YouTubeショート動画広告の出し方と、成果を分ける縦型クリエイティブの作り方

動画マーケティング
公開日:2025年2月14日 / 最終更新日:2026年9月4日
YouTubeショート動画広告の出し方と、成果を分ける縦型クリエイティブの作り方
山畑 達也
山畑 達也 株式会社VIDWEB 代表取締役社長

YouTubeショートに広告を出すこと自体は、それほど難しくありません。Google広告の管理画面でキャンペーンを作り、縦型の動画を用意すれば配信は始まります。

難しいのはその先です。ショート動画は指一本のスワイプで次へ送られる場所なので、流す動画が周囲のコンテンツから浮いていれば、そのまま飛ばされます。同じ予算をかけても、動画の作り方で結果が変わるのがこの面の特徴です。

この記事では、YouTubeショート動画広告の仕様と出し方を最新の公式情報にもとづいて整理したうえで、成果を分ける縦型クリエイティブの設計についてお伝えします。あわせて、私たちが同じサービスの広告を訴求の切り口を変えて4本制作した事例から、ショート広告の考え方をご紹介します。

ショート広告は「出し方」より「何を流すか」で差がつく

YouTubeショート広告を検討するとき、多くの方が最初に調べるのは出稿の手順だと思います。ただ、実際に成果を分けるのは手順ではなく、そこに流す動画です。

理由は、ショート動画を見ている人の状態にあります。ショートフィードは、次から次へと短い動画が流れてくる場所です。視聴者の多くは、検索のように能動的に何かを探しているというより、流れてくるものを眺めています。ここに、明らかに広告然とした動画が挟まれば、内容を認識される前にスワイプされます。

Googleも、ショート広告について「他のオーガニックコンテンツになじませる」ことを推奨しています。広告として目立たせるのではなく、周囲の動画と並んでも違和感のない見え方にする、という考え方です。

つまりショート広告で問われるのは、広告の運用技術より先に、縦型の画面で最初の数秒に何を見せるかという制作の設計です。この記事の後半では、そこを重点的に扱います。

YouTubeショート動画広告の基礎

ショート広告の尺と表示のタイミング。3分までアップロードできてもショートフィードで流れるのは最初の60秒であることを示した図

まず、仕様と仕組みを整理します。ここに書いた内容は、Google広告ヘルプ「YouTube ショートの広告: アセットの仕様とベスト プラクティス」で公開されている情報にもとづいています。

YouTubeショート動画広告とは

YouTubeショート動画広告とは、YouTubeショートのフィード内に配信される動画広告です。視聴者がショート動画を次々と送っていく途中に表示されます。

配信する動画は、あらかじめYouTubeにアップロードしておく必要があります。公開でも限定公開でも構いません。

尺と表示のルール

ショート広告で最も誤解が多いのが尺です。仕様は次のようになっています。

項目内容
広告動画の最大の長さ3分
ショートフィードで再生される長さ最初の60秒のみ
50秒時点の挙動オーバーレイが表示され、視聴者は動画再生ページで続きを視聴できる
推奨の長さ60秒未満

3分までアップロードできますが、ショートフィードで流れるのは最初の60秒だけです。60秒を超える動画を作っても、その先を見てもらうには視聴者が別のページへ移動する必要があります。実質的には60秒以内で完結させる前提で考えてください。

キャンペーンの目的別には、次の尺が推奨されています。

キャンペーンの種類推奨の尺
行動を促す広告10〜30秒
動画リーチキャンペーン6〜60秒
アプリ、P-MAXなどその他のキャンペーン10〜60秒

アスペクト比

縦向き(9:16)の動画が推奨されています。Googleは、縦向きのほうが横向きのアセットよりパフォーマンスが高くなるとしており、ブランドキャンペーンのショート広告では縦向き動画が優先されます。

横向きとスクエアのアセットもサポートされていますが、横向きの動画を使うと、縦のショート画面では上下がぼかされて表示されます。手元に横向きの素材しかない場合は、Google広告の動画拡張機能を使って縦向きアセットを生成することもできます。

CTAボタンが表示されるタイミング

行動を促すフレーズ(CTA)のボタンが表示されるタイミングは、キャンペーンによって異なります。公式ヘルプでは、次の5つのキャンペーンについて表示タイミングが示されています。

キャンペーンの種類CTAボタンの表示タイミング
P-MAX広告の開始から3秒後
アプリ広告の開始から3秒後
デマンドジェネレーション広告の開始から3秒後
動画視聴広告の開始から10秒後
動画リーチ広告の開始から10秒後

ここは制作にも影響します。ショート広告の「クリック」とは、CTAボタンのクリックを指します。ボタンが出るのが3秒後か10秒後かによって、動画のどこで行動を促すべきかが変わるということです。

広告に表示されるテキスト

ショート広告には、広告主のチャンネル名と説明文が表示されます。説明文は全角45文字以内です。モバイルでは1行、パソコンとテレビでは2行を超えると切り捨てられます。

モバイルではCTAオーバーレイカードが表示される場合があり、ここに広告見出しを載せられます。Googleは、キャンペーン設定で全角20文字の広告見出しと全角45文字の説明文の両方を指定することを推奨しています。CTAを設定していない場合、このオーバーレイカードは表示されません。

YouTubeショート動画広告の出し方の手順

配信までの流れを整理します。管理画面の細かな画面遷移は更新されることがあるため、ここでは判断が必要になる工程を中心にまとめます。

1. 目的を決めてキャンペーンの種類を選ぶ

最初に決めるのは、この広告で何を達成したいかです。認知を広げたいのか、サイトへの遷移や問い合わせを増やしたいのかで、選ぶキャンペーンが変わります。

前述のとおり、キャンペーンによってCTAボタンが出るタイミングが違うため、ここは制作前に決めておいてください。動画ができてからキャンペーンを選ぶと、動画の構成と噛み合わなくなることがあります。

2. 動画をYouTubeにアップロードする

配信する動画は、事前にYouTubeへアップロードしておきます。公開設定でも限定公開でも配信できますが、視聴者が共有ボタンを使えるのは公開設定の動画だけです。

3. ターゲティングと予算を設定する

配信対象と予算を設定します。動画リーチキャンペーンや動画視聴キャンペーンでは、キーワードやトピック、プレースメントといったコンテンツターゲットを使えます。

4. 動画アセットと広告文を登録する

アップロードした動画を指定し、広告見出しと説明文を入れます。文字数の上限は前述のとおりです。

デマンドジェネレーションキャンペーンで複数の動画を使う場合は、クリエイティブの選好という機能で、どの動画をどの配信面(インストリーム、インフィード、ショートなど)に出すかを固定できます。ショート向けに作った縦型動画を確実にショート面へ出したい場合に使います。

5. 配信後にモニタリングして調整する

配信を開始したら、総再生時間、視聴回数、コンバージョン数などの指標を見ながら調整します。

Googleは、テスト、リリース、認知の維持という段階に分けてメディアを計画することを推奨しています。最初から予算を集中させるのではなく、試す期間を設けてから広げていく進め方です。

成果を分ける縦型クリエイティブの設計

縦型の画面で情報を置ける場所。右側のパネル・画面の中央・下部の帯の役割を示した図

ここからが本題です。ショート広告のクリエイティブで押さえるべき点を、制作する立場から整理します。

冒頭から広告然と見せず、オーガニックの流れになじませる

ショートフィードでは、視聴者は次々と動画を送っています。最初の1秒で「これは広告だ」と判断されると、内容が始まる前にスワイプされます。

ロゴを大きく出す、商品を正面から映す、ナレーションが商品名から始まる。こうした作り方は、周囲のオーガニック動画の中で広告だけが浮いて見える原因になります。広告であることを隠すのではなく、周囲のコンテンツと並んでも浮かない入り方にすることが、最後まで見てもらうための設計です。

音を前提に作る

Googleは、ショート広告で音楽やナレーションを使うことを推奨しており、サウンドを使用することでコンバージョンが20%以上増加することがわかっていると明記しています。

無音でも成立するよう字幕だけで作るのではなく、音がある前提で設計してください。あわせて、テキストオーバーレイの使用も推奨されています。ナレーションのトーンは、そのまま広告の印象になります。落ち着いた声で安心感を出すのか、テンポよく畳みかけるのかは、伝えたい内容によって選び分けます。

CTAが出るタイミングから逆算する

CTAボタンは、キャンペーンによって3秒後または10秒後に表示されます。

ボタンが表示された時点で、視聴者が「押す理由」を持っていなければ、ボタンがあっても押されません。3秒後に出るキャンペーンであれば、冒頭で見せる内容そのものが動機になっている必要があります。10秒後であれば、最初の10秒で状況の説明を終えて、押す理由を作っておくことになります。

縦の画面で情報を置く場所を決める

ショート広告の画面は、上下に情報を置ける余地がある一方、右側にはRHSパネルとして高評価、低評価、コメント、共有のボタンが並びます。下部にはチャンネル名と説明文、CTAが入ります。

つまり、画面の周囲は広告以外の要素で埋まります。伝えたい情報を画面の端に置くと、隠れるか読みにくくなります。文字を入れる場合は中央寄りに、大きく、短くが原則です。

横向きの素材をそのまま流用しない

すでにテレビCMやWeb用の横型動画がある場合、それをそのまま配信したくなります。

ただし前述のとおり、横向きの動画は縦のショート画面で上下がぼかされて表示されます。画面の多くがぼかしで占められるため、縦型で作られた周囲の動画と比べて明らかに見劣りします。既存の素材を活かす場合でも、縦型で作り直すか、少なくとも縦の画面を前提に再編集することをおすすめします。

パソコンとモバイルで1本を兼用したい場合は、スクエアという選択肢もあります。横向きよりは縦の画面での見え方が改善しますが、ショート広告では縦向きのアセットが優先されるため、露出の面では縦型に劣ります。

なお、広告用の動画を新しく撮るか、既存の動画を編集して転用するかという判断そのものについては、YouTube広告の動画制作ガイドで詳しく整理しています。

1本で当てにいかない。訴求の切り口を分けるバリエーション運用

1つのサービスを4つの切り口に分けて複数本を展開する考え方を示した図

ショート広告でもう一つ大事なのが、1本の動画に賭けないことです。

Googleもベストプラクティスとして、アセットを試すこと、クリエイティブを複数用意することを挙げています。ただ、実際に「何を変えて複数作るのか」まで書かれていることは多くありません。

私たちの考えでは、変えるべきは表現の細部ではなく、訴求の切り口です。同じサービスでも、視聴者が「自分に関係がある」と感じるきっかけは人によって違います。何が刺さるかは事前にはわからないので、切り口を分けた複数本を用意して、実際の反応を見るのが確実です。

実際に、エプソン販売様のプリンター向けサポートサービスでは、同じサービスの縦型ショート広告を4本制作しました。訴求の切り口は次のように分けています。

切り口動画で描いた場面
写真印刷時のトラブル対応印刷でエラーが起きたときにどうサポートされるか
急ぎの印刷でのトラブル学校への提出書類を急いで印刷したいのに使えない場面
故障時の引き取りサービス追加料金なく手間なく引き取ってもらえる流れ
購入後の初期設定サポート買ったばかりで設定がわからないときの対応

サービスの内容は同じで、どの場面を切り取るかだけを変えています。あわせて、ナレーションのトーンも2種類を用意しました。落ち着いた女性ナレーションで安心感を出すものと、子どもがナビゲーターとして登場して親しみやすさを出すものです。

このように分けておくと、どの切り口とどのトーンが反応を取れたかが配信後に見えてきます。1本だけ作って結果が出なかった場合、動画が悪かったのか、訴求が合っていなかったのか、ターゲティングの問題なのかを切り分けられません。

縦型・ショート動画広告の制作事例

当社が制作した、縦型およびYouTube広告向けの動画をご紹介します。

事例表現制作期間
エプソン販売様 カラリオスマイルPlus 縦型ショート広告(4本)実写15〜60秒約2ヶ月
Groovement様 Strategy Consultant Bank YouTube広告アニメーション+実写15〜60秒3ヶ月

同じサービスを、4つの切り口と2つのトーンで

エプソン販売様の縦型ショート広告は、プリンター向けサポートサービス「カラリオスマイルPlus」を紹介する4本のシリーズです。

写真印刷時のトラブル対応

故障時の引き取りサービス

急ぎの印刷でのトラブル

購入後の初期設定サポート

写真印刷時のトラブル対応を扱った1本では、落ち着いた印象の女性ナレーションを採用し、視聴者に安心感を与えるトーンにしました。情報を直感的に伝えるためにインフォグラフィックを多く使い、サービス内容が短時間で伝わる構成にしています。

故障時の引き取りサービスを扱った1本では、子どもがサービスの魅力を語る構成にしました。追加料金がかからず手間なく引き取ってもらえるという内容を、日常的なシーンを交えて紹介しています。仕組みの説明はどうしても硬くなりがちですが、語り手を変えることでやわらかく伝わる形になりました。

学校への提出書類を急いで印刷したい場面を描いた1本は、焦っている状況を入口にしています。プリンターが使えない、しかし急いでいる、という具体的な場面から入ることで、同じ経験のある視聴者が自分のこととして見られる構成です。

購入後の初期設定サポートを扱った1本は、子どもがナビゲーターとして登場し、オペレーターの丁寧な対応で不安が解消される様子を描きました。

4本とも実写で、尺は15秒から60秒、制作期間は約2ヶ月です。

冒頭数秒で関心を引き、離脱を防ぐ

Groovement様 Strategy Consultant Bank YouTube広告は、フリーコンサルタント向けの案件紹介サービスの広告動画です。

YouTube広告では最初の数秒が成果を大きく左右するため、冒頭から関心を引きつける演出を採用しました。映像全体をスピーディーでリズミカルなテンポで展開し、視聴離脱を防ぐ構成にしています。限られた尺の中でサービスの魅力を伝えるために情報を取捨選択し、視聴者が「もっと知りたい」と思える流れを設計しました。

ショート面に配信する動画ではありませんが、冒頭で関心を引く、情報を絞る、テンポで離脱を防ぐという考え方は、ショート広告にもそのまま当てはまります。

YouTubeショート動画広告のよくある質問

YouTubeショート動画広告はスキップできますか?

ショートフィードの広告は、通常のショート動画と同じように次へ送ることができます。広告主の側から見れば、視聴者はいつでも離脱できるということです。だからこそ、冒頭で視聴者の関心を引けるかどうかが成果を左右します。

YouTubeショート動画広告が「うざい」と思われないためには何が必要ですか?

広告として浮いていることが、不快に感じられる主な原因です。冒頭からロゴや商品名を押し出す、周囲のオーガニック動画と明らかにトーンが違う、音の大きさが急に変わるといった作り方は避けてください。Googleもベストプラクティスとして、広告クリエイティブを周囲のオーガニックコンテンツに自然に溶け込ませることを推奨しています。

YouTubeショート動画広告は何秒が適切ですか?

60秒未満が推奨されています。動画自体は最大3分までアップロードできますが、ショートフィードで再生されるのは最初の60秒のみです。キャンペーン別では、行動を促す広告で10〜30秒、動画リーチキャンペーンで6〜60秒、アプリやP-MAXなどでは10〜60秒が推奨されています。

YouTubeショート動画広告は横向きの動画でも配信できますか?

配信自体は可能です。ただし、横向きの動画は縦のショート画面で上下がぼかされて表示されます。Googleも縦向きのほうがパフォーマンスが高くなるとしているため、縦型で制作するか、既存の横向き素材から縦向きアセットを生成することをおすすめします。

YouTubeショート動画広告の制作費用はいくらくらいかかりますか?

広告の配信費用とは別に、動画そのものの制作費がかかります。当社では、広告用の動画やCMの制作費用を50万円から300万円程度としています。実際の金額は、撮影の有無、撮影日数、出演者の起用、CGやアニメーションの有無で変わります。詳しくは動画制作の料金相場をご覧ください。

なお、訴求の切り口を分けて複数本を作る場合は、撮影を1日にまとめることで1本あたりの費用を抑えられます。

YouTubeショート動画広告のクリック数は何を数えているのですか?

ショート広告における「クリック」は、行動を促すフレーズ(CTA)のボタンがクリックされた数を指します。CTAボタンはキャンペーンの種類によって、広告の開始から3秒後または10秒後に表示されます。CTAを設定していない場合、モバイルのCTAオーバーレイカードは表示されません。

まとめ: 手順ではなく、訴求の切り口の設計に時間を使う

YouTubeショート動画広告は、出稿の手順そのものは複雑ではありません。仕様として押さえるべきなのは、ショートフィードで再生されるのは最初の60秒であること、縦向き9:16が前提であること、CTAボタンが3秒後または10秒後に表示されること、この3点です。

そのうえで成果を分けるのは、縦の画面で最初の数秒に何を見せるかという設計と、訴求の切り口を分けた複数本を用意して反応を見る進め方です。1本で当てにいくのではなく、切り口を分けて試せる形にしておくと、結果が出たときも出なかったときも次の判断ができます。

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山畑 達也
山畑 達也 株式会社VIDWEB 代表取締役社長

20年以上にわたりオンラインマーケティング、オンライン広告業界に身を置き、数々の新規サービスや新規事業の立ち上げと事業運営、会社経営に携わる。2021年に動画制作から動画広告、動画マーケティングまでを総合的に提供する株式会社VIDWEB(ビッドウェブ)の代表取締役に就任。

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