タレントキャスティングは、動画や広告に出る人を選び、出演の条件を決め、撮影の日まで手配することです。
タレントキャスティングというと芸能人の起用を思い浮かべるかもしれませんが、企業の動画では、製品やサービスを使う人を俳優やモデルが演じる配役も、キャスティングの大事な仕事です。当社が制作の中でキャスティングまで担当した8本は、いずれも製品やサービスの紹介動画で、利用する場面を演じる出演者の手配でした。
この記事では、動画に誰を出すかの選び方、起用しない判断、依頼先の違い、費用の内訳、契約で決める項目、進め方を、当社の事例をもとにご説明します。読者には、動画や広告の制作を担当する企業のご担当者を想定しています。
タレントキャスティングとは。出演者を選び、条件を決め、撮影まで手配すること
キャスティングの仕事は、大きく3つに分かれます。
- 動画の目的と演出に合う出演者の候補を探し、選ぶ
- 出演料、撮影の日時、使う媒体や期間などの条件を交渉し、契約する
- 撮影の日までの準備と、当日の進行を手配する
動画制作の中でキャスティングを行う場合、当社は、出演者を演出と同時に決めることを大切にしています。誰がどこで何をする場面なのかが決まらないと、合う出演者も決まらないからです。当社の事例でも、キャスティングは企画、構成、撮影、編集と一緒にお引き受けしており、キャスティングだけを単独でお受けすることはしていません。
キャスティングで誰を出すか。芸能人・インフルエンサー・俳優やモデル・社員の選び分け
当社は、出演者を選ぶときの軸を、その人から何を借りたいかだと考えています。キャスティングは、著名人、インフルエンサー、低予算での起用の3つの考え方でご提案しています。これに社員の出演を加えて、4つに分けてご説明します。

知名度を借りるなら芸能人
人気の俳優、タレント、お笑い芸人、モデルなど、多くのファンを持つ著名人を起用します。商品や企業のイメージに合う人を選ぶことで、見る人の関心を集める考え方です。
有名なタレントやモデルを起用する場合は、コストが大きく増加する傾向があります。当社は、知名度を借りる起用は、テレビCMや大きなキャンペーンのように、多くの人に一度に届けたい場面に向いていると考えています。
届く相手を借りるならインフルエンサー
InstagramやYouTubeで発信しているインフルエンサーを起用します。当社では、フォロワー数や見ている人の属性、予測される流入を確認したうえで起用しています。
当社は、この起用は、その人のフォロワーという、すでにある届く相手を借りる方法だと考えています。そのため、商品を届けたい相手と、その人のフォロワーが重なっているかを最初に確かめてください。
使う場面を見せるなら俳優やモデル
これから売り出すタレントやモデル、実力のある俳優、エキストラなどを起用し、製品やサービスを使う人を演じてもらいます。当社では、限られた予算で動画を作りたい場合の起用の考え方としてご提案しています。
冒頭でお伝えしたとおり、当社が制作の中でキャスティングまで担当した8本は、すべてこの配役でした。サービスを導入する前と後の場面、日常の中で製品を使う場面、演奏する人が製品を使う場面などを、出演者に演じてもらっています。当社は、企業の製品やサービスの紹介動画では、知名度よりも、見る人が自分の職場や生活に重ねられる配役のほうが大事になる場面が多いと考えています。
信頼と実感を見せるなら社員
自社の社員に出演してもらいます。当社の事例でも、製品の使い方を説明する動画で、作業の場面に実際の社員の方に出ていただき、購入を検討している人が自分のことと思えるような内容にしました。
社員に出てもらう場合は、本人の同意を得たうえで、撮影に充てる業務の時間、公開する範囲、本人が退職したあとの扱いを、撮影の前に本人と取り決めておいてください。経営者や社員が出るかどうかの判断は、ブランディング動画の作り方と事例でもご説明しています。
キャスティングでタレントを起用しない判断
出演者を立てないほうがよい場合もあります。当社は、次のような場合には、起用しない選択肢も並べて考えることをおすすめしています。
| 場合 | 起用しない場合の作り方 |
|---|---|
| 予算を撮影より企画や本数に使いたい | アニメーションで作る |
| 動画を長く使い、あとで内容を変える可能性がある | アニメーションで作る、または差し替えやすい構成にする |
| 製品の仕組みや内部を見せたい | 3DCGやアニメーションで見せる |
| 使い方を正確に見せたい | 手元の撮影や社員の実演で見せる |
アニメーション動画は、撮影やキャスティングを必要としない分コストを抑えられ、あとで変更が必要になった場合も再撮影がありません。当社も、費用を抑えるポイントとしてご案内しています。出演者がいる動画は、契約の期間が過ぎたあとの扱いも考える必要があります。これは後の章でご説明します。
タレントキャスティングの依頼先。芸能事務所・キャスティング会社・広告代理店・動画制作会社の違い
キャスティングの依頼先は、主に4つあります。本記事での整理を表にまとめます。
| 依頼先 | 主な役割 | 動画の制作 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 芸能事務所 | 所属する人のマネジメントと出演の交渉 | 別に依頼する | 起用したい人が決まっている |
| キャスティング会社 | 複数の事務所から候補を探し、交渉や契約を代行する | 別に依頼する | 候補を広く探したい。制作は別の会社に任せる |
| 広告代理店 | 広告の企画から出稿まで、キャスティングを含めて取りまとめる | 代理店の手配で行う | テレビCMを含む大きな広告キャンペーン |
| 動画制作会社 | 演出と合わせて出演者を選び、撮影と編集まで行う | 同じ会社で行う | 動画を作ることが目的で、配役と演出を一緒に決めたい |
当社は、依頼先を選ぶ分かれ目を、キャスティングと制作を別々に進めるか、一緒に進めるかだと考えています。起用したい著名人が先に決まっている場合や、テレビCMを大規模に出稿する場合は、事務所や代理店から始まる進め方が自然です。一方、動画を作ることが目的で、誰を出すかも決まっていない場合は、制作会社に配役と演出を一緒に相談するほうが、演出と出演者が食い違いにくいと当社は考えています。
当社は動画制作会社として、キャスティングを制作と一緒にお引き受けしています。制作会社の選び方全体は動画制作会社の選び方でご説明しています。
タレントキャスティングの費用の内訳と、金額を決める要素
キャスティングにかかる費用は、動画制作の費用の中に入ります。当社の料金ページに挙げている内訳のうち、出演者に関わるものは次のとおりです。
| 費用の項目 | 料金ページでの説明 |
|---|---|
| 企画・構成費 | 動画のコンセプトやストーリー、出演者などの企画を練るための費用 |
| 撮影技術費 | 技術スタッフ費に加え、キャスト費、ヘアメイク費、スタイリスト費などがかかるケースがある |
| 起用した出演者の更新費用 | 出演者に契約期間が定められている場合、契約の更新時に費用が発生する |
出演料そのものの目安は、当社の料金ページには載せていません。当社は、出演料は誰を起用するかと、どこまで使うかで大きく変わると考えており、その要素を次のように整理しています。
- 出演者の知名度や、これまでの出演実績
- 使う媒体の広さ(Webだけか、テレビや店頭も含むか)
- 使う期間の長さと、使う地域(国内だけか、海外も含むか)
- 撮影で出演者に来てもらう時間や日数
- 同じ業種の他社の広告に出ないという制限をつけるかどうか
当社は、使う範囲を広げるほど、交渉で扱う条件が増え、金額にも反映されやすいと考えています。そのため、見積もりを取る前に、動画をどこで、どれくらいの期間使うかを先に決めておくことを推奨しています。費用の全体像は動画制作の費用相場と当社の料金ページをご覧ください。
キャスティングの契約で決める項目
出演者(所属事務所がある場合は事務所)との契約では、その人の姿や声を、どこで、いつまで、どのように使えるかを決めます。撮影の前に決めておきたい項目は、次のとおりです。

| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 使う媒体 | 自社サイト、SNS、動画広告、テレビ、店頭、展示会など、どこで流すか |
| 使う期間 | いつからいつまで使うか。更新するときの条件 |
| 使う地域 | 国内だけか、海外でも使うか |
| 二次利用 | 動画から静止画を切り出す、短い版を作る、別の広告に転用するなどを認めるか |
| 競合の制限 | 契約期間中、同じ業種の他社の広告に出ないようにするか |
| 表現の条件 | 衣装、せりふ、撮影内容で避けることがあるか |
| 何かあったときの扱い | 出演者側の事情で動画を使えなくなった場合の差し替えや費用の扱い |
Web動画とテレビCMで変わるところ
当社は、テレビCMは放映する期間や地域を決めて出稿するため、出演者の契約の範囲もそれに合わせて決まると考えています。一方でWeb動画は、置いた場所に残り続け、SNSの広告用に短く切り出したり、展示会で流したりと、使い方が後から広がりやすいと当社は考えています。そのため、Web動画でも、使う媒体と期間を最初に決め、使い方を広げるときは改めて条件を確認してください。
契約が切れたあとの動画の扱い
当社の料金ページにあるとおり、出演者に契約期間が定められている場合は、更新するときに費用が発生します。契約期間が過ぎたあとの扱いは、契約で決めた内容によります。当社は、主な選択肢を次の3つと考えています。
- 契約を更新して、そのまま使い続ける
- 出演者が映る部分を差し替える再編集をする
- 公開を止める
動画の手直しには、再編集の費用が発生する場合があります。当社は、長く使う動画ほど、契約の期間と、切れたあとの扱いを、撮影の前に決めておくことを推奨しています。契約書全体で確認すべき項目は動画制作の契約書でまとめています。
タレントキャスティングの進め方と期間
動画制作の中でキャスティングを行う場合、当社の進め方は次のとおりです。
- 動画の目的と、誰に何を見せる動画かを決める
- 出演者のタイプ(芸能人・インフルエンサー・俳優やモデル・社員)を決める
- 候補を探し、撮影の日程が合うかを確認する
- 出演料と使う範囲の条件を交渉し、契約する
- 衣装やヘアメイク、撮影場所を準備し、撮影する
- 完成後、契約の期間と使う範囲を管理する
当社は、キャスティングを企画と並行して進めることをおすすめしています。構成が決まってから出演者を探し始めると、日程が合わずに撮影日が後ろにずれるおそれがあると考えているためです。

当社がキャスティングまで担当した8本の制作期間は、2ヶ月が5本、3ヶ月が3本でした。このうち2本は、撮影するロケ地の調査と手配もあわせて担当しています。
動画制作でのキャスティング事例
当社の制作実績のうち、実績ページの担当業務に「キャスティング」がある8本と、社員に出演していただいた1本をまとめます。
| 事例 | 出演者が演じた場面 | 表現 | 尺・制作期間 |
|---|---|---|---|
| リコー様 Ricoh Interactive Whiteboard Add-on Service for Office 365(150秒) | サービスの導入前と導入後の、会議の場面 | 実写 | 60秒以上・2ヶ月 |
| リコー様 同サービスのダイジェスト版(40秒) | 同上 | 実写 | 15秒〜60秒・2ヶ月 |
| リコー様 RICOH Interactive Whiteboard 商品紹介動画 | 製品を使う場面(筐体の特徴は3DCGで見せる) | 3DCG・アニメーション・実写 | 60秒以上・3ヶ月 |
| リコー様 RICOH Collaboration Board PV | 業務の中で製品を使う場面 | 実写 | 60秒以上・3ヶ月 |
| ネクストスケープ様 Holojector PV | サービスを利用する場面 | 3DCG・実写 | 60秒以上・2ヶ月 |
| ヤマハ様 STAGEPAS 1K 簡単設定動画 | 日常の場面で製品を設定する場面 | 実写 | 15秒〜60秒・2ヶ月 |
| ヤマハ様 STAGEPAS 1K WebCM | アーティストが演奏する場面 | 実写 | 記載なし・2ヶ月 |
| ヤマハ様 コミュニケーションロボット紹介動画 | 仕事や人間関係の緊張をロボットが和らげる場面 | 実写 | 15秒〜60秒・3ヶ月 |
| 日本ソセー工業様 カルマゼ使い方動画 | 社員の方が製品で作業する場面 | 実写・3DCG | 60秒以上・1.5ヶ月 |
リコー様の会議用サービスの動画では、導入前と導入後の場面を実際の利用シーンで表現し、製品の特徴や優位性を分かりやすくしました。キャスティングの手配から、企画、構成と演出、撮影、編集まで一貫して担当しています。
ネクストスケープ様の動画は、Microsoft HoloLensで3Dモデルを簡単に表示できるアプリケーションの紹介です。一見説明しづらい製品の特性を、サービスを利用する場面が想起できるよう、ストーリー性を持たせて表現しました。
ヤマハ様のポータブルPA機器の2本は、ロケ地の調査と手配から、企画、構成と演出、編集、キャスティングまでを一貫して担当しました。簡単に設定できることを日常の場面と絡めて見せる動画と、アーティストが演奏に熱中できることを見せるWebCMです。
日本ソセー工業様の動画では、作業の場面に社員の方にご協力いただき、実際に作業している様子を見せることで、購入を検討している方が自分のことと思えるような内容にしました。液体が混ざる様子や、製品の羽根がしなる特性は、CGで表現しています。
タレントキャスティングでよくある質問
キャスティングとはどういう仕事ですか?
動画や広告、イベントに出る人を選び、出演料や使う範囲の条件を交渉して契約し、撮影や出演の日までを手配する仕事です。動画制作の中で行う場合は、演出と合わせて、誰がどこで何をする場面かを決めながら出演者を選びます。
芸能人のキャスティング費用はいくらですか?
出演料そのものの目安は、当社の料金ページには載せていません。当社は、出演料は誰を起用するかと、使う媒体、期間、地域などの範囲で大きく変わると考えています。有名なタレントやモデルを起用する場合は、コストが大きく増加する傾向があります。見積もりを取る前に、動画をどこで、どれくらいの期間使うかを決めておくと、金額の幅を絞りやすくなります。
キャスティング会社と芸能事務所の違いは何ですか?
本記事の整理では、芸能事務所は所属する人のマネジメントと出演の交渉を行い、キャスティング会社は複数の事務所から候補を探して交渉や契約を代行します。起用したい人が決まっていれば事務所に、候補を広く探したい場合はキャスティング会社に相談する、という分かれ方です。動画の制作と一緒に進めたい場合は、動画制作会社に相談する方法もあります。
動画のキャスティングで、社員に出演してもらってもよいですか?
出演していただけます。当社の事例でも、製品の使い方を説明する動画で、作業の場面に社員の方に出ていただきました。社員の出演では、本人の同意と、公開する範囲、退職したあとの扱いを、撮影の前に本人と取り決めておいてください。
キャスティングした出演者の契約期間が切れたら、動画は使えなくなりますか?
契約で決めた内容によります。出演者に契約期間が定められている場合は、更新するときに費用が発生します。更新しない場合は、出演者が映る部分を差し替えるか、公開を止めるかを選ぶことになります。長く使う動画は、撮影の前に契約の期間と切れたあとの扱いを決めておくことが大切です。
まとめ: タレントキャスティングは、誰を出すかを目的から決め、使う範囲と期間を先に決める
タレントキャスティングは、動画や広告に出る人を選び、条件を決め、撮影まで手配することです。企業の動画では、芸能人の知名度を借りる起用だけでなく、製品やサービスを使う人を俳優やモデルが演じる配役や、社員の出演もあります。
当社は、誰を出すかを、その人から何を借りたいかで決めることをおすすめしています。知名度なら芸能人、届く相手ならインフルエンサー、使う場面なら俳優やモデル、信頼と実感なら社員です。起用しない選択肢も並べて考えてください。
当社は、費用と契約は使う範囲で大きく変わると考えています。動画をどこで、どれくらいの期間使うかを先に決め、契約が切れたあとの扱いまで撮影の前に取り決めておいてください。
当社は、キャスティングを動画の制作と一緒にお引き受けしています。詳しくはキャスティングサービスをご覧ください。
1,000社5,000本以上の実績