教育業界で動画を活用する2つの目的と事例紹介

活用事例
公開日:2020年8月24日 / 最終更新日:2024年12月17日
教育業界で動画を活用する2つの目的と事例紹介
監修者紹介
小澤信人
小澤信人 プロデューサー

これまで、都心の学校や大手学習塾以外の教育業界では、動画の活用はそれほど進んでいませんでした。

しかし、新型コロナウイルスの影響で多くの地方学校や小規模な塾までもがオンライン学習やサービスPRなどの目的で動画の活用に乗り出しています。

本コラムでは、教育業界の代表的な動画活用シーンである

  • オンライン学習
  • サービスPR

について、特徴やポイントを事例を交えて紹介していきます。

動画活用を検討中の教育業界の方で、

  • どのように動画を活用したら良いのかわからない
  • どのような動画をつくれば効果があるのかわからない

とお悩みの方はぜひ参考にしてください。

オンライン学習における動画活用

一口にオンライン学習といっても、

  • 学校(小中高大)
  • 学習塾・予備校
  • 通信制大学

など、教育現場によって効果的な動画の活用方法は変わります。ここではそれぞれの動画活用法と事例を紹介していきます。

学校でのオンライン学習活用法

遠隔教育の推進について

学校でのオンライン学習は、遠隔授業オンライン授業の2種類があります。

引用:遠隔教育の推進について(文部科学省)

遠隔授業は、

  • 合同授業型
  • 教師支援型
  • 教科・科目充実型

の3つに分類されていますが、どれも生徒たちが学校に登校して教師主導で授業を受けるのが特徴です。

地方と都心の教育レベルは開いてしまいがちですが、遠隔で教室を繋ぎ授業をすることで、教育の差を埋め学生全体の学力アップに繋がります。

オンライン授業は、教師が教室での授業風景をリアルタイムで自宅にいる生徒に配信するもので、教師1人だけが教室に行き、生徒は在宅で授業を受けるのが特徴です。

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、分散登校に切り替えている学校もありますが、登校組の授業の映像を在宅中の生徒に配信することで、効率的にすべての生徒が同じ授業を受けることができます。

学校がオンライン学習を活用するメリット

  • 遠隔授業で都心と地方の学力の偏りを解消することができる
  • 感染症の流行で休校や学級閉鎖となってもオンライン授業で学力低下を防ぐことができる

事例:岡山中学校・岡山高等学校

岡山中学校・岡山高等学校のオンライン授業の様子を映した動画です。Zoomを使って教師が教室から授業を行っています。

教師と生徒がお互いのカメラをオンにして黒板を使いながら授業を進める教師もいれば、情報共有ツールで資料を共有し黒板は使わない教師もいます。

お互いのカメラをオンにして行うオンライン授業では、生徒の様子を見ながら授業を進めることができ、普段通りコミュニケーションを取ることができます。

生徒のカメラをオフにして行う場合、生徒はチャット機能で質問や受け答えができるため、普段はなかなか発言ができないという生徒でも積極的に授業に参加してもらいやすくなります。

塾や予備校でのオンライン学習活用法

全国学習塾協会が実施したオンライン授業に関するアンケートによると、塾のオンライン授業の導入割合は53.9%。導入予定と答えた事業は21.1%、検討中と答えたのは18.4%とほぼすべての塾や予備校がオンライン授業へ関心を示しているという調査結果が出ています(2020年4月時点)。
引用:オンライン授業に関するアンケート調査結果について(全国学習塾協会)

塾や予備校でのオンライン学習は、

  • リアルタイムのライブ配信形式
  • 録画したものを配信するオンデマンド形式

の2種類があります。

ライブ配信形式による授業は、生徒の進捗状況を確認しながら授業を進めたり、生徒からの質問にその場で答えられるため対面での授業とほぼ変わらない状態で授業ができるのが特徴です。

オンデマンド形式による授業は、録画した授業を配信し、生徒は自分の都合のいい時間に授業を受けられるという特徴があります。配信した授業動画は、何度も見返すことができるため苦手分野を克服することにも繋がるはずです。

しかし、オンデマンド形式の授業はライブ配信形式と違い、その場で講師に質問できないというデメリットがあるため、メールやチャットなどで生徒へのフォローが必要です。

配信形式塾や予備校でオンライン学習を活用するメリット
ライブ配信形式
  • 生徒の様子を確認しながら授業を進められるため、生徒がおいてけぼりにならない
  • 生徒はわからないところをリアルタイムで質問できるため、効率的に学習できる
オンデマンド形式
  • 動画は1度作れば基本的には何年も使えるため費用対効果が高い
  • 少ない講師で授業をまわせるため人件費の削減につながる
  • 法令改正で動画内容が古くなっても、テロップやメモの追加で改訂可能
  • 生徒はわからないところがあれば繰り返し見返すことで理解度が増し、結果的に成績アップが期待できる

事例:秀英予備校

秀英予備校による英語のオンライン学習動画(オンデマンド形式)です。

冒頭で英単語とその意味を表にしたスライドが出てきますが、生徒はスクリーンショットで画像として保存することで、確認や復習がしやすくなります。

通信制大学での講義動画

通信制大学は動画による授業を前提とした大学です。そのためオンラインでの講義動画はもちろん、ほかの生徒とのディスカッションや単位認定試験もオンライン上で完結できる通信大学もあります。

講義動画は録画したものを配信するオンデマンド形式です。生徒は講義動画をダウンロードして自分の好きなタイミングで講義を受けられるため、働きながら学ぶことができます。

動画を導入している日本国内の主要な通信制大学

  • 東京通信大学
  • サイバー大学
  • 放送大学
  • 八洲学園大学

など

サービスPRにおける動画活用

少子化が進み、教育業界での生徒数確保は年々厳しくなってきていますが、そこで活躍するのがサービスのPR動画です。

インターネットがここまで普及する以前、教育業界ではパンフレットを活用したPRが主流でした。しかし情報収集がスマホ1つで簡単にできるようになってからは、動画を活用したサービスPRに注目が集まっています。

サービスPR動画の最終目的は生徒数確保(集客)ですが、いくらPRをしても見てもらえなければ意味がありません。
動画広告の効果的な運用や、興味を持ってもらいやすい動画の構成や企画が重要です。

教育業界のPR動画は学生だけではなく保護者も見ることを想定し、「安心して子供を通わせられる」というイメージを与える動画にすることで、より高い集客効果が期待できます。

事例:成城大学様

https://vidweb.co.jp/work/seijo/

VIDWEBで制作させていただいた成城大学様の国際交流PR動画です。

学生が流暢な英語で会話を楽しんでいる構成となっており、「成城大学に入学して国際交流や英語でのコミュニケーションをしている自分」を意識してもらえるようにしました。

動画全体の雰囲気は、気軽に見てもらえるようにポップなデザインにしています。

教育業界は積極的に動画を活用するべき

高校教員の学習・進路対応調査


引用:株式会社旺文社
2020年3月以降、新型コロナウイルスにより多くの学校が分散登校や休校措置を取りました。そこで2020年5月に、株式会社旺文社が旺文社高大コネクトサービス会員である全国の高校教師を対象にアンケートを実施。

「休校に伴い学習のオンライン化に取り組んでいますか」という問いに対し、

  • 51.1%が休校後に実施
  • 21.1%が今後実施予定

と答えています。

教育業界での中でも、塾や予備校などはPR動画やオンライン学習を早くから実施していましたが、学校は動画の活用にどちらかと言えば消極的でした。

しかし、上記のアンケート結果を見ると休校後にオンライン学習を考えている高校教師が半数以上もいることや、実際にオンライン学習をしてみてメリットの多さに気づくことで、今後益々教育業界での動画活用が活発になっていくことが予想されます。

教育業界における動画活用法は色々ありますが、全ての子供が水準の高い授業を受けることができるよう、どんどん動画を活用していくべきではないでしょうか。

監修者紹介
小澤信人
小澤信人 プロデューサー

大学卒業後、テレビ番組制作会社、CM制作会社、WEB動画制作会社を経て現在に至る。金融、不動産、IT、製造、小売などで業界を問わず、1500本以上の動画制作に携わる。動画のほかweb、紙面、イベントなど様々な媒体を駆使してコンサルティングの観点からクライアントの課題を解決する。プロデューサー業務のほか、ディレクター、カメラマン、エディター業務を兼ね、若手クリエイターの教育にも尽力している。

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