採用動画の事例を探すとき、多くの採用担当者は「かっこいい動画」「話題になった動画」から入ります。ただ、私たちの経験では、その選び方は遠回りです。採用動画はタイプごとに解決できる採用課題が違うため、見た目から入ると、自社の課題に合わない動画ができあがるからです。
私たちVIDWEBが実施したZ世代の就活意識調査では、就職後の不安の1位は人間関係(59.1%)、入社前後のギャップ解消に必要だと思う動画コンテンツの1位は社員の1日密着動画(51.8%)でした。学生が見たいのは演出の派手さではなく、「誰と、どんな空気の中で働くのか」です。この記事では、当社が制作した採用動画の実例15選をタイプ別に、制作期間・表現の実データつきで紹介し、採用課題から逆算する選び方を解説します。
採用動画は「採用課題」から選ぶ
採用動画のタイプは、当社の公開実績を分類すると6つに分かれます。1日密着、社員インタビュー・座談会、ブランディング・コンセプトムービー、アニメーション・インフォグラフィック、職場・オフィス紹介、AIアバターです。
どのタイプを選ぶかは、自社の採用課題から逆算します。

| 採用課題 | 合うタイプ | 根拠となる調査データ |
|---|---|---|
| 入社後のギャップ・早期離職を減らしたい | 1日密着、職場・オフィス紹介 | ギャップ解消に必要なコンテンツの1位は1日密着動画51.8%、3位はオフィスツアー30.0% |
| 人間関係・社風の不安に応えたい | 社員インタビュー・座談会 | 就職後の不安の1位は人間関係59.1% |
| 知名度不足で母集団が集まらない | ブランディング、ショート動画 | 認知段階の接点はYouTube・SNS(就活の情報収集で31.8%が利用) |
| 事業内容が言葉で伝わりにくい | アニメーション・インフォグラフィック | BtoB・技術系の事業を図解で翻訳する |
| 説明会・媒体向けに量産したい、急ぎで必要 | AIアバター | 当社サンプルの制作実測は3〜7日 |
根拠に使っているのは、当社が2024年9月に実施した18〜29歳110名へのインターネット調査です。以降の章でも、このデータと当社の制作実例だけを根拠に解説します。
採用動画の事例15選。すべて当社の制作実例
まず15本の全体像です。すべて当社が制作し、実績ページで公開している事例です。制作期間と表現は各実績ページの記載、価格帯は当社料金ページの予算別実例に掲載しているものです。
| 事例 | タイプ | 表現 | 制作期間 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 伊藤忠丸紅鉄鋼(タイ編) | 1日密着 | 実写(海外ロケ) | 2ヶ月 | 300万円〜 |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼(ベルギー編) | 1日密着 | 実写(海外ロケ) | 2ヶ月 | 100〜299万円 |
| EPSホールディングス(座談会) | 座談会 | 実写 | 4ヶ月 | – |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼(社員紹介) | 社員インタビュー | 実写 | 4ヶ月 | – |
| HmletJapan | 社員インタビュー | 実写 | 2ヶ月 | – |
| 日本道路 | ブランディング | 実写(3本構成) | 3ヶ月 | 100〜299万円 |
| 三井物産ケミカル | ブランディング | 実写 | 3ヶ月 | – |
| ワークポート | ブランディング | 実写 | 2ヶ月 | 〜49万円 |
| アロジー | ブランディング | 実写 | 3ヶ月 | – |
| ウィルオブ・ワーク | アニメーション | アニメーション | 3ヶ月 | – |
| EPSホールディングス(規模・実績編) | アニメーション | アニメーション | 4ヶ月 | – |
| ナブテスコ | アニメーション | アニメーション | 3ヶ月 | – |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼(オフィスツアー) | 職場・オフィス紹介 | 実写(海外ロケ) | 4ヶ月 | – |
| 都立広尾病院 看護部 | 職場・オフィス紹介 | 実写 | 1ヶ月 | – |
| AIアバター(人材採用編) | AIアバター | 生成AI | 3〜7日 | – |
以下、タイプ別に見どころを解説します。
1日密着型の事例
当社が制作した伊藤忠丸紅鉄鋼の「海外勤務の1日密着」タイ・バンコク編は、海外駐在員の1日をドキュメンタリーで追った実写シリーズの第1弾です。制作期間2ヶ月、300万円以上の価格帯です。飾らない働く姿をそのまま見せる構成は、当社調査でギャップ解消コンテンツの1位に挙がった「1日密着」の王道の形です。
同シリーズのベルギー・アントワープ編は第4弾にあたり、制作期間は同じ2ヶ月ながら、フォーマット確立後のため100〜299万円の価格帯で制作しています。シリーズ化で1本あたりの負担が下がる実例です。1日密着の構成や作り方の詳細は社員の1日密着動画の解説にまとめています。
社員インタビュー・座談会型の事例
EPSホールディングスの採用向け座談会動画は、前編・後編の2本構成で社員の本音の掛け合いを見せる実写です。イラスト作成まで含めて制作期間4ヶ月でした。1人ずつのインタビューと違い、社員同士の会話から職場の空気と人間関係が伝わるのが座談会の強みで、不安の1位が人間関係というZ世代の調査結果に正面から応えるタイプです。
伊藤忠丸紅鉄鋼の東京AP社員紹介動画は、密着シリーズから派生した社員紹介の実写で、制作期間4ヶ月。HmletJapanのブランディング・採用向け動画は、社員インタビューを軸にした標準的な規模の実写で、制作期間2ヶ月です。人の言葉で会社を語らせたい場合の基本形になります。
ブランディング型の事例
日本道路の採用動画は「道の先の未知を切り拓く」というコンセプトを立てた実写で、長編・ダイジェスト・広告用の3本を一度の制作でまとめました。制作期間3ヶ月、100〜299万円の価格帯です。1回の撮影から複数の使い道を作る設計は、採用サイト・説明会・広告と接点が多い採用活動と相性の良い作り方です。
三井物産ケミカルの新卒採用向けブランディング動画は制作期間3ヶ月の実写、アロジーの採用ムービーは採用と会社紹介・展示会を兼ねる制作期間3ヶ月の実写です。そしてワークポートの採用動画は、複数名のインタビューとオフィス撮影を組み合わせて、49万円以下の価格帯・制作期間2ヶ月で成立させた実例です。採用動画は必ずしも高額ではないことを示す事例として参考になります。
アニメーション・インフォグラフィック型の事例
ナブテスコの採用向け会社紹介動画は、事業データをイラスト化したインフォグラフィック型のアニメーションです。BtoB企業の事業内容は言葉だけでは学生に伝わりにくいため、統計を絵で見せ、字幕で無音視聴にも対応させています。制作期間は3ヶ月です。
EPSホールディングスの採用向けグループ紹介(規模・実績編)は、規模・実績、海外事業、キャリアの3本シリーズで会社理解を段階的に深めるアニメーションで、座談会の実写と組み合わせて運用されています。制作期間は4ヶ月です。ウィルオブ・ワークの採用PR動画も、サービスの仕組みと働き方をアニメーションで整理した1本で、制作期間3ヶ月です。撮影日程の調整が不要なため、出演者を確保しにくい会社でも進めやすいタイプです。
職場・オフィス紹介型の事例
伊藤忠丸紅鉄鋼のMISI海外オフィスツアー(アブダビ編)は、海外オフィスを歩きながら見せる実写で、制作期間4ヶ月です。働く場所を具体的に見せるタイプは、当社調査でギャップ解消コンテンツの3位(30.0%)に挙がったオフィスツアーの実例です。
都立広尾病院の看護部紹介動画は、医療現場の雰囲気を伝える実写を制作期間1ヶ月で仕上げた事例です。現場の日常を見せる採用動画が、短期間・小規模でも成立することを示しています。
AIアバター型の事例
AIアバター動画サンプル(人材採用編)は、AIアバターとAI音声で構成した採用説明動画のサンプルで、制作期間は3〜7日です。撮影も出演者調整も不要なため、職種別の説明動画を量産したい場合や、説明会直前に急ぎで1本必要な場合の現実的な選択肢になります。AIアバターを業務で使う際のリスクと安全対策はAIアバターの危険性と対策の解説をご覧ください。
採用動画とは。効果の要点を整理する
採用動画は、会社の事業・働く人・職場環境を採用候補者に伝え、応募の動機づけと入社後のミスマッチ低減につなげる動画です。効果の要点を表に圧縮します。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 主な効果 | 入社後ギャップの低減、社風・働く人の可視化、応募動機の形成、説明会・面接の説明工数の削減 |
| 文章・写真に対する強み | 動画を交えた企業紹介のほうが理解しやすいと答えた割合は61.8%(当社調査) |
| 置き場所の優先順位 | 就活の情報収集チャネルは企業Webサイト55.5%、採用ポータル48.2%、YouTube・SNS31.8%(当社調査)。まず採用サイトに置き、そこからSNS・説明会へ展開する |
| 注意点 | 実態より良く見せると入社後ギャップを広げて逆効果になる。ミスマッチ低減が目的なら、飾らない構成にする |
効果のより詳しい整理は採用動画の効果とメリットの解説にまとめています。
採用動画の費用相場
当社の料金ページでは、採用動画の相場を50万〜200万円としています。ただし、実例はこの幅の外側にもあります。事例15選のうち価格帯を公開している4本を並べると、ワークポートが49万円以下、日本道路と伊藤忠丸紅鉄鋼ベルギー編が100〜299万円、伊藤忠丸紅鉄鋼タイ編が300万円以上です。
金額を動かしているのは尺の長さではなく、撮影の規模(日数・ロケ地・海外かどうか)、出演者・キャスティングの体制、納品本数です。同じ1日密着シリーズでも、立ち上げのタイ編が300万円以上、フォーマット確立後のベルギー編が100〜299万円という差は、その構造をよく表しています。費用の内訳と抑え方は動画制作の費用相場の解説をご覧ください。
制作期間の実測。29件の中央値は3ヶ月
当社が公開している採用・リクルート分野の制作実績は、クライアント案件で29件あります(自社サンプルを除く)。その制作期間の分布です。

| 制作期間 | 件数 |
|---|---|
| 1ヶ月 | 2件 |
| 1.5〜2ヶ月 | 8件 |
| 2.5〜3ヶ月 | 9件 |
| 3.5〜4ヶ月 | 9件 |
| 8ヶ月 | 1件 |
中央値は3ヶ月です。当社の動画制作全体の実測(149件・中央値2ヶ月)より長めで、理由は採用動画の作り方にあります。出演する社員のスケジュール調整が必要なこと、人事・現場・経営と確認の関係者が多いこと、密着や座談会は撮影日そのものが会社の行事に左右されることです。表現の内訳は実写20件・アニメーション7件・実写とアニメなどの混成2件で、29件すべてが60秒以上の尺でした。
新卒採用では、広報解禁や説明会など使用開始日が動かせません。標準の3ヶ月に社内確認の予備1ヶ月を足して、公開の4ヶ月前には着手することをおすすめします。急ぐ場合は、AIアバター型なら3〜7日、職場紹介型なら1ヶ月の実例があります。工程の詳細は動画制作の依頼から納品までの流れで解説しています。
採用プロセスのどこで使うか
採用動画は「1本作って採用サイトに置いて終わり」ではなく、採用プロセスの段階ごとに効く場所が違います。

| 採用プロセス | 使う動画 | 狙い |
|---|---|---|
| 認知 | ショート動画、ブランディング | YouTube・SNSで社名を知らない層と接点を作る |
| 応募検討 | 会社紹介、ブランディング | 採用サイトで事業と働く意味を伝え、応募の動機を作る |
| 選考中 | 1日密着、社員インタビュー、座談会 | 仕事のリアルを見せてミスマッチを選考前に解消する |
| 内定後 | オフィスツアー、座談会 | 職場と人を具体的に見せて内定辞退と入社後ギャップを防ぐ |
内定後まで動画を使う理由は調査データにあります。当社のZ世代調査では、内定辞退の理由の2位が「オフィスの雰囲気が合わない」(32.7%)でした。また、面接辞退の理由には「希望と異なると感じて再考」(38.2%)が最上位に並びます。つまり、職場のリアルな情報が遅い段階まで伝わっていないことが、辞退の大きな要因になっています。選考前と内定後に密着・オフィスツアー型を配置すると、この取りこぼしを前倒しで防げます。
なお、会社紹介動画と採用動画を兼用したい場合は、構成の考え方が少し変わります。会社紹介動画の事例と構成パターンの解説とあわせてご覧ください。
ベンチャー企業の採用動画で差をつけるポイント
ベンチャー企業の採用は、そもそも知名度では大手と勝負になりません。その前提に立つと、採用動画の役割ははっきりします。会社の看板の代わりに、働く人と現場の熱気で選ばれる状態を作ることです。人と熱気は、テキストや写真より動画が得意とする領域です。当社の制作経験から、ポイントは4つです。
- 企業理念は経営者や社員が自然体で語る。台本の朗読ではなく、自分の言葉で話す場面を残します
- ターゲットに最も近い社員に経験談を語らせる。学生は役員の実績より、入社2〜3年目の等身大の話に自分を重ねます
- 社内のコミュニケーションシーンを多く入れる。就職後の不安の1位は人間関係(59.1%)です。会議・雑談・ランチなど、人が関わり合う場面が最も雄弁な回答になります
- 1本で終わらせずシリーズ化する。当社の採用実績29件のうち14件は、伊藤忠丸紅鉄鋼(6本)・EPSホールディングス(5本)・荒井商事(3本)の3社によるシリーズです。1本目で確立した構成を流用でき、2本目以降は効率が上がります
採用動画の効果測定
公開して終わりにせず、数字で振り返る指標を決めておきます。見るべきは、再生数、視聴維持率(どこで離脱したか)、採用サイトの滞在時間の変化、動画設置後の応募率、そして説明会や面接で「動画を見た」と言われる頻度です。視聴維持率の落ちる箇所は、次の1本の構成を直すヒントになります。最新の見せ方の潮流は採用動画のトレンドの解説で詳しく扱っています。
発注前チェックリスト
事例と調査データを、発注前に決めることに落とし込むと次の6つです。
- 解決したい採用課題を1つに絞る(母集団形成か、ミスマッチ低減か、辞退防止か)
- ターゲットを決める(新卒か中途か、職種はどこか)
- 使う場面と置き場所を決める(採用サイト、説明会、YouTube・SNS)
- 使用開始日から逆算する(標準3ヶ月に予備1ヶ月。実測データを目安に)
- 出演者と社内決裁の段取りを先に押さえる(採用動画の期間を延ばす最大要因)
- シリーズ化の可能性を制作会社に伝える(2本目以降の設計と単価が変わる)
採用動画のよくある質問
採用動画の相場はいくらですか?
当社の料金ページでは50万〜200万円を目安としています。実例では、49万円以下で制作したワークポートの採用動画から、海外密着で300万円以上の伊藤忠丸紅鉄鋼タイ編まで幅があります。金額を動かすのは撮影規模・キャスティング・納品本数です。
採用動画を作るコツは?
かっこよさではなく採用課題から逆算することです。そのうえで、出演者は自然体で、ターゲットに近い社員を起用し、人間関係が伝わる場面を多く入れることをおすすめします。当社の調査で、学生の不安の1位は人間関係、ギャップ解消に必要なコンテンツの1位は1日密着動画でした。
採用動画は本当に必要ですか?
当社の調査では、動画を交えた企業紹介のほうがテキストのみより理解しやすいと答えた割合が61.8%でした。事業内容が言葉で伝わりにくいBtoB企業や、知名度で母集団が集まりにくい会社ほど効果が出やすいと考えています。逆に、実態と乖離した動画はギャップを広げるため、作ること自体が目的化している場合は立ち止まるべきです。
制作期間はどのくらいかかりますか?
当社の採用動画29件の実測では中央値3ヶ月です。最短は職場紹介型の1ヶ月、AIアバター型なら3〜7日のサンプル実績があります。新卒採用は使用開始日が固定のため、4ヶ月前の着手が安全です。
中途採用にも使えますか?
使えます。特に1日密着と社員インタビューは、仕事内容と裁量のリアルを見せられるため、入社後ギャップを警戒する中途候補者に有効です。訴求の重心を、新卒向けの社風・成長環境から、キャリアパス・裁量・働き方の実際へ移すのがポイントです。
まとめ。事例は「課題→タイプ→実例」の順で見る
採用動画づくりで最初に決めるのは、テイストではなく採用課題です。課題が決まればタイプが絞られ、タイプが決まれば参考にすべき事例と期間・費用の目安まで逆算できます。当社のZ世代調査が示すとおり、候補者が見たいのは「誰と、どんな空気で働くか」であり、それを最も正直に見せた会社が選ばれます。
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