研修動画の作り方|活用メリットや効果的に制作するポイントを解説

動画制作
公開日:2023年9月13日 / 最終更新日:2023年9月25日
研修動画の作り方|活用メリットや効果的に制作するポイントを解説
桔梗 素直
桔梗 素直 株式会社VIDWEB クリエイティブコミュニケーション部

研修を動画で配信したい企業に向けて、研修動画の作り方を解説します。これまで、多くの研修は対面形式で行われてきましたが、効率的な業務運営が求められる現代において、動画を利用した研修が急速に普及しています。本記事では、動画研修の多大なメリットから、その制作方法まで、効果的なアプローチを詳しく解説いたします。

研修動画とは

研修動画とは

研修動画(研修ビデオ)とは、企業などが人材教育を目的として行う「研修」を動画にしたものです。企業が行う研修には、新人研修などの階層別研修のほか、営業研修、技能研修、スキルアップ研修、コンプライアンス研修などさまざまな種類があります。研修動画は、このような種類にかかわらず、研修のために作られたすべての動画を指します。

近年の労働市場では、人材の流動性が高まっており、企業は新たに所属した人に対し、研修しなければならない機会が増えています。また、人手不足の背景から、人材のスキルを向上し、生産性を高めることが求められているため、研修の必要性が増しています。

研修動画を活用するメリット

では、企業研修に動画を活用すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。研修を実施する企業の視点と、受講者の視点に分けて説明します。

企業(研修を実施する側)のメリット

研修を動画にすると、企業にとっては以下のような利点があります。

  • 研修にかかわるコストを低減できる
  • 研修の内容・質を標準化できる
  • 研修効果を高められる

研修にかかわるコストを低減できる

一度、研修動画を制作すれば、その動画を使用して繰り返し研修を行えるようになります。担当社員の人件費、資料の印刷費、研修会場の会場費など、対面では研修を行うたびに必要な費用の低減につながります。

研修の内容・質を標準化できる

研修を動画にすることで、繰り返し行う研修の内容・質をそろえることができます。

対面の研修では、講師の変更や受講者の反応などで、研修内容や講義のクオリティが変わってしまう場合があります。その点、動画であれば毎回同じ内容を伝えられるため、受講者の学習状況も把握しやすくなります。

研修効果を高められる

実際の作業や動きを動画で見せることで、受講者は作業内容を理解しやすくなります。また、アニメーションなどを活用することで、業務の手順をわかりやすく説明することもできます。このように、動画の「わかりやすい」「イメージしやすい」という特長を活かし、研修の効果を高められます。

受講者のメリット

研修動画は、受講者にとっても以下のようなメリットがあります。

  • 受講する時間・場所を自分で決められる
  • 繰り返し受講できる
  • 自分の理解に合わせて学習できる

受講する時間・場所を自分で決められる

動画で研修を受けるメリットは、受講する時間や場所を受講者自身が決められることです。対面の研修の場合、決められた日時に合わせてスケジュールを調整する必要がありますが、オンライン上の研修動画は時間に関係なく公開できるため、受講時間を選びません。また、パソコン上で受講するため、会場に行く手間も省けます。

繰り返し受講できる

対面の講習では、同じテーマの講習は1度しか受講できない場合が多いですが、研修動画であれば、基本的に何度でも見直せます(※)。1度ではわからなかった研修を繰り返し見たり、過去に学習したことを振り返ったりできるため、理解が深まります。

※動画配信システムや企業のルールによって受講回数が決められている場合もあります。

自分の理解に合わせて学習できる

研修動画は、自分の理解度に合わせて、再生を途中で止めたり、戻したりできることも特長です。対面の集団研修では、理解できなくてもそのまま研修が進んでしまう場合がありますが、自分のペースに合わせて学習できることも研修動画のメリットです。

研修動画が適するケースは?

企業が行う研修にはさまざまな種類がありますが、動画の活用はどのような研修に向いているのでしょうか。

「わかりやすさ」「反復のしやすさ」「視聴の場所・時間を選ばない」など、動画のメリットを活かせるのは、とくに以下のようなケースです。

  • 異なる人材に対し、同じ内容を繰り返し伝える研修(新人研修、入社時研修など)
  • 必要な時に見返す可能性のある研修(操作講習、作業講習など)
  • 空いた時間を活用して自発的に受講する研修(スキルアップ研修など)

研修動画の種類

次に、研修動画の種類を紹介します。研修動画の表現方法には、主に以下のような種類があります。

  • セミナー形式
  • マニュアル形式
  • ドラマ・ドキュメンタリー形式

セミナー形式

講師が画面の向こう側にいる受講者に対して説明するタイプの動画です。従来の座学研修に近いイメージであり、講師は画面上に資料を表示したり、手書きの書き込みを加えたりしながら解説する場合もあります。研修動画を制作する難易度が比較的低いのはこのタイプです。

マニュアル形式

操作方法や作業手順を説明するタイプの動画です。説明に必要な動きや手順を撮影し、動画で見せることで、文字や写真だけで説明する紙のマニュアルより理解しやすくなります。

ドラマ・ドキュメンタリー形式

営業のやりとりを再現したドラマや、現場の風景を撮影したドキュメンタリーなど、業務のイメージを伝えるタイプの動画です。新人のマナー研修や営業のロールプレイングなど、コミュニケーションをテーマにした研修動画でよく使われる手法です。

研修動画の作り方(手順や流れ)

研修動画の具体的な作り方も確認しておきましょう。研修動画を制作する際の大まかな手順を紹介します。

研修動画制作の目的を明確にする

はじめに、研修動画を制作する目的を設定することが大切です。上記で紹介したように、企業にはさまざまな研修があり、研修内容によって適する表現も異なります。研修動画でどのような効果を期待するかを明確にしておくと、その後の制作がスムーズになります。

配信方法・受講方法を決めておく

研修動画を配信する際「誰でも見られる環境で配信するのか」「特定の人だけが視聴できる環境に配信するのか」によって動画で表現する内容は変わります。

また、受講者の視聴環境にも配慮が必要です。「スマートフォンなどで、いつでも、どこでも見られる」もしくは「社内ネットワーク上のみで受講する」など、想定する視聴条件によって最適な動画の容量などを検討します。

動画の本数と各動画のテーマを決める

動画にする研修内容が決まったら、そのテーマを何本の動画で構成するか事前に計画しておかなければなりません。受講者にとってわかりやすいテーマ分けや、負担の少ない本数であることを意識し、1本1本の動画で伝える内容を決定します。

各動画の構成・内容を決め、台本を作る

必要な動画の本数・テーマが決まったら、それぞれの詳細な構成や内容を決め、台本を作ります。必要に応じて、動画の撮影や編集に必要な絵コンテも作成します。

動画制作に必要な素材を手配する

動画内で紹介する写真や図・表・グラフなどの素材を集めます。紙の研修資料で使用していた図なども、動画で動きを加えることで、よりわかりやすく表現できます。

撮影・編集する

作業の様子や現場の風景、セミナー形式の講義シーンなど、実写が必要なシーンの撮影を行います。必要な動画素材が揃ったら動画を編集し、必要に応じてナレーションやBGMを付けます。

研修動画を配信する

動画配信システムなどを利用し、完成した研修動画を配信します。受講のルールや期限などを設定したうえで、動画で研修できることを対象者に向けて発信し、積極的な利用を促します。

運用後は、活用頻度や学習効果を検証することも大切です。

内製 / 外注それぞれのメリット・デメリット

上記では、研修動画制作の流れを説明しましたが、実際に動画を作る際には、これらの制作業務を「自社で内製する場合」と「動画制作会社などに外注する場合」が考えられます。ここでは内製・外注のそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

研修動画を「内製」する場合
メリット 動画制作のコストを抑えられる内容の更新・修正がすぐにできる
デメリット 動画制作のノウハウが必要時間や人材のリソースが必要
研修動画を「外注」する場合
メリット アニメーションやテロップ挿入など、プロの撮影・編集技術でよりわかりやすい動画を作れる制作に必要な期間を短縮できる
デメリット 外注コストが必要更新の際には再度、外注が必要になる
研修動画を「内製」する場合研修動画を「外注」する場合
メリット動画制作のコストを抑えられる内容の更新・修正がすぐにできるアニメーションやテロップ挿入など、プロの撮影・編集技術でよりわかりやすい動画を作れる制作に必要な期間を短縮できる
デメリット動画制作のノウハウが必要時間や人材のリソースが必要外注コストが必要更新の際には再度、外注が必要になる

研修動画を効果的に制作するコツ・ポイント

研修動画をより効果的に作るためのポイントを紹介します。

1本の動画で伝えるテーマを絞り、複数の動画で研修を構成する

1本の動画に情報を詰め込みすぎず、1つの研修テーマを複数の動画で構成することで、受講者が取り組みやすくなります。

1本の長い動画より、テーマを絞った短い動画が複数ある方が、隙間の時間などでも学習しやすく、視聴時の集中力も高まります。

一方的に伝えるだけでなく、受講者が自分で考えられる内容にする

講師やナレーターが一方的に情報を伝える研修動画では、受講者が飽きてしまい、学習内容が定着しない恐れがあります。とくにセミナー形式の動画を制作する際は、注意が必要です。

動画のなかに質問やクイズ、テストを設けるなど、受講者が考えたり、手を動かしたりする仕掛けを用意することで、より学習効果を高められます。

受講者の視聴環境に配慮する

研修動画の視聴手順に手間がかかったり、スムーズに再生できないなどの支障があると、受講者はめんどうに感じるようになり、動画にしたことでかえって研修効率が悪くなってしまいます。

受講者の業務状況(内勤 / 外訪が多いなど)や研修にかかる時間などを考慮し、動画配信方法や研修期間を検討することが大切です。

研修動画の事例

最後に、YouTubeで公開されている動画から、研修動画の事例を紹介します。

松下幸之助創設 PHP研究所・社員研修ビデオ「社会人の常識・非常識」

ドラマ仕立てで社会人マナーを解説する研修動画です。新社会人と上司、それぞれの立場のケースドラマが描かれており、受講者がイメージがしやすいよう工夫されています。

イクメンプロジェクト事務局「今すぐ実践!男性の育児休業」

男性の育児休業取得に関するポイントを解説する研修動画です。アンケートデータやインタビューによる当事者の声などを入れ込み、さまざまな角度からテーマを深く解説しています。

北九州市公式チャンネル「こども安心・安全対策研修動画」

子どもの送迎にかかわる安全対策を伝える研修動画です。簡易アニメーションを活用し、わかりやすく、親しみやすく表現されています。

ニチイ動画チャンネル「車いす基本操作 / ニチイ学館 介護職員初任者研修講座実技編」

車いすの操作方法を解説する研修動画で、通学で学べる介護職員講座の一部が動画で公開されています。講師が注意点などを解説しながら、実際に操作する様子がわかりやすく表現されています。

まとめ:動画を活用することで研修の効率化と学習効果の向上を実現

この記事では、研修動画の作り方や、より効果をあげるための制作のポイントを紹介しました。

企業研修に動画を活用することは、企業の研修にかかわる手間を軽減するだけでなく、受講者の学習効果向上にもつながります。研修テーマに合った動画の構成や表現を工夫し、効率的かつ効果的な研修動画を制作しましょう。

桔梗 素直
桔梗 素直 株式会社VIDWEB クリエイティブコミュニケーション部

大学卒業後大手保険代理店に5年間勤務勤務。その後動画市場の将来性を感じ、オンラインスクールにて動画マーケティングや制作方法を学び、VIDWEBへ入社。丁寧親切且つ的確なコンサルテーションと提案に定評があり、クライアントが動画制作によって抱えている課題を親身になって日々解決している。

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