ブランデッドムービーは、商品を売り込むのではなく、見る人が自分から見たくなる物語として、企業やブランドの考えを伝える映像です。
当社は、ブランデッドムービーを作るときに最初に決めることを、物語の中で商品をどこまで映すかだと考えています。商品を物語の中で使うのか、効果を説明せずに比喩やイメージで見せるのか、会社は語り手の後ろに回るのか。ここが決まると、物語の型も、尺も、流す場所も決めやすくなるからです。
この記事では、ブランデッドムービーとCMやコンセプトムービーとの違い、商品の映し方の決め方、物語の型、流す場所と尺、費用と制作期間を、当社が制作した事例をもとにご説明します。読者には、広報、マーケティング、ブランドのご担当者を想定しています。
ブランデッドムービーとは。売り込まず、見たくなる物語で伝える映像
ブランデッドムービーは、企業やブランドが、商品の機能を説明するのではなく、物語や作品として見てもらうことを通じて、考えや世界観を伝える映像です。ブランドムービーとも呼ばれます。辞書では、ブランデッドムービーは、ネイティブ広告などと並ぶブランデッドコンテンツの一つとされています。解説する会社によって定義にも幅があるため、本記事では、次の2つを満たす映像をブランデッドムービーと呼びます。
- 見る人に、広告としてではなく、物語や作品として見る理由がある
- 企業やブランドの考えが、商品の説明ではなく、物語の中で伝わる
たとえば、当社が株式会社シマノ様と制作した釣りのドキュメンタリーのシリーズは、海での釣りの挑戦を追った映像です。そのうち1本の実績ページには、YouTubeでの公開を前提に、最後まで見てもらえるテンポや構成を意識し、プロモーションとエンターテインメント性を両立させたと記しています。製品は、釣りの場面で使われる道具として登場します。
ブランデッドムービーとCM・ブランディング動画・コンセプトムービーの違い
当社は、ブランディング動画(ブランディングムービー)を、企業やブランドが何のために存在し、他と何が違うのかを伝える動画の総称として扱っています。コンセプトムービーとブランデッドムービーは、その中での伝え方の違いです。1本の動画が両方の性格を持つこともあります。
CMやショートドラマ広告も含めて、本記事での整理を表にまとめます。
| 種類 | 中心に置くもの | 商品の出し方 | 見終わったあとに残るもの |
|---|---|---|---|
| CM(テレビCM・Web広告) | 商品やサービス | 主役として見せる | 商品の特徴と、買う理由 |
| ショートドラマ広告 | 商品が役に立つ場面 | 困りごとを解決する役で登場させる | 商品の使い道 |
| コンセプトムービー | 言語化した1つのコンセプト | コンセプトを体験させる素材として見せる | コンセプトへの共感 |
| ブランデッドムービー | 物語や作品そのもの | 物語の中の一要素として見せる、または前に出さない | ブランドへの印象 |
当社は、CMとの一番の違いを、見る人に何で見てもらうかだと考えています。CMは商品の情報で、ブランデッドムービーは物語の面白さで見てもらう映像です。
ショートドラマ広告は、物語の形を取る点でブランデッドムービーと似ていますが、当社の整理では、商品が困りごとを解決する役を担い、見終わったあとに商品の使い道が残るものをショートドラマ広告と呼んでいます。詳しくはショートドラマとはでご説明しています。
コンセプトムービーは、映像より先に1つのコンセプトを言語化し、それを体験として見せる作り方です。作り方はコンセプトムービーとはにまとめています。

ブランデッドエンターテイメント、ブランディングムービーとの関係
本記事では、ブランディングムービーを、上で触れたブランディング動画と同じ意味で扱います。会社紹介や採用も含めた作り方の全体は、ブランディング動画の作り方と事例でご説明しています。
本記事では、ブランデッドムービーの中でも、娯楽として楽しまれることに重心を置いた作り方を、ブランデッドエンターテイメントと呼びます。当社の事例では、釣りのドキュメンタリーのシリーズがこれに近い形です。
ブランデッドムービーが使われる場面
当社が制作した事例の実績ページに記されている使い方(予定や想定を含む)から、ブランデッドムービーが使われる場面を整理します。
| 場面 | 主な流し方 |
|---|---|
| ブランドや商品の世界観を知ってもらう | 自社のYouTubeチャンネル、ホームページ |
| 国内外の市場でブランドを紹介する | 国内外でのブランディング活動(予定) |
| イベントで上映する | 国内外のイベント(想定) |
当社は、どの場面でも、見る人にその場で商品を買ってもらうことより、ブランドの印象を持ち帰ってもらうことを目的に置くのがブランデッドムービーだと考えています。購入の後押しを主な目的にするなら、CMや商品紹介動画のほうが向いています。
ブランデッドムービーは、商品をどこまで映すかを先に決める
当社が制作した事例10本を見ると、商品の映し方は、商品を前に出す度合いによって次の3つに分かれます。

商品を物語の中で使う
商品が、物語の中で使われる道具や、登場する人のそばにあるものとして映ります。機能は言葉で説明せず、使われる場面の中で伝わるようにします。当社の事例10本のうち6本が、この映し方でした。
当社は、この映し方が向くのは、使われる場面そのものに魅力がある商品だと考えています。釣り具なら海で釣る場面、音響機器なら音楽を聴く場面のように、場面を見せれば商品の価値が伝わるものです。
効果を説明せず、比喩やイメージで見せる
商品がもたらす効果を、説明ではなく、別のものに例えた映像や、使う人の1日のイメージで見せます。当社の事例では、化粧品のブランディング映像の2本が、この映し方でした。
当社は、この映し方が向くのは、効果が目に見えにくい商品だと考えています。説明すると長くなる効果を、1つの印象的な映像に置き換えるやり方です。
会社は語り手の後ろに回る
商品ではなく、企業の取り組みや事業の姿勢を伝えるために、描く物語や未来の姿を前に出し、会社は語り手の位置から一歩引く映し方です。当社の事例では、企業の取り組みや海外での事業を描いた2本が、この映し方でした。
当社は、この映し方が向くのは、1つの商品では語れない事業や、社会への取り組みを伝えたいときだと考えています。
1つ目から3つ目へ進むほど、映像の中の商品の説明は減ります。当社は、ブランドの印象づけと商品の購入の後押しを1本で兼ねたいなら1つ目の映し方、印象づけに絞るなら2つ目か3つ目の映し方から考えることをおすすめしています。
ブランデッドムービーの物語の4つの型
商品の映し方を決めたら、次に物語の型を選びます。当社の事例を型で分けると、次の4つになります。向く商材と撮影の特徴は、当社の整理です。
| 型 | どんな物語か | 向く商材・テーマ | 撮影の特徴 |
|---|---|---|---|
| ドキュメンタリー | 実際の人や挑戦を追う | 使う場面に挑戦や技術がある商品 | 撮影の現場で起きることを撮る。天候など当日の条件に左右されやすい |
| 世界観と歴史 | ブランドの由来や美意識を見せる | 歴史や産地など、すでに語れる背景を持つブランド | 素材の質感や、場の空気感を作り込む |
| イメージ映像 | 効果や思いを、比喩や情景のイメージで見せる | 効果が目に見えにくい商品 | 例えに使うものや情景を、狙いどおりに撮れるよう作り込む |
| ドラマ | 登場人物の日常や、描きたい未来を物語にする | 使う場面や取り組みを、物語として作れるもの | 脚本と、出演者かそれに代わる映像表現(CGなど)が要る |
型を選ぶときは、その商品やブランドにすでに物語があるかどうかを手がかりにしてください。挑戦の現場や長い歴史がすでにあれば、ドキュメンタリーか世界観と歴史の型でそれを撮りに行けます。まだない場合は、ドラマかイメージ映像で物語を作ることになります。
説明を減らすブランデッドムービーで、社内で揃えておくこと
ブランデッドムービーは、商品の説明を減らす作り方です。当社は、制作の途中で意見が分かれやすいのは、説明をどこまで減らすかの判断だと考えています。当社の事例でも、ご相談の段階で「広告・宣伝だけの動画にはしたくない」という課題をいただき、機能の説明に偏りすぎない構成をご提案したことがあります。
途中で「やはり機能をもっと入れたい」とならないよう、当社は、企画に入る前に社内で次の5つを揃えておくことをおすすめしています。
- この動画の目的は、ブランドの印象づけか、商品の購入の後押しか、その両方か
- 商品の映し方を、3つのうちどれにするか
- 映像の中で伝える機能や情報を、どこまでに絞るか
- 公開したあと、何を見て成果を判断するか
- 企画と仕上がりを、社内の誰が最終判断するか
1と2を先に決めると、3の情報の絞り方も決めやすくなります。4の成果の見方は、社内で予算を通すときの説明にも使えます。稟議に書く項目はブランディング動画の作り方と事例でまとめています。
ブランデッドムービーの尺は、流す場所から決める
当社は、広告の枠に合わせて尺を作るCMと違い、ブランデッドムービーは内容から尺を決められる映像だと考えています。ただ、実際には流す場所から決めるのが現実的です。当社の事例10本の尺は、60秒以上が7本、15秒から60秒が3本でした。
| 流す場所 | 尺の考え方(当社の目安) | 作りで気をつけること |
|---|---|---|
| 自社のYouTubeチャンネル | 物語が必要とする長さでよい | 最後まで見てもらえるテンポと構成にする |
| ブランドのWebサイト | 本編を置き、短い版も用意する | ページの目的に合わせて、本編と短い版を使い分ける |
| 展示会・イベントでの上映 | 本編から、会場で足を止めてもらえる長さの版を切り出す | 音が聞こえにくい会場でも伝わる映像にする |
| SNSの広告 | 本編から短い版を切り出す | 冒頭で物語の入り口を見せる |
当社は、物語を作るブランデッドムービーでは、先に本編を作り、そこから短い版や会場で流す版を切り出す順番を推奨しています。短い版だけを先に作ると、あとから長い本編に広げるのは難しいからです。会場での上映の作り方は展示会動画の作り方でご説明しています。

ブランデッドムービーの企画案は、複数並べて選ぶ
当社は、物語の型は、実際に案を見比べてから決めるほうが選びやすいと考えています。当社の事例でも、化粧品のブランディング映像で、複数のクリエイターから企画を募り、その中から選んでいただいたものがあります。
型が決まっていないうちは、型の違う案を並べて比べてみてください。比べるときの基準は、前の章で揃えた目的と商品の映し方です。当社は、案の面白さだけで選ぶと、目的からずれた案が残りやすいと考えています。当社の登録クリエイター2,500名のネットワークから、複数のクリエイターに企画を出してもらうこともできます。
ブランデッドムービーの費用と制作期間
当社では、ブランデッドムービーを、会社紹介や採用の動画と並んで、100万円から299万円の予算帯の例として料金ページに載せています。
料金ページに挙げている、金額が動く主な要因は次のとおりです。
- 動画の長さ
- 撮影日数・時間
- カメラの台数
- スタッフなど制作に関わる人数
- タレントやモデルの有無
- ロケ会場のレンタル費
- CG・アニメーションの有無
当社は、物語の型によって費用のかかり方が変わると考えています。ドキュメンタリーは撮影日数と移動、ドラマは脚本と、出演者かそれに代わるCGの制作、イメージ映像は例えに使うものや情景の準備に費用がかかりやすい型です。撮影場所によっては、移動交通費や宿泊費もかかります。
出演者を起用した場合は、契約期間が定められていれば、更新のときに費用が発生します。長く使う前提のブランデッドムービーでは、出演者の契約期間を、動画を使う予定の期間と合わせて決めておいてください。
制作期間は、当社の事例10本で1.5ヶ月から4ヶ月でした。最も多いのは2ヶ月で、6本でした。4ヶ月かかった1本は、海外で撮影した事例です。
費用の全体像は動画制作の費用相場と当社の料金ページをご覧ください。
ブランデッドムービーの事例。何を物語にしたか
当社の制作実績のうち、商品の機能説明を中心にせず、物語や世界観として見せたと実績ページに記している10本(7社)をまとめます。
| 事例 | 物語の型 | 商品の映し方 | 実績ページに記された使い方 | 尺・制作期間 |
|---|---|---|---|---|
| シマノ様 OCEA×トカラ列島GT編 | ドキュメンタリー | 物語の中で使う | YouTubeでの公開 | 60秒以上・2ヶ月 |
| シマノ様 TPSW×男女群島ロックショア編 | ドキュメンタリー | 物語の中で使う | 記載なし | 60秒以上・2ヶ月 |
| シマノ様 OCEA×玄界灘ヒラマサ編 | ドキュメンタリー | 物語の中で使う | 記載なし(YouTubeチャンネルへのリンクあり) | 60秒以上・2ヶ月 |
| チャイルド様 ジョルジオスタメッラPV | 世界観と歴史 | 物語の中で使う | 記載なし | 60秒以上・3ヶ月 |
| ソニー様 オーディオ製品のブランディング映像 | 世界観と歴史 | 物語の中で使う | 国内外のブランディング活動(予定) | 60秒以上・1.5ヶ月 |
| ハイサイド・コーポレーション様 HQ110のブランディング映像 | イメージ映像 | 比喩やイメージで見せる | Web、YouTube、海外のイベント(想定) | 15秒〜60秒・2ヶ月 |
| ハイサイド・コーポレーション様 アクティブフォーミュラIIのブランディング映像 | イメージ映像 | 比喩やイメージで見せる | Web、YouTube、国内外のイベント(想定) | 15秒〜60秒・2ヶ月 |
| JTB様 カーボンニュートラルブランディング動画 | ドラマ | 会社は後ろに回る | 記載なし | 60秒以上・2ヶ月 |
| ヤマハ様 コミュニケーションロボット紹介動画 | ドラマ | 物語の中で使う | ホームページ、YouTubeチャンネル | 15秒〜60秒・3ヶ月 |
| 鹿島建設様 海外事業部ブランディング動画 | ドラマ | 会社は後ろに回る | 記載なし | 60秒以上・4ヶ月 |
いくつかの事例について、実績ページに記した内容を補足します。
シマノ様のシリーズは、釣り人がキハダマグロ、ヒラマサ、GTを狙う様子を追ったドキュメンタリーです。トカラ列島GT編では、自然環境の厳しさや釣行の緊張感を切り取り、単なる製品紹介にとどまらない、ストーリー性のある映像コンテンツに仕上げています。
チャイルド様のレザーベルトブランドの映像は、「広告・宣伝だけの動画にはしたくない」という課題をいただいた事例です。1985年にイタリアで生まれたブランドの歴史と世界観を描きながら、劣化した革の部分を交換できるという機能を、説明に偏りすぎず映像の流れの中で伝えています。
ハイサイド・コーポレーション様のHQ110の映像では、墨をシミに例え、墨が消えていく映像で、美容液が素肌に届いていることを想起させる内容にしました。複数のクリエイターから企画を募って選んでいただいた事例です。
ソニー様のオーディオ製品の映像は、ブランドコンセプト「Music Bridges Us」のもと、ドイツ・ベルリンで撮影しました。ヴァイオリニストの演奏と、アーティストとリスナーに寄り添うブランドのビジョンと商品を1本の映像に融合させています。撮影は現地ドイツ在住のクリエイターチームが担当しました。
鹿島建設様の海外事業部の映像は、海外への進出を冒険の連続に見立て、それを支える鹿島建設様の姿をストーリー調で描いたものです。撮影は海外で行い、当社は遠隔からディレクションしました。
ブランディングに関わる事例はブランディングの動画制作実績でもご覧いただけます。
ブランデッドムービーでよくある質問
ブランデッドムービーとは何ですか?
商品を売り込むのではなく、物語や作品として見てもらうことを通じて、企業やブランドの考えや世界観を伝える映像です。呼び名や定義には幅がありますが、当社は、見る人に物語として見る理由があること、ブランドの考えが商品の説明ではなく物語の中で伝わることの2つを満たす映像を、ブランデッドムービーと呼んでいます。
ブランディングムービーとは何ですか?
企業やブランドが何のために存在し、他と何が違うのかを伝える動画の総称です。ブランディング動画とも呼ばれます。当社は、ブランデッドムービーとコンセプトムービーを、ブランディングムービーの中での伝え方の違いとして扱っています。
ブランデッドエンターテイメントの例は?
当社は、ブランデッドムービーの中でも、娯楽として楽しまれることに重心を置いた作り方を指す言葉として扱っています。当社の事例では、釣り具メーカーの製品が登場する釣りのドキュメンタリーのシリーズが、これに近い形です。
ブランデッドムービーの制作費用はいくらですか?
当社では、ブランデッドムービーを100万円から299万円の予算帯の例として料金ページに載せています。金額は、撮影日数、スタッフの人数、出演者、ロケ、CGの有無などで変わります。海外での撮影が入る場合や、出演者を起用する場合は、その分の費用が加わります。
ブランデッドムービーの効果はどう測りますか?
売上との結びつきでは測りにくいため、当社は、公開前に基準となる数字を取ったうえで、会社名やブランド名での検索の数、動画が最後まで見られているか、商談での反応、面接で動画に言及する応募者がいるかを、公開の3か月から6か月後に見ることをおすすめしています。詳しくはブランディング動画の作り方と事例の効果の測り方の章をご覧ください。
まとめ: ブランデッドムービーは、商品の映し方と物語の型を先に決め、流す場所から尺を逆算する
ブランデッドムービーは、商品を売り込むのではなく、物語として見てもらうことで、企業やブランドの考えを伝える映像です。
当社は、作るときに最初に決めることを、商品をどこまで映すかだと考えています。商品を物語の中で使うのか、効果を比喩やイメージで見せるのか、会社は語り手の後ろに回るのか。次に、ドキュメンタリー、世界観と歴史、イメージ映像、ドラマの4つの型から物語を選びます。
説明を減らす作り方なので、目的と商品の映し方は企画に入る前に社内で揃えておいてください。尺は流す場所から決め、本編を先に作ってから短い版を切り出します。型が決まらないときは、型の違う企画案を並べて比べると決めやすくなります。
ブランデッドムービーの制作はブランディングの動画制作で承っています。
1,000社5,000本以上の実績