近年、企業がYouTubeチャンネルを運用するケースが増えています。2022年7月現在、全世界のYouTube利用者数は20億人を超えており、運用がうまくいけば認知拡大やリード獲得など、あらゆるマーケティング施策に活用できるはずです。
しかし、企業向けのチャンネル活用は、まだノウハウが確立されていない部分があります。登録者数や視聴回数に伸び悩み、何から手を付けていいのかわからない企業は多いのではないでしょうか。
この記事では、YouTubeのアルゴリズム8項目の対策とVSEO対策、動画設定のポイントについて解説します。チャンネル登録者数を増やしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
なぜYouTubeのチャンネル登録者数を増やす必要があるのか?
チャンネル登録者数は、チャンネル登録していない視聴者に比べて2倍動画を視聴することがわかっています。登録者数が増えれば顧客接点を強化できますし、視聴回数が伸びれば上位表示される可能性も高くなります。
ただ、企業チャンネルはターゲットではないユーザーに視聴・拡散されてもあまり意味がありません。なぜなら、チャンネルの運用目的がブランド認知やリーチ拡大だからです。
もしチャンネル運用の目的がマネタイズであるなら、社内で新たにメディア事業部を立ち上げるくらいの覚悟が必要です。YouTubeは1再生あたり0.05円〜0.7円、1万回再生されても500〜7,000円程度です。月30本以上の更新、登録者数を10〜20万人程度確保できない限り採算は合いません。
企業チャンネルで大切なのは、自社のターゲット層に動画を視聴してもらい、チャンネル登録してもらうことです。
企業YouTubeチャンネルの登録者数を増やすには?
企業のYouTubeチャンネルの登録者数を増やすには、具体的に何をすればよいのでしょうか。
企業チャンネルは個人とは異なり、チャンネル自体にファンがついたり、拡散されたりする可能性は低くなります。コストや人的リソースにも限りがあります。だからこそ、自社がターゲットとするユーザーに狙いを定めてチャンネル登録してもらう必要があるのです。
企業がチャンネル登録者数を増やす方法は以下の3つです。
- YouTubeのアルゴリズム8項目の分析
- VSEO対策
- カード・終了画面の設定
それぞれについて解説していきます。
YouTubeチャンネルの登録者数を増やす方法①YouTubeのアルゴリズム8項目の分析
YouTubeのアルゴリズムは、ユーザーの行動やコメントを分析して、以下の経路にユーザーの趣味嗜好に合った動画を表示します。
- Google検索
- YouTube検索・視聴データ
- 関連動画
- ホーム画面/おすすめ欄
自社の動画をYouTubeのアルゴリズムに合わせてアップデートしていけば、チャンネル登録者数も増やせるという考え方です。ここからは、YouTubeのアルゴリズム8項目について解説します。
- 検索キーワードとの関連性
- インプレッション数(表示回数)
- クリック率
- 再生回数の初速
- エンゲージメント
- 視聴維持率(平均視聴時間)
- 総再生時間
- 動画の長さ
1.検索キーワードとの関連性
YouTubeのアルゴリズムは、動画のタイトル、タグ、説明文、動画コンテンツが検索クエリ(ユーザーが実際に検索した単語や単語の組み合わせ)にどれだけ一致するかを判断しています。
さらに、Google検索とYouTube内での検索においては、動画の内容に関連キーワードが含まれているのかを解析できるようになっています。
そのため、ユーザーが不自然に感じない程度に関連キーワードを声に出して言及したり、テロップや字幕で関連キーワードを表示したりすると、上位表示される可能性が高くなります。
参考:Google検索で動画の主な出来事を表示する方法 | Search Central Lightning Talks
2.インプレッション数(表示回数)
インプレッション数とは、YouTube上で自社の動画のサムネイルが表示された回数のことです。視聴者の画面に1秒以上表示され、かつ画面の半分以上にサムネイルが表示されることで1インプレッションとしてカウントされます。
インプレッションとしてカウントされる表示先の詳細は以下の通りです。
インプレッションがカウントされる場合 | インプレッションがカウントされない場合 |
---|---|
|
|
インプレッション数はこの後に説明するクリック数の母数となります。
インプレッション数を増やすには、動画のタイトルにわかりやすくキーワードを盛り込む、視聴者が多い時間帯を狙って投稿するなどの対策が有効です。
3.クリック率
クリック率とは、サムネイルが表示された回数(インプレッション数)のうち、何回クリックされたのかを示す値のことです。
YouTubeのアルゴリズムは、クリック率がカウントされた後、視聴者が動画を視聴した頻度を測定します。クリック率は一般的に3〜8%と言われており、この数値が高いほど再生回数は伸びていきます。
クリック率を上げるためには、インプレッション数を上げるとともに、視聴者が思わずクリックしたくなるインパクトのあるサムネイルにすることが大切です。
効果的なサムネイルの作り方は以下のページで詳しく解説しています。
4.再生回数の初速
再生回数の初速とは、投稿24時間以内にどれだけ早く再生回数を獲得したかを示す数値のことです。
YouTubeは単純な再生回数よりも、再生回数の初速を重視しています。なぜなら、TwitterやInstagramなどのSNS投稿でいいねやコメントが多く集まる動画の方が、短時間でより多くのユーザーにアプローチできるからです。
急激に再生数が伸びた動画は急上昇動画としてフィードに表示されやすくなるため、チャンネル登録される確率もアップします。
5.エンゲージメント
エンゲージメントとは、視聴回数、高評価、低評価、チャンネル登録者数など、自社の動画に対するリアクションを示す数値です。エンゲージメントが高いほど動画の質が高いと評価され、再生回数に関わらず検索結果や関連動画に表示されやすくなります。
エンゲージメントを高めるために、動画コンテンツ内にチャンネル登録のボタンを設置したり、自社のWebサイトにチャンネル登録を促すリンクを埋め込んだりしてみましょう。
動画の最後に高評価やコメントを依頼する文言を添えるのも有効です。
6.視聴維持率(平均視聴時間)
視聴維持率とは、1再生あたりの平均視聴時間のことです。視聴維持率はこの後説明する総再生時間に関係するため、50%以上を目指しましょう。
視聴維持率の低い動画は、タイトルと動画の内容が乖離している可能性が高いです。YouTube Studioで動画ごとの視聴維持率を確認し、50%を下回っている動画があれば、キーワードとタイトル、サムネイルに関連性があるか確認します。
7.総再生時間
総再生時間は、動画単位とチャンネル全体の2つで評価されます。YouTubeはユーザーの滞在時間を重視しているため、総再生時間が長いほど上位表示されやすくなります。
視聴維持率の改善とともに、チャンネル内にある他の動画も見てもらえるように誘導し、チャンネル全体の総再生時間も伸ばしていきましょう。
8.動画の長さ
試聴維持率を伸ばすために、適切な動画の長さに調整する必要があります。
動画の再生時間はサムネイルの右下に表示されます。企業チャンネルはやや堅いイメージがあるため、視聴者が気軽に視聴できるよう、10分程度の長さにすることをおすすめします。テンポやカット技術で視聴者を飽きさせない工夫も必要です。
ただ、動画の内容によっては3〜5分程度の長さが好まれるケースもあります。自社と同じジャンルの動画を調査してから動画の長さを決めましょう。
YouTubeチャンネルの登録者数を増やす方法②VSEO対策
VSEO(Video Search Engine Optimization)とは、GoogleやYouTubeなどをはじめとした検索エンジンにおいて、検索キーワードと関連する動画コンテンツが上位表示されるように最適化をすることです。
VSEOを意識して動画の上位表示を狙うことで、多くの人にリーチできるようになり、結果としてチャンネル登録者数を増やすことにつながります。
VSEOの具体的な対策方法については以下のページで詳しく解説しています。
YouTubeチャンネルの登録者数を増やす方法③カード・終了画面の設定
カード・終了画面を設定してチャンネル登録者数を増やす方法を紹介します。
1.カードを設定する
カードとは、動画の右上に5秒間だけ特定の動画、再生リスト、チャンネル、外部リンクを表示できる機能のことです。
動画投稿時に表示される「動画の要素」の中にある「カードの追加」を選択するか、YouTube Studioのコンテンツから動画を選び、「動画の詳細」から「カード」を選択することで設定できます。
カードは1〜5つまで設定できます。以下はカードを設置するタイミングの例です。
- 視聴者の離脱率が高い冒頭15秒前後(興味を引く目的)
- 動画内でチャンネルについて解説しているところ
- まとめに入る前
短いスパンで設置してしまうと視聴の邪魔になってしまうため、適宜調整しましょう。
2.終了画面を設定する
終了画面とは、動画の終了に合わせて5〜20秒の間、チャンネル登録ボタンや別の動画に遷移するリンクなどを表示する機能のことです。
動画投稿時に表示される「動画の要素」の中にある「終了画面の追加」を選択するか、YouTube Studioのコンテンツから動画を選び、「動画の詳細」から「終了画面」を選択することで設定できます。
配置パターンは全6種類用意されており、うちチャンネル登録を表示できるのは4パターンです。
これら2つの機能を活用することで総再生時間を増やし、チャンネルでのエンゲージメントを高めることができます。
企業がYouTubeチャンネルの登録者数を増やすメリットとは?
企業がYouTubeチャンネルの登録者数を増やすメリットについて解説します。
効果的にアプローチできる
チャンネル登録者数が多いほど、ブランド認知やリーチ拡大などの目的を効率的に達成できます。
視聴者が自社のYouTubeチャンネルを登録すると、登録チャンネルフィードに新しくアップした動画が表示されたり、通知を飛ばしたりできます。登録者の関心度が高ければ、そのまま動画を視聴する可能性は高くなります。
視聴者の役に立つ情報、興味を引く情報を継続的に発信することで自社に対する親近感が高まり、「この企業のサービスなら信頼できる」「この商品ならこの企業」といった信頼感や親密感を獲得できるでしょう。
企業に対する信頼度がアップする
登録者数の多い企業チャンネルは、ユーザーの信頼を得やすくなります。
ユーザーはチャンネル登録者数が多いと「このチャンネル(企業)はユーザーから選ばれている」「有益な情報を発信している」と判断します。対してチャンネル登録者数が少ないと、十分な情報が発信されていないのでは?と不安を感じます。投稿数が少なかったり、更新が止まっていたりするとなおさら不安に感じてしまうでしょう。
コンスタントに動画を投稿してチャンネル登録者数を増やしていくことで、ユーザーの信頼度をアップできます。
チャンネル登録者数が増えないYouTubeチャンネルの悪い運用例の紹介
ここからは、チャンネル登録者数が増えない悪い運用例について解説します。
チャンネルコンセプトがあいまい
チャンネルコンセプトがあいまいだと、チャンネル登録者数は増えません。
- 誰をターゲットにしているのか
- 何を目的としているのか
- 目的を達成するためにどんなコンテンツを提供しているのか
これらが明確に定まっていないと、ユーザーに届けたいメッセージが伝わらないばかりか、アルゴリズム上でも不利になってしまいます。
「動画で企業情報を発信したい」「将来的に集客のプラスになればよい」といったあいまいな理由でチャンネルを運用しても、成功する確率は低いです。明確な目的や戦略を立ててから運用を開始しましょう。
広告宣伝ばかり
企業のYouTubeチャンネルにおいて、優先すべきはユーザーのニーズを満たすことです。広告や宣伝ばかりでは、チャンネル登録者数はおろか視聴回数すら伸びないでしょう。
自社のターゲットが欲している情報、悩んでいることなど、ニーズに寄り添った動画コンテンツを制作しましょう。そのうえで自社の商品やサービスの魅力を伝えていくべきです。
キーワードリサーチ無し、SEO未対策
品質の高い動画を制作しても、キーワードリサーチやSEO未対策では十分な成果は得られません。YouTubeのアルゴリズムやユーザーのニーズは日々変化しています。
YouTubeアナリティクスやNoxInfluencer(ノックスインフルエンサー)などの分析ツールを使用して、ユーザーの行動や流入経路、どのような動画に需要があるのかなどを把握しましょう。
データを元に想定した効果が得られているか分析し、想定を下回っている動画があれば改善するという流れを繰り返します。
まとめ:チャンネル登録者数を増やすにはアルゴリズムの理解が不可欠!
YouTubeチャンネルの登録者数を増やすには、アルゴリズムの理解が不可欠です。YouTubeの評価基準に合わせて自社のチャンネルをアップデートし、VSEO対策やユーザーに有益な動画を制作することで、認知拡大やリード獲得などの目的を達成できます。
しかし、企業チャンネルの運用を成功させるには、明確な目標を設定し、ターゲットへの理解を深めなければなりません。質の高いコンテンツを投稿し続け、定期的に分析と改善を繰り返す必要もあります。
これらを行うには、YouTubeや動画マーケティングのノウハウが必要です。社内に専門的なノウハウや人的リソースがない場合は、専門の会社に依頼する選択肢もあります。
株式会社VIDWEBは、YouTubeを含む幅広いジャンルの動画活用を支援する会社です。YouTubeのアルゴリズムを解析し、登録者数や再生回数、動画改善施策などの提案ができます。YouTubeチャンネルの無料診断もありますので、ぜひ一度ご相談ください。