この記事では、動画マニュアルのメリットとデメリットについて、実際の活用例を交えてご紹介します。動画マニュアルとは、業務の手順や機器の使い方を動画で説明する手引きのことです。従来の紙ベースのマニュアルに比べ、作業の手順や操作方法が視覚的にわかりやすくされているため、多くの場面で便利に使われています。
動画マニュアルとは
「動画マニュアル」とは、業務内容や操作方法などを動画で説明したものです。
マニュアルには、さまざまな種類があります。動画マニュアルは、機械やソフトウェアの操作方法を説明する操作マニュアル、業務の手順などを解説した業務マニュアル、家電などの使い方を説明する取り扱いマニュアル(取扱説明書)など、さまざまな種類のマニュアルに用いられています。
動画マニュアルを活用するメリット
動画マニュアルを導入すると、どのような利点があるのでしょうか。動画マニュアル活用のメリットを紹介します。
動画で理解しやすい
動画マニュアルは、従来、文字や写真・図で説明されてきたマニュアルと比べて、ビジュアルや音声による説明が多いことが特長です。動画と音声による説明は、多くの文字を読む必要がなく、マニュアルの内容を直感的に理解できます。また、実際に機械などを操作する様子を動画で見られることで、作業の「動き」や「流れ」の理解がしやすくなります。
繰り返し活用できる
トレーナーなどが対面で操作方法を教える場合、同じ説明を何度もするのは効率的ではありません。一方、操作の様子などを動画マニュアルにすれば、同じレクチャー内容を手間なく、何度でも説明できます。視聴者側も、実際の動きや操作方法を繰り返し確認できるため、復習に役立ちます。
作業品質を標準化できる
動画マニュアルは、実際の画面上の操作方法や、現場での作業の流れなどを動画で見せられるため、視聴者はレクチャーされた内容を正確に実施できるようになります。文字や写真だけではイメージしにくい動かし方や、細かなニュアンスを誰でも理解できるようになり、作業の品質が標準化されます。
紛失リスクが少ない
動画マニュアルの視聴方法は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末から動画データを再生するのが一般的です。紙のマニュアルのようにマニュアル単体で持ち歩いたり、他の資料に紛れたりすることは少ないため、過失による紛失リスクを低減できます。
言語が違っても理解しやすい
動画マニュアルは、言語の異なる外国人へのレクチャーにも向いています。ビジュアルが豊富なため、文字や言葉で多くを説明しなくても感覚的に理解しやすいことがメリットです。加えて、音声や字幕を多言語化することも比較的容易にできます。
動画マニュアルのデメリット
続いて、動画マニュアルを使用することのデメリットも確認しておきましょう。
視聴環境や通信環境が必要になる
動画マニュアルを見るには、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの視聴端末が必要です。また、インターネット上にアップロードされたデータを視聴する場合、通信環境も必要になります。場合によっては、端末や通信環境の用意、通信費などが負担になります。
修正や更新に手間がかかる
動画マニュアルを修正するには動画の撮影や編集が必要です。動画制作は、文書の編集と比べて専門的な技術が必要であり、作業に時間もかかるため、頻繁に修正・更新する必要がある内容には向きません。
詳細なデータや文字情報の伝達には向かない
動画は、動きや作業概要を視覚的に伝えることには適していますが、細かな文字情報の伝達には向きません。詳細なデータや、たくさんの注意事項を確認する必要があるマニュアルには文書の方が向いています。
紙のマニュアルと比較した場合の利点
上記のように、動画マニュアルにはメリット・デメリットがそれぞれありますが、とくに気になるのは従来の「紙のマニュアル」と比べたときの利点ではないでしょうか。紙のマニュアルを比較した場合の動画マニュアルのメリットは以下の通りです。
- 文字を読まなくても感覚的に理解できる
- 現場の映像などを活用することで、実際に作業するイメージが湧きやすい
- 資料を持ち歩く必要がない(スマートフォンなどいつも持ち歩く端末から視聴できる)
動画マニュアルはどんなケースに向いている?
では、動画マニュアルはどのような業務や作業を説明したい場合に向いているのでしょうか。動画マニュアルの活用が適しているケースを紹介します。
作業の「動き」をわかりやすく見せたい場合
動画によって機器の操作方法や組み立て方法など「動かし方」を視覚的に伝えたい場合に向いています。
作業の「流れ」を、順を追って解説したい場合
順を追った手順が必要なソフトウェアの操作方法など、作業の「順番」「流れ」をわかりやすく伝えたい場合に適しています。
専門的な知識がない人に説明する場合
動画マニュアルは直感的にわかりやすく、アルバイトスタッフなど、もともと専門的な知識がない人に作業概要をわかりやすく説明するのに向いています。
言語が異なる人に説明する場合(多言語対応・外国人への説明)
言語が異なる人に対し、言葉に頼らず、ビジュアルで作業内容を理解してもらうのに役立ちます。
動画マニュアルの種類
上記で紹介したように、動画マニュアルは「動き」や作業の「手順」「流れ」をわかりやすく見せたい場合、伝達内容を直感的に、誰でもわかるように伝えたい場合に向いています。動画活用が適したマニュアルの種類には以下のようなものがあります。
一方で「就業規則」「手続き細則」など、ルールを体系的に網羅したものは、文字(紙)のマニュアルの方が適しています。
- 操作マニュアル
- 取り扱いマニュアル
- 業務マニュアル
- 営業マニュアル
- 訓練マニュアル
- 接客マニュアル など
動画マニュアルの作り方
動画マニュアルの制作方法には、大きく分けて「自社で内製する」場合と、動画制作会社などに「外注する」場合があります。それぞれのメリット・デメリットには以下があります。
動画マニュアルを「内製する」メリット・デメリット
メリット
- 制作コストを抑えられる
- 自社で修正や更新がしやすい
デメリット
- 動画制作・編集のノウハウがいる
- 制作に人手や時間がかかる
動画マニュアルを外注するメリット・デメリット
メリット
- プロのノウハウで質の高い動画が作れる
- 複数の動画をスピーディに制作できる
デメリット
- 内製より制作コストがかかる
- 修正・更新の際にコストがかかる
なお、動画マニュアルの詳細な作り方の手順は以下の記事を参考にしてください。
動画マニュアルの事例
最後に、YouTubeで一般公開されている動画から、動画マニュアルの事例をピックアップして紹介します。
株式会社ナカオ:コンステージ取り扱いマニュアル動画
梯子、脚立、足場などの機器を販売するメーカーが配信する、製品の取り扱い方を説明した動画マニュアルです。実際に製品を扱う様子を実写で見せながら、安全に使うためのポイントなどを伝えています。
ジョブカン労務HR:動画マニュアル
労務管理ソフトである「ジョブカン」の操作方法を説明した動画マニュアルです。電子契約の流れを実際の画面遷移を見せながらわかりやすく解説しています。
トリニティ株式会社:貼るピタZ+の利用方法
スマートフォンの保護フィルムを販売するメーカーが配信する、フィルムの貼り付け方を解説した動画マニュアルです。概要欄には全工程の手順と再生開始時間が示されており、見たい項目にすぐにアクセスできます。
まとめ:動画マニュアルを効果的に活用しよう
この記事では、動画マニュアルを活用するメリット・デメリットや紙のマニュアルとの比較、活用事例などを紹介しました。
記事中で紹介したように、マニュアルの仕様は、目的や伝える内容、活用状況によって「動画が適している場合」と「文字(紙)が適している場合」があります。マニュアルで伝えたい内容や実際の活用シーンをよく考えたうえで、動画マニュアルを有効に活用しましょう。