できる分、伝わりやすくなります。

学校のキャンパス紹介も同じ作り方でよいですか?

基本の考え方は共通ですが、学校は視聴者が受験生、保護者、留学生と分かれるため、対象者ごとに訴求する内容を変える設計が必要になります。詳しくは学校紹介動画を解説した記事をご覧ください。

まとめ:施設タイプと撮影の段取りを先に決める

施設紹介動画の要点は3つです。

1つ目は、施設タイプで見せるものが変わることです。オフィスは働く人、工場は技術と設備、商業施設は動線と期待感、医療福祉は専門価値と安心感。視聴者が知りたいことから逆算してください。

2つ目は、撮影の段取りです。営業中に撮るか、利用者の映り込みをどうするか、衛生と動線の制約、一度しか撮れない場面、他社ロゴ、出演者の同意。この6つを発注の段階で決めておけば、当日に止まりません。

3つ目は、1回の撮影から複数の版を作る設計です。当社の事例は9件すべてが会社紹介や採用を兼ねていました。施設紹介として単独で企画するより、最初から兼用と派生を見込んでおくほうが、投資が長く効きます。

当社は施設紹介の動画制作に対応しており、ドローン空撮を活用した立体的な映像表現に強みがあります。取り組みは施設紹介の動画制作ページにまとめていますので、あわせてご覧ください。学校やキャンパスの紹介は学校紹介動画を解説した記事、工場の撮影は製造業の動画活用を解説した記事、会社紹介との作り分けは会社紹介動画を解説した記事、発注先の選び方は動画制作会社の選び方を解説した記事で解説しています。

桔梗 素直
桔梗 素直 株式会社VIDWEB クリエイティブコミュニケーション部

大学卒業後大手保険代理店に5年間勤務。その後動画市場の将来性を感じ、オンラインスクールにて動画マーケティングや制作方法を学び、VIDWEBへ入社。丁寧親切且つ的確なコンサルテーションと提案に定評があり、クライアントが動画制作によって抱えている課題を親身になって日々解決している。

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