大学のプロモーション動画は、誰にいつ出すかで決まる。入試の1年に合わせた設計と当社の事例

動画マーケティング
公開日:2022年9月16日 / 最終更新日:2026年9月24日
大学のプロモーション動画は、誰にいつ出すかで決まる。入試の1年に合わせた設計と当社の事例
山畑 達也
山畑 達也 株式会社VIDWEB 代表取締役社長

大学のプロモーション動画を作ろうとするとき、多くの場合は「どんな動画にするか」から話が始まります。ドローンでキャンパスを撮るか、在学生に語ってもらうか、アニメーションで学部を説明するか。

ですが、その前に決めることがあります。誰に向けて、いつ出すかです。

大学の広報は1年の周期で動きます。入試の日程は夏の終わりから翌年の春まで続き、その間に相手も、相手が知りたいことも変わります。同じ大学の動画でも、夏のオープンキャンパスの前に出すものと、秋の出願期に出すものでは、中身が違って当然です。

この記事では、大学のプロモーション動画の設計を、相手ごとの作り分け、他の広報手段との役割分担、入試の1年に合わせた公開時期、複数本の並べ方の順にご説明します。読者には、大学の広報・入試広報のご担当者を想定しています。なお、動画を1本どう作るかという制作の実務は学校紹介動画の作り方でご説明していますので、あわせてご覧ください。

大学のプロモーション動画は、誰に向けていつ出すかで決まる

当社が制作した大学・学校の動画は20件あります。これを学校法人ごとに数え直すと、同じ法人に複数本を納めている例が目立ちます。成城学園様には6本、十文字学園女子大学様には3本、上智学院様と桜美林大学様にはそれぞれ2本です。

事例を見ると、相手や目的ごとに複数本へ分けています。受験生に向けた動画と、留学を考えている人に向けた動画と、在学生や大学の関係者に向けた動画は、同じ大学の動画でも別物になります。

たとえば上智学院様では、課外活動団体の紹介を運動部編と文化部編の2本に分けました。十文字学園女子大学様では、教育人文学部、社会情報デザイン学部、人間生活学部の3学部をそれぞれ1本ずつ、同じ体裁のアニメーションで制作しています。成城学園様では、学部紹介、海外インターンシップ、海外短期研修、国際交流、初等学校の紹介と、相手も目的も違う動画が並んでいます。

当社は、大学のプロモーション動画を設計するときに先に決めるのは、映像の作り方ではなく、誰に向けて、いつ出すかだと考えています。ここが決まると、種類も尺も公開する時期も、おのずと決まります。

大学のプロモーション動画に力が入る背景

大学の広報が動画に向かう背景には、志願者を集める競争の厳しさがあります。

日本私立学校振興・共済事業団が公表している「令和7(2025)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向」によると、集計対象の私立大学594校のうち、入学定員充足率が100%未満の学校は316校でした。全体の53.2%にあたります。前年度は354校で59.2%だったので、割合としては下がっているものの、半数を超える私立大学が定員を満たせていない状況は続いています。

令和7年度に入学定員充足率が100%未満の私立大学は594校中316校(53.2%)。前年度は354校(59.2%)

同じ資料では、令和7年度の私立大学全体の入学定員充足率は101.61%で、前年度の98.19%から3.42ポイント上がっています。全体では定員を満たしているのに、半数以上の大学が定員割れをしている。つまり、入学者の確保に、大学のあいだで差が開いているということです。

この状況で問われるのは、志願者を増やすことそのものより、自校を選ぶ理由を届けられているかどうかです。当社は、学ぶ中身や日々の様子といった、文字では伝えにくいものを見せる手段として、動画が向いていると考えています。

大学のプロモーション動画の種類と、届けたい相手

当社が制作した20件を、届けたい相手で分けると次のようになります。

届けたい相手動画の中身当社の事例
進路を考え始めた受験生と保護者大学全体、キャンパス、施設キャンパス紹介
学部を絞り込んでいる受験生学部・学科で何を学ぶか、卒業後の進路学部紹介動画、学科紹介動画
在学生と入学予定者課外活動、国際交流の制度課外活動団体紹介、国際交流の紹介
留学や海外研修を考えている在学生、海外からの志願者留学制度、海外研修、現地での生活海外インターンシップ、海外短期研修、留学生インタビュー
記念式典に集まる関係者大学の歩みと、これから周年記念動画

この表で言いたいのは、相手が変わると見せるものが変わるということです。当社は、進路を考え始めた段階の人には大学全体の空気や立地を、学部を絞り込んでいる人にはその学部で何を学び、卒業後にどうなるかを見せることをおすすめしています。同じ大学の動画でも、前者はキャンパスの風景が中心になり、後者は図解とナレーションが中心になります。

当社の事例で言えば、学部・学科の紹介は5件すべてがアニメーションでした。学部紹介で伝えるのはカリキュラムの構造や取得できる資格といった情報で、当社は、こうした情報は撮影するより図解のほうが伝わりやすいと考えています。一方、キャンパスの紹介には空撮と実写を使っています。

大学のプロモーション動画が効く場面と、動画でなくてよい場面

大学の広報の手段は動画だけではありません。大学案内、オープンキャンパス、Webサイト、SNS、交通広告、メディアへの発表と、それぞれに役割があります。動画を作る前に、その手段でなければ届かないのかを確かめておくと、費用と手間の掛けどころを間違えません。

大学の広報で動画が効く場面(キャンパスの雰囲気・在学生の表情・実習の様子・来られない人に見せる)と動画でなくてよい場面(入試日程・学費・奨学金・カリキュラム一覧)

制作会社の立場から正直に申し上げると、動画でなくてよい場面はあります。

入試の日程、学費、奨学金の条件、カリキュラムの一覧といった、正確に読んで確かめたい情報は、Webサイトの文字のほうが向いています。動画は見返して確認するのに手間がかかりますし、内容が変わったときの更新も文字より重くなります。

大学全体の情報を網羅して伝えたい場合も、動画は不向きです。大学案内の冊子には、一覧性があります。動画で同じことをやろうとすると、長くなって最後まで見られません。

動画が効くのは、文字と写真では伝わらないものを見せるときです。キャンパスの広さと雰囲気、在学生の話し方や表情、実験や実習の様子、海外研修の現地の空気。これらは動画にしか撮れません。

もう1つ効くのは、来られない人に見せるときです。遠方の受験生、保護者、海外からの志願者は、オープンキャンパスに来られないことがあります。その人たちに現地の様子を届けるのは動画の役目です。

入試の1年と、大学のプロモーション動画を公開する時期

大学の広報は1年の周期で動きます。文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、各選抜の日程が次のように定められています。

選抜の区分出願の受付合格の発表
総合型選抜9月1日以降11月1日以降
学校推薦型選抜11月1日以降12月1日以降、一般選抜の試験期日の10日前まで
一般選抜試験期日に応じて定める3月31日まで

一般選抜の試験期日は、2月1日から3月25日までの間です。この日程から逆算すると、動画を公開する時期は次のように置けます。

入試の1年から逆算した動画の公開時期。夏までは大学全体、9月の総合型・11月の推薦型の出願期は学部単位、2月の一般選抜以降は合格者向けも加える

春から夏。オープンキャンパスまでに出すもの

総合型選抜の出願が9月1日以降ですから、その前の夏が、志望校を絞り込む時期にあたります。ここに向けて出すのは、大学全体やキャンパスを見せる動画です。まだ志望校を決めきっていない人に、自校を候補に入れてもらう段階だからです。

オープンキャンパスの前に公開しておくと、来場を決める材料になります。当日に上映する用の短い版を同時に用意しておくと、撮影を1回で済ませられます。

注意したいのは制作の期間です。当社の大学・学校の事例では、制作期間は1.5ヶ月から4ヶ月で、2ヶ月台が最も多くなっています。夏のオープンキャンパスに間に合わせるなら、春には動き始めることになります。撮影に行事や在校生が必要なら、さらに前から撮影の計画が要ります。ここは学校紹介動画の作り方で詳しくご説明しています。

秋から冬。出願期に出すもの

9月から12月は、総合型選抜と学校推薦型選抜の出願と発表が続く時期です。この時期の相手は、すでに自校を候補に入れていて、学部をどう選ぶかを考えている人になります。

ここで効くのは、学部・学科の単位で作った動画です。何を学び、どんな資格が取れて、卒業後にどうなるか。大学全体の紹介では答えられない問いに、学部単位の動画が答えます。

一般選抜の試験期日は2月1日から3月25日までですので、年明けから3月にかけては、一般選抜を控えた受験生と、総合型選抜や学校推薦型選抜ですでに入学が決まった人の両方が相手になります。合格発表が進むにつれて、入学前の不安を和らげる内容や、入学後に参加できる制度の紹介といった、入学予定者に向けた情報を加えていきます。この時期は、受験生向けと入学予定者向けの動画が並ぶことに注意してください。

大学のプロモーション動画を複数本どう並べるか

1本ずつ単発で作ると、体裁がそろわず、見比べたときに同じ大学のものに見えません。複数本を作る前提があるなら、1本目の時点で並べ方を決めておくほうが確実です。

当社が十文字学園女子大学様の3学部を制作したときは、3本とも同じ体裁のアニメーションで、制作期間もそろえました。学部ごとに中身は違いますが、見た目が同じなので、3本並べたときに1つのシリーズとして成立します。上智学院様の課外活動団体紹介も、運動部編と文化部編を同じ作りで2本に分けたものです。

並べ方を決めるときの観点は3つあります。

1つ目は、何で分けるかです。学部で分けるか、相手で分けるか、目的で分けるか。当社の事例で最も多いのは学部・学科の単位で、次が国際・留学の単位です。

2つ目は、体裁をどこまでそろえるかです。冒頭と末尾の型、尺、ナレーションの声、色づかいをそろえておくと、1本追加するときの設計が楽になります。

3つ目は、更新のしやすさです。実写で在学生に出演してもらうと、その学生が卒業したときに撮り直しが必要になります。カリキュラムの改定で内容が変わる学部紹介は、アニメーションにしておくと図とナレーションの差し替えで済みます。当社の学部紹介5件も、すべてアニメーションで制作しています。

当社が制作した大学のプロモーション動画の事例

相手別に、当社の事例をご紹介します。

事例届けたい相手制作期間映像の作り方
桜美林大学様 キャンパス紹介進路を考え始めた受験生と保護者2ヶ月空撮と実写
十文字学園女子大学様 教育人文学部紹介動画学部を絞り込んでいる受験生2.5ヶ月アニメーション
成城学園様 成城大学文芸学部紹介動画学部を絞り込んでいる受験生2ヶ月アニメーション
上智学院様 課外活動団体紹介 運動部編在学生と入学予定者3ヶ月実写
昭和女子大学様 ベトナムからの留学生によるインタビュー紹介動画海外からの志願者3ヶ月実写(二言語)
成城学園様 海外インターンシップ・タイ編留学や海外研修を考えている在学生2ヶ月実写
北里研究所様 創立110周年・大学創立60周年記念動画記念式典に集まる関係者3ヶ月3DCGとアニメーション

海外に向けた動画では、言語の扱いが論点になります。昭和女子大学様の動画では、実際に在学しているベトナム人留学生に出演していただき、ベトナム語と日本語を組み合わせた構成にしました。ターゲットであるベトナムの若者が、内容を直感的に理解できるように配慮した構成です。多言語での展開については多言語動画制作でご説明しています。

大学のプロモーション動画の効果をどう見るか

大学の広報で動画の効果を測るのは簡単ではありません。志願者数は入試の制度変更や他校の動向にも左右されるので、動画だけの成果として切り出せないからです。

当社としておすすめしているのは、志願者数の手前にある動きを見ることです。動画を公開したあとに、大学名での検索が増えたか、資料請求やオープンキャンパスの申し込みが増えたか。大学名での検索は無料のツールで推移を確認でき、資料請求や申し込みも、申し込みフォームの計測を設定しておけば推移を追えます。ただし、動画を見た人が申し込んだかどうかまでは分からないため、動画だけの効果とは言い切れません。公開の前後で数字を比べる見方になります。

もう1つは、動画そのものの見られ方です。最後まで見られているか、どこで離脱しているか。離脱の位置が分かると、次に作る動画の構成に反映できます。

いずれにしても、1本の動画で志願者数が動くことは期待しないほうが現実的です。当社は、動画の役割を、大学を知ってもらう入口と、候補に残してもらう段階に置いています。

大学のプロモーション動画でよくある質問

大学のPRとは?

受験生や保護者、在学生、卒業生、地域や企業といった相手に、大学の特色や活動を伝える広報活動のことです。手段は大学案内、Webサイト、オープンキャンパス、SNS、メディアへの発表、動画など複数あります。このうち動画が向くのは、キャンパスの雰囲気や在学生の様子のように、文字と写真では伝わらないものを見せる場面です。

大学のプロモーション動画の制作費用はいくらですか?

当社では施設案内・学校紹介の動画を40万円から200万円を目安としています。金額が動くのは、撮影日数、キャンパスや学部の数、空撮やアニメーションの有無です。費用の詳細は動画制作の費用相場をご覧ください。

大学のプロモーション動画の長さはどれくらいが適切ですか?

置く場所と相手で変わります。当社では、Webサイトに置く大学全体の紹介なら3分から5分、学部単位の紹介なら2分から3分を目安としています。オープンキャンパスの告知のようにSNSで出すものは30秒から1分に収めます。1本で全部を伝えようとすると長くなるため、当社は相手ごとに分けることをおすすめしています。

大学のプロモーション動画はいつ撮影すればよいですか?

公開したい時期から逆算します。行事や在校生を撮る場合は、その行事が年に1回しかないため、撮影できる日が限られます。夏のオープンキャンパスで上映したい動画に入学式の映像を使いたいなら、4月に撮影して6月までに編集を終える必要があります。撮影時期の決め方は学校紹介動画の作り方で詳しくご説明しています。

まとめ: 大学のプロモーション動画は、入試の1年から逆算して並べる

大学のプロモーション動画で先に決めるのは、映像の作り方ではなく、誰に向けて、いつ出すかです。

相手は1つではありません。進路を考え始めた受験生、学部を絞り込んでいる受験生、留学を考えている人、在学生、大学の関係者。相手が変わると、見せるものも尺も変わります。当社の事例でも、同じ法人に対して相手ごとに複数本を制作しています。

公開する時期は、入試の日程から逆算します。総合型選抜の出願が9月1日以降ですから、志望校を絞り込む夏までに大学全体を見せる動画を、秋の出願期に学部単位の動画を置くという並べ方になります。制作期間は2ヶ月台が中心ですので、逆算すると動き始める時期が決まります。

そして、動画でなくてよい場面があることも、先に確かめておいてください。日程や学費のように正確に読んで確かめたい情報は、Webサイトの文字のほうが向いています。

当社では大学・学校の動画制作を学校・大学紹介動画制作で承っています。1本の動画をどう作るかについては学校紹介動画の作り方をご覧ください。

山畑 達也
山畑 達也 株式会社VIDWEB 代表取締役社長

20年以上にわたりオンラインマーケティング、オンライン広告業界に身を置き、数々の新規サービスや新規事業の立ち上げと事業運営、会社経営に携わる。2021年に動画制作から動画広告、動画マーケティングまでを総合的に提供する株式会社VIDWEB(ビッドウェブ)の代表取締役に就任。

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