動画配信を活用した研修の進め方を詳しくご紹介します。人手が足りない現状において、効率的かつ効果的な人材育成が求められています。動画を使った研修はその解決策の一つとして注目を集めています。本記事では、研修を動画で配信するための方法や、企業向けに適したシステムについても詳しく解説します。
研修を動画配信するメリット
さまざまな業界で人材不足が課題となっている昨今、「新しい人材に早くスキルを習得してもらう」「今いる人材の生産性を高める」などの目的で、企業研修のニーズは高まっています。また、リモートワークの普及や業務のデジタル化により、オンラインで業務上の情報を共有する習慣も定着しました。このような中、活用が広がっているのが動画を使った研修です。動画研修には以下のようなメリットがあります。
いつでも視聴できる
対面の研修の場合、日程を調整し、研修のための時間を作らなければなりません。一方、動画研修は、動画データにアクセスできる環境があれば視聴できるため、受講者にとって時間や場所を選ばずに受講できることがメリットです。
繰り返し学習できる
動画研修は、繰り返し視聴できることも特長です。受講者は、自分の理解度に応じて繰り返し学習したり、忘れてしまったことを復習したりできるため、研修の効果が高まります。
研修にかかるコストを削減できる
研修を実施する企業にとって、動画研修はコストの低減につながります。対面の研修の場合、実施するたびに必要な講師派遣費や研修にかかわる社員の人件費、資料作成費などを抑えられます。
研修内容を統一できる
企業にとっては、研修のクオリティを標準化できることもメリットです。対面の研修では講師の違いや受講者の反応によって研修の進捗や質が変わります。動画研修では、受講者全員が同じ内容の研修動画を見ることができます。
研修を動画で配信する方法
研修を動画で配信するには、まず研修用の動画を制作する必要があります。
研修動画の作り方や効果的に制作するためのポイントは、下記の記事を参考にしてください。
コンテンツとなる動画づくりと並行して、配信方法の検討も必要です。動画の配信方法には種類があり、目的に応じて選ぶ必要があります。
動画配信方法の種類
動画配信の仕組みには、大きく分けて3つの種類があります。どれも一般的に活用されている仕組みですが、情報漏えいのリスクや受講者の視聴しやすさなどに若干の違いがあります。
ダウンロード方式
受講者の端末に研修用の動画データをダウンロードして視聴するタイプの配信方法です。例えば、Googleドライブなどのデータ共有サーバーに研修動画をアップロードし、受講者が動画データをダウンロードして視聴する場合がこれに当たります。ダウンロードした動画データは、ネットワークがないところでも視聴できるという利点がありますが、データのコピーが容易にできることや、ダウンロードしたデータによって情報漏えいのリスクが高まるという欠点もあります。
プログレッシブダウンロード方式
プログレッシブダウンロード方式とは、インターネット上の動画を再生する際に、ファイル全体をダウンロードするのではなく、必要な部分だけをダウンロードして再生する方法です。この方式の利点は、ダウンロード時間が短くなり、ネットワークの負荷が軽減できることです。YouTubeやNetflixなどの動画配信サービスで広く使われている方式であり、この形式を活用した動画共有サイトは無料から使える場合が多いです。ただし、一部のデータがキャッシュとして端末に残るため、機密性の高い情報など、個々の端末にデータを保存されたくない場合には向いていません。
ストリーミング方式
ストリーミング方式は、動画データを小さく分割して順番に送信することで、視聴者がデータをダウンロードせずに視聴できる配信方法です。ストリーミング方式の利点は、データをダウンロードしないため、セキュリティ性が高いことや、端末の空き容量に関係なく視聴できることです。ストリーミング方式を活用した動画配信システムは、法人の活用を想定したさまざまなサービスが提供されています。
研修動画の配信方法を検討する際は、上記のような配信方式があることを踏まえたうえで、動画の公開範囲やリアルタイム性の要・不要を踏まえて検討することが必要です。検討のポイントは以下の2点です。
オープンな配信かクローズドな配信か
研修を不特定多数に向けて配信するのか、公開先を社員などに限定し、他の人に見られないように配信するのかを検討します。
オープンな配信方法は、誰でも動画を見られるようにすることで、研修制度の充実度などを外部に向けてアピールしたい場合に向いています。
クローズドな配信方法には、特定のIPアドレスからのアクセスのみ許可する方法や、ID・パスワードでアクセスを制限する方法があります。研修内容に外部に公開したくない独自のノウハウやマニュアルがある場合には、よりセキュリティ性の高いクローズドな配信方法を選択する必要があります。
ライブ配信かオンデマンド配信か
動画配信の方法には「ライブ配信」もしくは「あらかじめ制作した動画を配信(オンデマンド配信)」という選択肢もあります。
ライブ配信は、緊張感があり、受講者の集中力を高める効果が期待できます。オンデマンド配信は、受講者の都合に合わせていつでも視聴できることがメリットです。研修の目的や内容によって、異なる配信方法を効果的に活用するとよいでしょう。
企業の動画研修に向いている配信方法は?
企業が研修を動画配信する際は、以下のようなニーズがあることが一般的かと思われます。
- 「いつでも、どこでも見られる」という動画のメリットを活かしたい
- 研修動画を安全に配信したい
- 一般に公開したくない情報を含んでいる
上記のような条件がある場合、あらかじめ制作した研修動画をストリーミング方式の配信サービスを活用して特定の人だけが見られるように配信するのがおすすめです。
動画配信のコストを抑えながら特定の人にだけ配信をしたい場合、YouTubeの限定公開機能を使うことも選択肢の一つですが、限定公開URLが流出してしまうリスクを考慮する必要があります。
企業向け動画配信システムの例
企業向けに提供されている動画配信システムから、研修動画の配信に適したおすすめのサービスをピックアップして紹介します。
MOOGA(ムーガ)
法人向けの動画配信サービスで、セキュリティに配慮したストリーミング方式が採用されています。「誰がどの動画を見たか」など、履歴の管理もできます。
viaPlatz(ビアプラッツ)
社内向けや、自社のお客様向けに動画を安全に配信できることを特長とした動画配信サービスです。研修の視聴ログや理解度テスト機能などで、研修の効果をより高められます。
GLOPLA LMS
社内の学習動画を集約し、配信できるシステムです。LMS(Learning Management System / 学習管理システム)でもあり、研修の受講状況を可視化できる機能があります。
動画配信システムの選び方
企業研修向けの動画配信システムは、上記のほかにもさまざまなサービスがあります。動画配信システムを検討する際は、研修の目的や自社の活用状況、求める機能などに応じて最適なものを選ぶことが大切です。具体的には、以下のようなポイントに気をつけて検討するとよいでしょう。
- ライブ配信ができるか
- 配信可能なデータ容量は十分か
- 動画をまとめたWebサイト(ポータルサイト)を制作する機能があるか
- システム内で視聴状況を確認・分析できるか
- アンケートやテストの機能があるか
まとめ:最適な動画配信方法を選択し研修を効率化しよう
この記事では、研修を動画配信する方法や、研修に適した動画配信システムを紹介しました。
記事中でご紹介したように、動画配信の仕組みにはいくつかの方法があります。自社の研修内容や配信する動画の量、受講者の視聴環境などを考えたうえで最適な配信方法を選択し、研修をより効率的に実施できるようにしましょう。