学校紹介動画を1本作ろうとすると、たいてい入りきりません。校舎も、授業も、部活動も、進路実績も、留学制度も伝えたい。そのすべてを1本に詰め込むと、誰の心にも残らない動画になります。
当社が制作した学校・大学の動画を数えると、20件のうち学校全体を紹介する動画は2件だけでした。残りは、学部・学科の紹介が7件、国際交流や留学に関するものが7件、キャンパス施設が3件、課外活動が2件、周年記念が1件です(留学をテーマにした学部紹介のように、複数の単位にまたがる事例があるため、合計は20件を超えます)。実際の発注は、すでに単位ごとに分かれています。
伝えたいことが多い学校ほど、1本にまとめるより分けたほうが見られます。この記事では、学校紹介動画について、どの単位で作るかの決め方から、行事に縛られる撮影時期、在校生を撮るときに決めること、費用と制作期間、公立校の発注手続き、留学生向けの多言語対応までを解説します。
学校紹介動画は、どの単位で作るか
最初に決めるのは、内容ではなく単位です。1本で全部を見せるのか、テーマごとに分けるのか。ここが決まらないと、尺も予算も決まりません。

| 単位 | 誰に何を伝えるか | 向く尺 | 向く作り方 | 更新の頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 学校全体の紹介 | 学校を初めて知る受験生と保護者に、全体像と校風を伝える | 3分から5分 | 実写、ナレーション、在校生の声 | 数年に1度、または毎年改定 |
| 学部・学科の紹介 | 進路が絞れてきた受験生に、学びの中身と卒業後の進路を伝える | 2分から3分 | アニメーション、図解、教員の解説 | カリキュラム改定のとき |
| キャンパス・施設の紹介 | 遠方の受験生と保護者に、施設と立地を体感してもらう | 2分から3分 | 空撮、実写、タイムラプス | 新棟の完成時 |
| 課外活動・部活動の紹介 | 高校生に、入学後の生活を想像してもらう | 30秒から1分 | 実写、活動風景、部員の声 | 数年に1度 |
| 国際交流・留学の紹介 | 留学を考えている受験生、または海外からの志願者に伝える | 2分から3分 | 実写、インタビュー、多言語字幕 | 制度改定のとき |
| オープンキャンパス告知 | 開催前の受験生に、日時と内容を知らせる | 30秒から1分 | 実写、テロップ中心 | 毎回 |
分ける利点は3つあります。
- 見る人が、必要な動画だけを選べます。
- 更新が必要になったとき、その1本だけを作り直せば済みます。
- 説明会、Webサイト、SNSと、置き場所ごとに適した尺の動画を用意できます。
部活動の紹介は、部ごとに短い動画を用意するのが扱いやすい形です。活動風景と部員の声を30秒から1分にまとめ、Webサイトの部活動一覧や各部のページに個別に置きます。当社が制作した上智学院様の課外活動団体紹介も、運動部編と文化部編に分けて制作しました。
逆に、1本にまとめたほうがよい場合もあります。予算が限られていて本数を作れないとき、学校の認知そのものがまだ薄く、まずは全体像を伝えたいときです。この場合も、章を分けて構成しておくと、あとから切り出して短尺版を作れます。
キャンパスや校舎そのものを見せる動画については、施設紹介の設計を施設紹介動画の作り方でも扱っています。
当社が制作した学校・大学の動画
単位ごとに何が変わるかは、実際の事例を見ていただくのが早いと思います。当社が公開している学校・大学の事例から、単位の違うものを5件紹介します。
| 事例 | 単位 | 制作期間 | 尺 | 映像表現 |
|---|---|---|---|---|
| 上智学院 課外活動団体紹介動画 運動部編 | 課外活動 | 3ヶ月 | 15秒から60秒 | 実写(シネマカメラ) |
| 十文字学園女子大学 教育人文学部紹介動画 | 学部紹介 | 2.5ヶ月 | 60秒以上 | アニメーション |
| 昭和女子大学 ベトナムからの留学生によるインタビュー紹介動画 | 国際・留学 | 3ヶ月 | 60秒以上 | 実写(二言語) |
| 桜美林大学 キャンパス紹介 | キャンパス施設 | 2ヶ月 | 60秒以上 | ドローンと実写 |
| 国際短期大学 大学紹介動画2024年度版 | 学校全体 | 2ヶ月 | 60秒以上 | 実写 |
このうち十文字学園女子大学様では、教育人文学部と同時に、人間生活学部と社会情報デザイン学部の紹介動画も制作しました。学部ごとに3本を同じ体裁で作ると、1本あたりの企画と設計の手間が下がり、学部間で見た目も揃います。学部紹介を検討されるなら、最初から複数本を前提に相談されることをお勧めします。
国際短期大学様の動画は、2020年に第一弾を制作してから毎年改定を続けています。学校の情報は毎年変わるため、一度作って数年放置するより、毎年少しずつ直したほうが結果的に長く使えます。
撮影できる日は、年に何日あるか
学校の動画で最も見落とされるのが、撮影時期の制約です。企業の撮影は日程を調整できますが、学校は違います。
入学式は年に1回、体育祭も文化祭も年に1回です。桜が咲いているキャンパスを撮れるのは春の数週間だけで、撮り逃せば次は1年後になります。3年生に出演してもらうなら、卒業する前に撮らなければなりません。進級すれば学年の表示も変わります。

したがって、逆算の順番はこうなります。まず、その動画をいつ公開したいかを決めます。次に、公開日から制作期間を引きます。当社の学校・大学の事例20件では、制作期間は最短1.5ヶ月、最長4ヶ月で、2ヶ月台が最も多くなっています。そして、その制作期間の中に、撮りたい行事が収まるかを確認します。
たとえば、夏のオープンキャンパスで上映したい動画に入学式の映像を使いたいなら、4月に撮影して6月までに編集を終える必要があります。逆に、行事の映像がどうしても必要なのに間に合わないなら、その行事は次年度に撮ると割り切って、初年度は行事なしで作るか、公開を1年後にずらすかを決めます。
私たちがご相談をいただいたとき、内容より先に「いつ公開したいか」と「その前に撮れる行事は何か」を伺うのはこのためです。ここが決まると、実写にするかアニメーションにするかも、おのずと決まります。
在校生を撮る場合に決めること
学校紹介動画の出演者は、多くの場合、在校生です。企業の撮影とは違う配慮が必要になります。
まず、本人と保護者の同意です。未成年の生徒が出演する場合、本人の同意だけでは足りません。撮影の目的、公開する場所、使用する期間を書面で示して、保護者の同意を得ておく必要があります。
次に、映り込みの扱いです。教室や廊下で撮影すると、出演予定でない生徒が映ります。撮影日を事前に告知して、映りたくない生徒が避けられるようにする、撮影範囲を区切る、あるいは編集でぼかす、といった対応をあらかじめ決めておきます。ぼかしは編集の工数が増えるため、撮影の段階で減らしておくほうが結果的に安く済みます。
そして、使用期間です。出演した生徒は数年で卒業します。卒業後もその動画を使い続けてよいかを、同意を得る段階で決めておいてください。ここを曖昧にしたまま数年使い、あとから削除依頼を受けると、動画そのものを作り直すことになります。実務上は、使用期間を明記したうえで、期間終了時に更新するか公開を止めるかを判断する形が扱いやすいと考えています。
音楽の権利も確認が必要です。校歌を使う場合、作詞作曲者の権利がどうなっているかは学校ごとに違います。市販の楽曲を使う場合は、当然ながら利用許諾が要ります。動画で使うBGMは、権利処理済みの音源から選ぶのが安全です。
撮らずに作るという選択
在校生の撮影が難しい、撮影の日程が取れない、そもそも見せたいものが施設ではなくカリキュラムである。こうした場合は、撮影しない作り方を検討してください。
当社の学校・大学の事例20件のうち、8件はアニメーションや3DCGを使っています。とくに学部・学科の紹介では、当社が制作した5件すべてがアニメーションでした。理由は3つあります。
- 伝えたいのが情報だから:学部紹介で伝えるのは、カリキュラムの構造、取得できる資格、卒業後の進路といった内容です。これらは映像で撮れるものではなく、図解のほうが速く正確に伝わります。
- 在校生を撮影せずに済むから:撮影日の調整も、同意の取得も発生しません。
- 更新しやすいから:カリキュラムが変わったとき、アニメーションなら該当箇所の図とナレーションを差し替えれば済みます。実写で撮ってしまうと、同じ場所で同じ人に再度出演してもらう必要が出てきます。
一方、校風や雰囲気を伝えたいなら実写が向きます。キャンパスの広さや立地を見せたいなら空撮が効きます。当社の事例では、キャンパス紹介の3件のうち2件でドローンを使っています。何を伝えたいかで、撮る撮らないを決めてください。
費用と制作期間の目安
当社は制作費を公開しています。料金ページに掲載している施設案内・学校紹介の動画の目安は、40万円から200万円です。価格帯は、49万円まで、50万円から99万円、100万円から299万円、300万円以上の4つに分かれています。

金額が動く要因は、動画の長さ、撮影日数と撮影時間、カメラの台数、制作に関わるスタッフの人数、出演者、ロケ会場、CGやアニメーションの有無です。学校の動画でとくに効いてくるのは撮影日数です。複数の学部、複数のキャンパス、複数の行事を撮ろうとすると、撮影日がそのまま増えます。
制作期間は、当社の学校・大学の事例20件で最短1.5ヶ月、最長4ヶ月、2ヶ月台が最も多くなっています。ここに、学内の承認プロセスの時間が加わります。学部長や広報委員会の確認が入る場合、確認と修正の往復に数週間かかることは珍しくありません。公開希望日から逆算するときは、制作期間に加えて、この確認の時間を見込んでおいてください。
費用を抑えたい場合の考え方は2つあります。
- 複数本をまとめて発注し、1本あたりの企画費を下げる。
- 行事の記録映像など、学校側で撮れる素材を提供して編集から依頼する。
2番目については、素材の画質や音声が揃っていないと編集で吸収できないため、事前に確認させてください。
公立の学校や大学法人が発注する場合
公立の学校、公立大学法人、教育委員会が発注する場合は、民間企業とは手続きが変わります。
まず、調達の方式です。金額によって入札、見積合わせ、随意契約と分かれ、それぞれ準備するものが違います。仕様書の作成が必要になる場合、動画の尺、本数、納品形式、著作権の帰属、修正回数といった項目を、発注前に固めておく必要があります。仕様が固まっていない段階でも相談は可能で、当社はその段階からのご相談も受けています。
次に、年度の区切りです。単年度予算で発注する場合、年度内に納品と検収を終える必要があります。制作期間が2ヶ月台であることを踏まえると、3月末納品なら12月から1月には発注を済ませておきたいところです。撮りたい行事が年度末にある場合は、行事の日程と検収の期限が両立するかを先に確認してください。
このほか、納品時の権利譲渡、適格請求書の発行、再委託の可否、実績証明書の発行といった事務手続きが発生します。公的機関の調達については、自治体の動画活用で詳しく整理しています。
留学生や海外に向けて出す場合
海外からの志願者に向けて動画を出すなら、日本語のまま字幕を付けるだけでは足りないことがあります。
当社が制作した昭和女子大学様のベトナム人留学生向けの動画では、ベトナム語と日本語を組み合わせた二言語構成を採用しました。出演したのは実際に在学しているベトナム人留学生で、留学への期待と不安の両方に触れる内容にしています。海外の受験生にとっては、日本人の学生が語る学校の魅力より、自分と同じ国から来た学生の言葉のほうが届きます。
言語を増やすときにかかるのは、翻訳、テロップの再配置、音声の3つです。ここで確認していただきたいのが、テロップを映像に焼き込んでいないかどうかです。焼き込んでいると、言語を1つ増やすたびに映像から作り直すことになります。将来的に多言語展開の可能性があるなら、最初からテロップを後乗せできる形で作っておいてください。
多言語での制作については、インバウンド動画の作り方でも扱っています。
公開したあと、どこに置き、どう使うか
作った動画をどこに置くかは、企画の段階で決めておいてください。置き場所によって、適した尺も見せ方も変わります。
公式Webサイトに置く場合は、学部ページや入試情報ページなど、関連する場所に個別に埋め込むほうが見られます。トップページに1本だけ置く形は、探しに来た人にしか届きません。
YouTubeに置く場合は、動画ごとにタイトルと説明文を検索を意識して書きます。学校名だけでなく、学部名や地域名を入れておくと、探している人に届きやすくなります。
説明会やオープンキャンパスで上映する場合は、音を大きく出せない会場もあるため、字幕を入れておくと安心です。当社が制作した桜美林大学様のキャンパス紹介動画も、入学式やオープンキャンパスでの上映と、Webサイトでの視聴の両方を想定した構成にしています。
SNSで使う場合は、縦型に切り出すことを前提に、はじめから縦での見え方を考えて撮影しておくと、追加の撮影なしで展開できます。
大学全体の広報活動における動画の位置づけについては、大学広報を成功させるポイントでも扱っています。
学校紹介動画のよくある質問
学校紹介動画の費用はいくらですか?
当社の場合、施設案内・学校紹介の動画は40万円から200万円を目安としています。金額が動く主な要因は、撮影日数、キャンパスや学部の数、空撮やアニメーションの有無です。学部紹介のように複数本を同じ体裁で作る場合は、1本あたりの単価が下がります。本数の予定がある場合は、最初の相談時にお伝えください。
学校紹介動画と学校PR動画は違うものですか?
呼び方の違いで、指しているものはほぼ同じです。学校PR動画という言い方をされる場合、受験生の獲得を目的とした広報色の強い動画を指していることが多く、学校紹介動画という言い方の場合は、学校の様子を伝える内容全般を指す傾向があります。ただ、実際の制作では呼び方より、誰に何を伝えるかと、どの単位で作るかを決めるほうが重要です。
制作期間はどのくらいかかりますか?
当社の学校・大学の事例では、最短1.5ヶ月、最長4ヶ月で、2ヶ月台が最も多くなっています。ここに学内の承認プロセスの時間が加わります。撮りたい行事がある場合は、その行事の日程が制作期間に収まるかどうかが実質的な締め切りになります。
生徒の顔出しはどこまで必要ですか?
必須ではありません。ナレーションと図解で構成する、手元や後ろ姿だけを撮る、アニメーションで作る、といった方法があります。実際に当社の学校・大学の事例でも、8件はアニメーションや3DCGで制作しています。ただし、校風や雰囲気を伝えたい場合は、在校生が映っているほうが伝わります。目的に応じて判断してください。
作った動画は何年くらい使えますか?
内容によります。校舎や立地を映した映像は数年使えますが、カリキュラム、進路実績、制服、在校生が映っている部分は数年で古くなります。長く使いたい場合は、変わる情報をテロップや静止画として後から差し替えられる形で作っておくのが有効です。毎年少しずつ改定していく運用もあり、当社では2020年から毎年改定を続けている学校の事例もあります。
学校紹介動画は、単位と公開時期を先に決める
学校紹介動画は、1本で全部を伝えようとすると、かえって何も伝わりません。当社の事例でも、学校全体を紹介する動画は20件のうち2件だけで、実際には学部、国際交流、キャンパス、課外活動といった単位で作られています。
そのうえで、公開したい時期から逆算し、撮りたい行事が撮影期間に収まるかを先に確認してください。学校の1年は、企業のスケジュールのようには動かせません。
当社では、学部紹介のアニメーションから、空撮を使ったキャンパス紹介、留学生向けの二言語動画まで対応しています。何から決めればよいか分からない段階でも構いませんので、学校・大学紹介の動画制作からお気軽にご相談ください。
1,000社5,000本の実績