音楽業界やエンタメ業界は、長引く自粛生活で作品を披露する場が減ったことをきっかけに、インターネット上で動画を活用することが活発化しています。
本コラムでは、音楽業界・エンタメ業界が動画を上手に活用する方法と成功事例をあわせて紹介していきます。
動画の活用を検討しているが、
- どんなシーンで動画を活用すれば良いのかわからない
- どんな動画が効果的なのかわからない
とお悩みの音楽業界・エンタメ業界の方はぜひ参考にしてください。
ライブエンターテイメントのオンライン化・無観客ライブ
音楽業界・エンタメ業界にとって大きな収入源のひとつであるライブやイベント活動ですが、2020年は新型コロナウィルスの影響でオフラインの活動を軒並み中止せざるを得ない状況となりました。
そこで音楽業界・エンタメ業界が注目したのが、オンラインライブや無観客ライブの配信です。
ライブ映像の録画を配信したり、無観客で行われているライブ映像をリアルタイムで配信することで、ライブによる収入を確保することができます。
株式会社クロス・マーケティングが行った「オンライン配信に関する調査」によると、好きなミュージシャンのオンラインライブに参加したいと答えた人は全体の約52.2%で、半数以上の人がオンラインライブに前向きな感情を持っていることがわかりました。
オンラインライブの参加意欲が一番高かったのは20代で、普段からYouTubeやTikTokなどの動画SNSをよく利用する世代に受け入れられていることが伺えます。
そんなオンラインライブの需要を見越してか、これまでネット上で音楽配信を一切行ってこなかったジャニーズがライブ配信を始めたり、公演中止となったライブを無観客ライブとして行うことを発表して話題となりました。
では、30代、40代はオンラインライブの参加に消極的なのかといえばそうとは限りません。40代50代のファンが多いサザンオールスターズが2020年6月25日に行った無観客ライブは、約50万人以上がライブを視聴し成功を収めています。
そのほかにもゆずやOfficial髭男dismなど、多くの有名アーティストがオンラインライブの配信を行っており、今後新たなライブエンターテイメントのあり方としてオンラインライブが定着していくことが予想されます。
音楽プロモーションの場としての「TikTok」
音楽プロモーションと相性が良いのが、動画にBGMをつけて投稿できるTikTokです。多くのユーザーにBGMとして楽曲を使ってもらうことができれば認知の拡大につながります。
TikTokで発生する流行は、ユーザーの自発的な楽曲使用によって起こるため、アーティストの知名度やファンの数はあまり関係ないのが特徴です。そのため、リズムに合わせて踊りたくなるような楽曲や、思わず口ずさんでしまうような印象深い楽曲であれば、アーティストの知名度に関わらず楽曲が流行する可能性が高くなります。
BGMとして人気を集めた楽曲は、TikTokの外でもヒットしやすく、その代表例が倖田來未の「め組のひと」です。「め組のひと」はTikTokで流行したことで、LINE MUSICのデイリーランキング1位を獲得し、Apple musicのミュージックビデオランキングで2位を獲得するなど音楽チャートの上位にランクインしています。
活用事例:きゃりーぱみゅぱみゅの新曲プロモーション
@kyary_offcial
一緒に踊ってみてね!デュエットも嬉しいな〜😚##かまいたち ##この糸は切れない ##おうちASOBI
きゃりーぱみゅぱみゅの新曲「かまいたち」のプロモーションビデオです。
自身の新曲に合わせて踊るというTikTokにマッチしたプロモーションビデオとなっており、リリースから5か月で約16,400本の動画に楽曲が使用されています。
きゃりーぱみゅぱみゅは楽曲プロモーション用の公式アカウントとは別に、プライベート感の強い「素の自分」を発信している個人アカウントも運用しており、適切に使い分けることでユーザーエンゲージメントを高めています。
芸人がネタを披露する場としての「YouTubeチャンネルの運営」
次はお笑い芸人の動画活用事例についても見ていきましょう。
最近は、新たなネタ披露の場としてYouTubeを活用している芸人も多く、中には登録者数が200万人以上のチャンネルもあります。
芸人がYouTubeチャンネルを運用するメリットはたくさんありますが、主なメリットは下記の3点です。
- 長尺コントでも見てもらいやすい
- 幅広い層のファンを獲得できる
- 再ブレイクする可能性がある
テレビでは放送時間の関係上なかなか長尺コントを披露することができませんが、YouTubeは動画時間の制限がないため、長尺コントを得意としている芸人にはうってつけです。
さらに、コントを披露するだけでなく、趣味やプライベートな一面なども動画上で公開することで、これまで芸人のことを知らなかった人にも動画が届く可能性も高くなり、幅広い層のファン獲得や再ブレイクにつながります。
例えばお笑い芸人のヒロシが運営する「ヒロシちゃんねる」は、趣味であるソロキャンプについての動画を投稿し、キャンプ愛好者やキャンプに興味のある人たちから支持され登録者が97万人にも達しています。
活用事例:コンビ芸人の「チョコレートプラネットチャンネル」
お笑いコンビ・チョコレートプラネットが、瑛人の「香水」を歌っている動画です。
YouTubeでは度々「〇〇してみた」という動画が流行ることがあり、その流行りに乗ることで知名度があまりないYouTubeチャンネルであっても多くの人に見てもらえる可能性が高くなります。
チョコレートプラネットのこの動画は、流行りに乗って歌うだけでなく、バックダンサーの踊りをIKKOのものまねで再現しオリジナリティを加えています。動画は3,000万回近く再生されており、この動画をきっかけとしてその他の動画も再生回数を伸ばしています。
モバイルゲーム向けの動画広告「アプリインストール広告」
最後にモバイルゲーム業界における動画活用の事例についてもご紹介します。
モバイルゲームのインストール促進には、YouTube広告の一つである「アプリインストール動画広告」が有効です。
株式会社 CyberZが行った「ゲーム動画広告視聴後のアプリインストール率」によると、59.8%の人が動画広告の視聴直後に対象ゲームをインストールしたことがあると答えており、アプリインストール動画広告のコンバージョン率が高いことが伺えます。
アプリインストール動画広告は、CTA(コールトゥアクション)からApp StoreやGoogle Playに直接アクセスできるためユーザビリティに優れているという特徴があります。
モバイルゲームのアプリインストール広告の制作ポイントは下記の通りです。
- 世界観を伝える
- プレイヤー目線で利用シーンを伝える
ユーザーは世界観やプレイ方法が自分の好みと合っているかを動画で瞬時に判断します。動画広告で世界観を表現したり実際に操作しているシーンを見せることで、ユーザーは具体的なゲームの内容をイメージしやすくなるため、アプリインストールを促進させる効果が期待できます。
SNSとの組合せが重要
音楽業界やエンタメ業界は娯楽性が高いため、すきま時間に見られることの多いYouTubeやSNSは相性が良い媒体と言えるでしょう。
現在多くのアーティストたちがYouTubeやSNSで動画を投稿し、表現の場を増やすことに成功しています。YouTubeやSNSで動画を活用しないのはもったいないですね。