AIの進化により、動画制作はかつてないほど手軽になり、誰もが気軽に挑戦できるようになりました。高価な機材や専門知識がなくても、AIの力でプロが作ったかのような高品質な動画を自動生成できる時代が到来しています。
この記事では、AIを活用した動画の自動生成で何ができるのかを具体的に解説するとともに、無料で気軽に試せるおすすめのツールを厳選して紹介します。
- 時間をかけずに高品質な動画を作りたい方
- コストを削減して動画制作を進めたい方
- AIを活用して動画のクオリティをアップしたい方
AIによる動画の自動生成とは?
AIによる動画の自動生成とは、テキストや画像、音声などの情報を入力するだけで、AIが自動で動画を作成する技術のことです。
動画の自動生成に用いられる主なAI技術は以下の通りです。
|
従来の動画制作は時間と専門知識が必要でしたが、AIによる動画自動生成を活用することで、短時間かつ低コストで高品質な動画を制作することが可能になりました。
動画生成AIの現状と課題
動画生成AIは、すでに製品化されているRunwayの「Gen-2」、2024年後半にリリース予定のOpenAIの「Sora」、YouTubeショートに搭載予定のGoogleの「Veo」などが有名です。これらのツールを使えば、非常に高品質な動画を簡単に作れます。
ただし、現時点では複雑な内容やストーリーの動画を完全に自動生成するのは難しいです。企業のPR動画や製品紹介動画のように、正確な情報やブランドイメージに合った動画を作るには、AIへの指示を工夫したり、人の手で間違いを修正したり、人の心を動かす要素を加えたりする必要があります。
AI搭載の自動生成ツールでできること
ここでは、AIを搭載した自動生成ツールの代表的な機能を紹介します。
- テキストや画像から動画を生成
- ストーリーボードの作成
- Bロールの生成
- オブジェクトの置き換え
- フレーム補間
- AIアバターで動画収録(トーキングヘッド)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
テキストや画像から動画を生成
短尺のSNS向けの動画広告や、テンプレート化できる教育コンテンツなどは、テキスト、画像、動画などの素材から、AIが自動で動画を生成できます。
長尺動画や複雑な内容の場合は、人の手による編集や修正が必要になることもありますが、詳細なプロンプト(台本)やPDF資料、ブログのURLなどを用意することで、テロップ、BGM、AI音声の挿入などを自動化し、わずかな手直しで完成させられます。
ストーリーボードの作成
制作したい動画の概要をテキストで入力するだけで、AIが複数のストーリーボード(絵コンテ)を自動生成します。
生成されたストーリーボードから好みのシーンを選んだり、組み合わせたりすることで、よりオリジナリティのあるストーリーボードを作成することも可能です。
Bロールの生成
動画制作には、Aロール(メイン映像)とBロール(補足映像)があります。
|
Aロールは一貫性や高いクオリティが求められるため、AIによる完全な自動生成は難しい場合もありますが、Bロールは動画素材を購入するケースが多いです。
しかし、動画素材は他の動画と重複したり、イメージに合う素材を探すのに苦労したりすることがあります。そこで、動画自動生成ツールを活用してBロールを作成することで、コストを削減できるだけでなく、イメージにぴったりのオリジナルBロールを手軽に入手できます。
オブジェクトの置き換え
動画内の不要なものを消したり、人物の衣装や背景を変更したりできます。これは画像編集ではすでに一般的な技術ですが、動画でも可能になりました。
たとえば、
- 商品紹介動画で、背景に映り込んだ不要なものを消す
- ファッション動画で、モデルの衣装を簡単に着せ替える
- 旅行動画で、天候に合わせて空模様を変える
など、さまざまなシーンで活用できます。
撮影や編集の手間を省き、オリジナリティを加えたり、複数パターンを生成したりすることで、より魅力的な動画を作成できます。
フレーム補間
フレーム補間とは、AIが動画のフレームを追加して、動きを滑らかにする技術のことです。たとえば、通常の動画は30fpsですが、2倍速のスローモーションにすると15fpsになり、映像の品質が落ちてしまいます。
フレーム:動画を構成する静止画1枚1枚のこと。動画は複数のフレーム(静止画)を連続して表示することで、動きを表現する。 fps(=フレームレート):1秒間に表示されるフレーム数のこと。 |
そこで、AIが不足しているフレームを補間することで、元の動画と同じ滑らかさのスローモーション動画を作ることができます。
AIアバターで動画収録(トーキングヘッド)
AIアバターを活用して、まるで人が話しているような自然な動画を簡単に作成できます。声質やアバターの容姿はカスタマイズ可能で、自分の声をアバターの声として使うこともできます。この技術は、研修動画、製品紹介、デモ動画など、さまざまな用途で活用できます。
無料で試せる動画の自動生成おすすめツール8選
ここでは、無料プランのある動画の自動生成ツールを8つ紹介します。
ツール名 | 特徴 | 無料プラン | 有料プラン(月額) |
---|---|---|---|
Runway | 高品質でリアリティのある動画を自動生成するのに最適。 | 最大25秒の動画(透かし入り)を作成&ダウンロード | $12~ |
Pika | アニメーションや3DCGの自動生成が得意。 | 最大75秒の動画(透かし入り)を作成&ダウンロード | $10~ |
FlexClip | プロンプトからストーリーボードを自動生成し、簡単に動画を作成できる。 | 最大12件のプロジェクトを保存 | $15.99~ |
Pictory.AI | テキストやブログ記事、録画映像から動画を生成。 | 最大3本の動画(透かし入り)をダウンロード | $25~ |
Lumen5 | 動画マニュアルや研修動画などのビジネス向け動画を自動生成。 | 5本までのナレーション付き動画を生成 | $29~ |
Synthesia | AIアバターによる自然な説明動画を生成。 | 最大36分までの動画(透かし入り)を作成&ダウンロード | $22~ |
InVideo AI | プロンプトに沿ってiStock画像やBGM、ナレーションを選定して動画を自動生成。 | 週に10分までの動画(透かし入り)をダウンロード | $20~ |
Steve AI | アニメーション形式の動画マニュアルや研修動画の作成に最適。※日本語なし | 最大5分の動画(透かし入り)を5本まで作成&ダウンロード | $20~ |
Runway
画像引用:Runway Gen-2
Runwayは、高品質でリアリティのある動画を自動生成したい場合に最適なツールです。現時点では、プロンプトに忠実に動画を生成できる点でトップレベルの性能を誇ります。1回の指示で4秒、最大16秒までの動画を生成可能です。Runwayの無料プランでは、最大25秒の動画を作成できます。
主な活用シーン
- ビデオプロトタイピング(アイデアの可視化)
- キャラクターデザインの提案
- 広告素材のパターン生成
こんな人におすすめ
- 高品質なBロールを入手したい
- プロモーションや広告用の素材を制作したい
- キャラクターやシーンのインスピレーションを得たい
Pika
画像引用:Pika
Pikaは、アニメーションや3DCGの自動生成を得意とする動画生成ツールです。プロンプト入力時に、複数のスタイル、フレーム数、テキストとの一貫性などを細かく調整できます。1回の生成で最大15秒までの動画を作成でき、無料プランでは月に75秒までの動画を生成可能です。
主な活用シーン
- ビデオプロトタイピング(アイデアの可視化)
- 3DCGキャラクターのモデリング
- 教育系コンテンツのビジュアル補強
こんな人におすすめ
- アニメーション制作の初心者
- 短期間で3DCGモデルを作成したい
- 教育用のビジュアルコンテンツを充実させたい
FlexClip
画像引用:FlexClip
FlexClipは、プロンプトからストーリーボードを自動生成し、テキストや画像をカスタマイズすることで、手軽に動画コンテンツを作成できるツールです。BGMやテロップの挿入もツール内で行えます。無料プランでは動画のダウンロードはできませんが、最大12件のプロジェクトを保存できます。
主な活用シーン
- プロモーション動画の作成
- 研修動画の作成
- イベントのハイライト動画の作成
こんな人におすすめ
- オウンドメディアのコンテンツを充実させたい
- SNS向けコンテンツの投稿頻度をアップしたい
- 教育用コンテンツをビジュアル化したい
Pictory.AI
画像引用:Pictory.AI
Pictory.AIは、SNS、ブログ用の動画コンテンツや動画広告を自動生成したい場合に最適なツールです。テキストだけでなく、ブログ記事や録画映像からも最大5分までの動画を生成できます。無料プランでは、最大3本の動画(透かし入り)をダウンロード可能です。
主な活用シーン
- ブログ記事のビジュアル化
- SNS向け動画広告の制作
- 製品デモ動画の作成
こんな人におすすめ
- ブログや記事の内容を動画にしたい
- 効果的なSNS広告を作成したい
- 録画映像を手軽に編集したい
Lumen5
画像引用:Lumen5
Lumen5は、動画マニュアルや研修動画などのビジネス向け動画の自動生成を得意とするツールです。独自のAIアバターやテンプレートを作成できるため、統一感のある動画を効率的に量産できます。無料プランでは、月に5本までのナレーション付き動画を生成可能です。
主な活用シーン
- 動画マニュアルの制作
- 製品紹介動画の制作
- 研修動画の制作
こんな人におすすめ
- ビジネス向け動画を素早く制作したい
- 統一感のある動画コンテンツを制作したい
- 社内教育や研修用の動画を量産したい
Synthesia
画像引用:Synthesia
Synthesiaは、AIアバター(トーキングヘッド)による動画生成に特化したツールです。テキストを入力するだけで、まるで人間が話しているかのような自然な説明動画を生成できます。無料プランでは6種類のAIアバターから選択でき、最大36分までの透かし入り動画をダウンロード可能です。
主な活用シーン
- オンライン研修動画の制作
- 製品紹介動画の作成
- eラーニングコンテンツの制作
こんな人におすすめ
- 統一感のある研修や教育動画を制作したい
- 製品やサービスの魅力を効果的に伝えたい
- 社内外のコミュニケーションを円滑にしたい
InVideo AI
画像引用:InVideo AI
InVideo AIは、プロンプトに沿ってAIが自動でiStock画像やBGM、ナレーションを選定し、動画を自動生成できるツールです。細かい編集はできませんが、アイデアを得たいときにとても便利です。無料プランでは、週に10分まで、透かし入りの動画をダウンロードできます。
主な活用シーン
- プロモーション動画の企画
- SNS向け動画コンテンツの作成
- プレゼン動画の制作
こんな人におすすめ
- 短時間でコンテンツのアイデアを出したい
- 手軽にSNS用の動画を制作したい
- プレゼンテーションの表現を充実させたい
Steve AI
画像引用:Steve AI
Steve AIは、アニメーション形式の動画マニュアルや研修動画の作成に適したツールです。現時点では日本語には対応していませんが、海外向けの動画制作や、動画制作のインスピレーションを得る際に役立ちます。無料プランでは、1ヶ月あたり最大5分の動画を5本まで作成できます。
主な活用シーン
- 海外向け社内研修動画の作成
- 製品マニュアルのビジュアル化
- eラーニングコンテンツの開発
こんな人におすすめ
- 海外向けに動画を制作したい
- クリエイティブなインスピレーションを求めている
- 手軽にアニメーション動画を作成したい
AIによる動画の自動生成で生じる問題点
動画の自動生成は、手軽で効率的な動画制作を可能にする一方で、いくつかの課題を抱えています。
著作権の問題
AIが動画を生成する際、学習データとして利用する画像や音楽には著作権が存在します。また、AIが生成した動画自体にも著作権が発生する可能性がありますが、その帰属や利用範囲についてはまだ明確なルールが確立されていません。
企業がマーケティング活動にAI生成動画を活用する場合は、著作権に関する法的なリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。
品質の問題
AIが生成する動画は、人間の感性とは異なる、いわゆる「AIっぽさ」を感じさせる場合があります。また、現時点では動画の自動生成ツールの多くは海外製品であるため、日本人や日本の業務フローに合ったテンプレートは少ない傾向にあります。
そのため、AIが生成した動画をそのまま利用するのではなく、ターゲットとする国の文化や業界・業種、独自の商習慣などを考慮し、人間の感性や共感が必要とされる要素を補うことで、より質の高い動画に仕上げることが重要です。
AIによる動画の自動生成の特性を理解して、マーケティングを次のステージへ
AIを活用した動画生成は、表現の整合性や独自性の不足、著作権問題といった課題も抱えています。企業の広告やプロモーションなど、信頼性が求められるコンテンツ制作においては、現時点では慎重なチェックと編集作業が不可欠です。
VIDWEBは、動画生成AIを活用することで、従来の制作方法と比べて低コストかつ高品質な動画制作サービスを実現しています。AIが生成した映像にプロの編集者が手を加えることで、独創性と創造性をプラス。企業のブランドイメージに合致した、オリジナリティあふれる動画に仕上げます。
どうぞお気軽にお声掛けください!
近い将来、映画やドラマのような長編動画の自動生成や、各ユーザーの興味関心や行動履歴に合わせたパーソナライズ動画の自動生成などが実現するかもしれませんね。