シネマグラフとは、静止画の一部が動画のように躍動する魅力的な画像のことです。つい見入ってしまう「動く写真」は、Web広告のクリエイティブやSNS投稿画像としても人気です。この記事では、シネマグラフの作成方法や手軽に作成できるアプリを紹介します。動く写真の効果的な活用法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください!
シネマグラフとは
シネマグラフとは、静止画の一部分のみが動画になり、動いて見える表現のことです。ファイル形式は、ループ再生されるGIFアニメーションであることが一般的です。動かない背景のなかで、一部分だけが動くことで人の目を引き付けます。
シネマグラフによく使われる表現は風などによる「揺れ」や「水の流れ」です。
たとえば、グラスに水が注がれる様子を写した写真の水の部分だけが動画化された表現などがこれにあたります。本来であれば水が溢れてしまうはずなのに、ループ再生によってこぼれずに延々と注ぎ続けられるシネマグラフは、見る人に不思議な感覚を与えます。シネマグラフは、このような現実とは少し異なる動きで、つい見続けてしまう状態を作ります。
シネマグラフの概要や事例を確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。
シネマグラフの作り方
次に、シネマグラフの作り方を紹介します。
シネマグラフは、静止画の背景のなかの一部分が動いて見えるものが一般的ですが、表現によっては中心となる被写体が静止画で背景が動いて見えるものもあります。
ここでは「静止画の背景の一部分が動いて見える」シネマグラフを想定し、動画を素材として作成する方法を紹介します。なお、以下はAdobe Photoshopなどの画像加工ソフトを使用した一般的な作り方です。
素材を用意する
「静止画の背景の一部分が動いて見える」シネマグラフに適した素材は、三脚などでカメラを固定して撮影された背景が動かない動画です。カメラの位置が動いてしまうと、ループ再生したときの開始点・終了点のつなぎ目に違和感が出てしまいます。
動画から静止画にしたいシーンを選び、静止画に変換する
動画素材を画像加工ソフトに取り込み、タイムラインに配置した動画を複製します。コピーした動画(前面にあるレイヤー)から静止画にしたいシーンを選び、静止画に変換します。
動画として表示させたい部分にマスクをかける
動画として表示させたい部分を選択し、静止画レイヤーの下にある動画部分が透けて見えるようにマスクをかけます。
ループ再生されたときに違和感がないように編集する
用意した動画素材の開始・終了部の動画をカットし、ループ再生したときに違和感がないよう編集します。最終的にループ再生のGIFアニメーションにしたときに、ファイル容量が大きくなりすぎないよう、動画の長さは1~2秒程度にするとよいでしょう。
GIFアニメーションとして書き出す
Webサイトに掲載するには、GIFアニメーション形式で書き出すのがおすすめです。サイズ、画質、ループ再生回数などを調整し、ファイル容量が大きくなりすぎず、見た目もきれいに書き出せるちょうどいいバランスを見つけましょう。
なお、以下はAdobe社が提供するPhotoshopを使ったシネマグラフの制作方法の解説動画です。
シネマグラフが簡単に作れるアプリ
上記は、Photoshopなどの画像加工ソフトを使用した作り方ですが、近年ではもっと手軽にシネマグラフが作れるアプリも開発されています。シネマグラフが簡単に作成できるアプリをご紹介します。
Cinemagraph Pro(iPhone / macOS)
Cinemagraph Proは、Flixel社が販売し「唯一のプロ向けシネマグラフ編集ツール」とうたう本格的なシネマグラフアプリです。iPhone、iOSに対応するバージョンが展開されており、スマートフォンでシネマグラフを作成できるだけでなく、Macで本格的なシネマグラフを作成するクリエイターにも愛用されています。
こちらのアプリでは、三脚を使って撮影した動画をインポートすることが推奨されています。
Cinemagraph Pro for iOS | Flixel
PLOTAVERSE PRO(iPhone)
PLOTAVERSE PROは、写真からシネマグラフが作れるiPhone、iPad向けのアプリです。前述の「シネマグラフの作り方」では、動画素材をもとにシネマグラフを作る方法を紹介しましたが、このアプリは静止画の写真の一部に動きをつけてシネマグラフを作ることができます。
作り方は、固定したい部分を指定した後、動かす部分の動かし方や動かす速さを設定します。シネマグラフに適した動画素材がなくても、写真を簡単にシネマグラフ風に加工できるところがポイントです。一部機能は無料で使用できます。
PLOTAVERSE Creative Apps Kit | App Store
PhotoDirector(iPhone / Android)
PhotoDirectorは、多様な写真加工・背景加工ができるアプリケーションです。モバイル版は、iPhoneにもAndroidにも対応していることが特徴です。AIを使用した自動分析機能が特徴で、写真(静止画)にアニメーション効果を付けて自然な動きを付けられます。
PhotoDirector – 写真加工 & 画像編集アプリ – Google Play のアプリ
参考動画
Zoetropic(Android)
Zoetropicは、Android端末向けのモーショングラフィックスアプリです。こちらのアプリも、1枚の写真からシネマグラフを作ることができます。「写真を動かす」がキャッチコピーになっており、動画を加工して作るハイクオリティな作品というよりは、写真に動きを加えて手軽にシネマグラフ風に見せられるツールです。
Zoetropic – 写真を動かす – Google Play のアプリ
Movepic(Android)
Movepicは「動く写真加工メーカー」のキャッチフレーズで展開されているフォトモーションアプリです。
写真に静止したい部分、動かしたい部分を指定することでシネマグラフを作成できます。写真の動きは、動かしたい部分に矢印状のパスを設定するだけで簡単に設定可能です。このアプリはAndroid端末向けです。
Movepic:動く写真加工メーカー – Google Play のアプリ
シネマグラフの効果
最後に、シネマグラフを活用するメリットを紹介します。
ユーザーの目を引き付け、注目を集める
シネマグラフは、一見静止画のように見えるものの、一部分だけが動くことで、見る人に不思議な感覚を与えます。その結果、画像に興味を持たせ、注目させる効果を得られます。
とくに、現実ではあり得ない動きは、見る人の好奇心をかき立て「つい見入ってしまう」でしょう。また、広告の場合、商品など注目してほしい箇所に動きをつけるのも効果的です。
動画より軽く、表示が早い
作り方の項目でもご紹介したように、シネマグラフはWeb用に書き出す場合、GIFアニメーション形式にするのが一般的です。GIFファイルは、一般的な動画ファイル(mp4やmov)よりファイルサイズを抑えられる場合が多く、Webに掲載したときにも読み込みや表示にかかる時間を短縮できます。
広告のコンバージョンに好影響
シネマグラフをWeb広告のクリエイティブに活用すると、静止画よりも注目を集める効果から、クリック率にも好影響を与えるといわれています。広告の内容にもよるため一概にはいえませんが、同じ画角で静止画とシネマグラフのバージョンを用意し、比較してみるとよいでしょう。
まとめ:アプリで簡単にシネマグラフ作成し、試してみよう
シネマグラフは静止画の一部を動かすことで、見る人の注目を集める効果があることを紹介しました。また、前述のように現在ではシネマグラフを1枚の写真からスマートフォンだけで作れるアプリもあります。
シネマグラフは、Web広告の画像やSNS投稿に適しているため、まずはアプリで手軽にシネマグラフを作成し、効果を検証してみてはいかがでしょうか。