動画を活用しDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する方法

動画マーケティング
公開日:2021年9月30日 / 最終更新日:2023年11月22日
動画を活用しDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する方法
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VIDWEBコラム編集部
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近年ビジネスシーンにおいて「DX」というワードを耳にすることが増えてきました。すべての企業に当てはまる課題なので、すでに多くの予備知識を持っているビジネスパーソンがいる一方で、曖昧な理解のまま漠然としたイメージでDXを捉え何から始めれば良いか分からないという方も少なくないと考えられます。

DXを推進していく上で、取り組みやすい施策の一つに動画があります。今回は、基本知識をおさらいしながら、動画を活用してDXを推進する方法や成功事例などについて詳しく解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の基本知識

まずは、DXの基本知識について再確認しておきましょう。

DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略語で「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」であると定義されています。2004年にイギリスで開催された情報処理国際連合(IFIP)のカンファレンスにおいて、スウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏が「Information Technology and The Good Life」という論文の中で初めて提唱した比較的新しい概念です。

論文のタイトルからも分かる通りもともとはビジネス領域の専門用語ではなく、DXはIoTやAIと同様に、IT革命の次に来る第4次産業革命を象徴するような事象の一つとして捉えられることもあります。経済産業省は、「DX推進ガイドライン」において「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

DXとIT化(デジタル化)の違い

データベースのデジタル化など部分的にデジタル化を進めることをデジタイゼーション、業務やサービス提供など企業内の全工程をデジタル化する取り組みをデジタライゼーションと呼びます。両者はIT化(デジタル化)という言葉で一括にされて語られることも多くあります。

一方で、DXとは一企業におけるデジタル化の実践といった技術的な事象を指すのではなく、業界全体のビジネスモデルを変えたり、ひいては社会全体の構造をも変えるようなイノベーション(技術革新)まで含めた概念です。日本では、IT化への取り組みもDXの一部であると捉えられることも多いのですが、本来のDXは技術革新的な要素を持ち合わせているということをしっかりと覚えておきましょう。

企業の課題とDXで動画を活用する意義

次に、数多くある施策の中で、なぜ動画の活用をおすすめするのかを解説します。

DX推進で多くの日本企業が抱える課題

経済産業省は、『DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開』という資料の中で、企業のDXが進まなければ2025年以降、最大で12兆円の経済損失が生じる可能性があると報告しています。

参考URL:経済産業省『DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開』

このレポートにおいて多くの日本企業が抱える課題とされているのは、既存の基幹システムやサービスがレガシーシステム(過去の技術や仕組みで構築されている旧式の基幹業務システム)になるという問題です。「2025年の崖」という言葉が使われているのは、システムの運用や管理が困難な状況に追い込まれるのが2025年頃であるという同省からの警告的な意味合いがあるからです。また、新卒一斉採用や終身雇用といった日本的な雇用システムが限界に近づくにつれて、次世代を担うIT人材不足も問題になってきており、喫緊に解決しなければいけない社会全体の課題としてDXが注目されているのです。

動画を活用するメリット

複数あるDX推進の施策の中から動画を活用していくメリットには以下のようなものがあります。

  1. テキストや静止画像に比べて伝えられる情報量が圧倒的に多い
  2. 商品・サービスやブランドの世界観を具体的に表現することができる
  3. ユーザーの属性を分析・測定できるので狙った顧客ターゲットへ適正な情報を届けることが可能
  4. YouTube、Instagram、TikTokなどの動画投稿プラットフォームやSNSを利用することで低予算での導入が可能

これらのメリットに加えて、高速回線が整備されモバイル端末における動画の視聴環境も整ってきたことも動画の活用をおすすめする理由です。また、今後も5Gの普及によって、動画を閲覧しやすい環境は着実に強化されていくと考えられます。

動画を制作するという側面でも、便利な動画編集ツールが数多く提供され、動画クリエイターの人口も増加しています。以前は動画制作に専門的なスキルや特別なツールが必要でしたが、現在は誰でも動画を使った情報配信が可能になってきました。そうした流れに伴って高額だった動画制作費用も、小規模な企業でも十分導入可能な範囲になってきています。さらに、動画画面をユーザーが自由に動かしたり、動画で双方向のコミュニケーションを図る技術も開発されています。加えて、2020年から始まった新型コロナウイルスの流行は、リモートワークやオンライン授業などの普及に大きな影響を与え、その中で動画制作の需要も高まっているのです。

動画でDXを推進する方法とポイント

ここでは、動画でDXを推進する上で押さえておきたいポイントと、その具体的な実践方法について解説します。

DX動画でユーザー視点の新しい価値を生む

DXを推進していく上で、より重要になってくるのがユーザー側の視点に立った変革です。特に商品やサービスの購入に至るまでのプロセス、購入後のアフターフォローサービスも含めたCX(カスタマー・エクスペリエンス:顧客体験価値)を改善・向上していくことが重要な取り組みの一つです。

IT化が進む社会の中でCXの質を向上させるために必須となるのが、コミュニケーションのデジタル化です。動画制作においても「インタラクティブ動画」に代表されるような双方向のコミュニケーションを可能にする最新技術が開発され、すでに多くの企業で導入されています。インタラクティブ動画とは、ユーザーが操作できる仕掛けを組み込んだ動画です。インタラクティブ動画の他にも、今までは実店舗に訪れないとリアルな体験ができなかった商品・サービスが、360度動画やVR動画といった最新の技術によってインターネットを通じた疑似体験を可能にしています。

コロナ禍の「巣ごもり需要」によって、中国のライブコマース市場が急速に拡大したことも記憶に新しいですが、ライブコマースにおいても動画配信の技術が重要になってきています。近い未来に、3D映像も楽しめるテレビやPC端末が一般の市場に広がっていくことも予想されます。仮想現実がより現実に近づいていく中で、最も注目されているコンテンツが動画なのです。

DX動画で業務オペレーションの課題を解決する

コロナ禍が続く中、学校教育の現場だけでなく、受験・資格業界や英会話スクール、プログラミングスクールといった社会教育のマーケットでも、多くの企業が動画を使ったオンラインスクールへとビジネスモデルの転換を余儀なくされました。一方で、こうした動画を使ったスクールやオンラインサロンビジネスの興隆は、教育関連事業の抱える課題を解決する糸口になる可能性も秘めています。例えば、施設の賃貸料や人件費などを抑えるだけでなく、今までは近くにスクールがなくて入会できなかった地方在住者や、講座が開講されている時間帯には受講できなかった多忙なビジネスパーソンなどにも顧客層が広がりました。しかし、単に動画を配信するだけでは競合他社との差別化はできません。講師に気軽に質問できるといったコミュニケーション部分も含めたDXを図ることで、各社顧客満足度を高めているのです。

ある程度コストをかけて、著名なタレントや動画クリエイターを使ったTVCMのような高品質な動画を作ることも一つの手法ですが、採用動画やBtoBのサービス導入事例紹介動画などは、実際に現場で働くビジネスパーソンに焦点を当てたり、インタビューで率直な感想を述べてもらったりするなどの手法を活用することで非常に訴求効果の高いコンテンツになり得るのです。

DX動画制作を担える人材を確保する

動画を使ってDXを推進していく上で、必要不可欠なのが人材の確保・育成です。経済産業省の「DX推進ガイドライン」においても、「デジタル技術やデータ活用に精通した人材を育成・確保」すること、「各業務部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取り組みをリードする人材、その実行を担っていく人材の育成・確保」することであると定義されています。

この定義に動画制作という要素を加味すると、必ずしも動画制作の人材確保とはインハウスの動画クリエイターを育成・確保することではないということがわかります。最も重要なのは、デジタル技術やデータ活用に精通し、分析ツールなどを駆使して各部門の戦略を立て実行できる人材の育成・確保です。

実際の動画制作については、フリーランスの動画クリエイターエンジニア、動画制作会社など外部の人材を利用する企業も数多くあります。これら制作部門の人材を選定する上でも、動画マーケティングを含めたデジタル技術やデータ活用に精通した人材が必要になってきます。

DX動画でビジネスモデルを変革し業界全体をリードする

前述したように本来DXとは、ビジネスモデルや社会構造をも変革していくイノベーションです。つまり、他社のやり方に追随するだけではDXを達成することはできないのです。自社の強みを活かした独自のサービスを提供できるかという点がより重要になってくるので、若い世代の意見を取り入れたり現場からのアイデアを積極的に施策に取り入れる社内環境づくりも大切なのです。

DX動画成功事例

ここからは、動画を活用してDXを推進した成功事例を紹介します。

NETFLIX

引用:WIREMAX  showcase

NETFLIXのオリジナルコンテンツとして制作された作品を紹介する動画です。この動画は、画面に表示される赤い文字をクリック・タップすると、登場人物のプロフィールや、BGMのアーティスト情報、作品内で登場する商品の購入ボタンなど、関連した別シーンの動画がポップアップ表示されるインタラクティブ動画になっています。

IKEA

引用:WIREMAX  showcase

IKEAでは家具の宣伝にインタラクティブ動画を制作しています。映像内にショッピングサイトの商品ページへ移行するリンクが貼られています。動画に映っている家具やインテリア雑貨を画面でクリックすると、商品の詳細を確認したり、カートに商品を入れ購入したりすることが可能になっているのです。インタラクティブ動画の先駆的な事例であるとともに、どこにでもある日常として描かれた同性カップルのストーリーは若い世代を中心に多くの共感を呼び企業のブランディングにも一役買っています。

家庭教師のトライ

家庭教師のトライ

引用:家庭教師のトライ「Try IT」

家庭教師のトライが中学生・高校生向けに無料で提供している「Try IT」という動画を使った映像授業サービスです。無料で提供されているサービスですが、ユーザー数は全世界で100万人を超え潜在顧客や見込み客の発掘にも貢献しています。また、スマホを振ることによって1回500円で家庭教師に質問できる機能が搭載されており、しっかりと収益面もカバーされています。加えて、教育の地域格差や経済格差の解消といった社会貢献にも寄与するサービスであることから、保護者や教育関係者からも高い評価を得ています。

Google Japan

Googleの広告出稿サービスである「Google Adwords(現在はGoogle広告という名称のサービス)」を、導入事例で紹介したPR動画です。「一風堂」「レンタルバイク スズキ」「ホテルモントレ」という業種も事業規模も異なる3つの事例を、約1分40秒で紹介しています。テキストによる情報量を極力コンパクトにし、担当者のインタビューに各企業のイメージを重ね合わせることで、コンテンツの長さ以上の情報を伝えることに成功しています。会議やプレゼンで流すPR動画としても最適なボリュームになっています。

SmartHR

クラウド型の人事・労務管理のサービスを提供するSmartHRでは、著名なタレントを使った動画広告の他に、サービスを紹介する動画、サービス導入事例を紹介する動画などを作成しています。YouTubeチャンネルで配信するだけでなく、自社のサービスページに機能の使い方を解説する動画が埋め込まれているので、ユーザーは動画から利用方法を簡単に学ぶことが可能です。

まとめ

イノベーションは、一朝一夕で起こるものではありません。データや様々な部門で得られた知見が日々積み重ねられることによって、新しいアイデアやソリューションが生まれます。動画の企画や戦略を練る会議も重要ですが、まずは実際に動画コンテンツを制作した上で、データを測定しユーザーの反応を分析にかけるといった取り組みが重要になります。また、動画制作の実績を重ねてゆくことで、コンテンツ制作のノウハウも蓄積されていきます。

DXを推進するにあたって動画が持つ可能性というのは無限にあります。今回紹介した方法や事例は、あくまで一例に過ぎません。予算がなくて、なかなか動画制作に踏み切れないといった状況でも、新たな機材等は必要なくスマートフォンのカメラ撮影でも十分に対応できるSNS動画などは、導入しやすい動画施策の一つです。本記事を参考にして、自社の目的や環境にあった動画を活用しDX推進に役立ててみてください。

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