インタビュー動画は、話す人がいて、カメラを向ければ撮れる。そう思われがちですが、実際に完成した動画の出来を分けるのは撮影当日ではありません。誰に何を聞くかを決める企画の段階と、聞いた素材をどう構成するかの編集の段階です。
当社はこれまでに、インタビューを主軸にした動画を14件公開しています。海外での1日密着、複数人の座談会、単独インタビュー、対話形式と型はさまざまで、制作期間は1ヶ月から4ヶ月まで幅があります。
この記事では、その中から11本の事例を制作期間と尺つきで紹介したうえで、作り方の手順、用途別の質問例、カメラ台数の決め方、費用相場までを実務の順序で説明します。

インタビュー動画とは
インタビュー動画は、人が話す姿と言葉をそのまま記録して伝える動画です。ナレーションで説明する動画と違い、話し手本人の表情や間、言い淀みまでが情報になります。
用途は大きく3つに分かれます。
| 用途 | 話し手 | 見る人 | 伝えたいこと |
|---|---|---|---|
| 採用 | 自社の社員 | 求職者 | 働く人の実像、入社後のイメージ |
| 販促 | 導入した顧客 | 見込み客 | 第三者から見た評価、導入後の変化 |
| 広報・ブランディング | 経営者、現場の担当者 | 取引先、株主、社会 | 会社の考え方、事業への姿勢 |
同じインタビュー動画でも、この3つは撮り方も聞き方も変わります。採用向けは共感が軸になるので飾らない言葉が価値を持ち、販促向けは信頼性が軸になるので具体的な数字や経緯が求められます。
用途別の詳しい作り方は、採用向けを社員インタビュー動画の記事、販促向けをお客様の声動画の記事で解説しています。この記事は3つの用途に共通する土台を扱います。
インタビュー動画の4つの型と事例11選
当社の実績を型で分けると、次の4つになります。どの型を選ぶかで、必要な撮影日数と制作期間が変わります。
密着型(4本)
密着型は、1日の動きに同行して撮影する型です。インタビューの受け答えだけでなく、働いている場面そのものが素材になります。
伊藤忠丸紅鉄鋼の海外勤務の1日密着シリーズは、タイ、アメリカ、ドイツと4カ国にわたって展開しました。勤務風景だけでなく、ランチや移動、プライベートの場面までを1日を通して撮影しています。撮影は各国を拠点とする日本人クリエイターを手配し、現地での撮影後に日本で編集する体制を取りました。同社のMISI海外オフィスツアーは、アブダビのオフィスとヤードを舞台に、社員インタビューで構成した1本です。
密着型は情報量が多く、視聴者が働く実感を持ちやすい一方、撮影日数と移動費がかかります。ただし期間は必ずしも長くなりません。1日密着シリーズの3本はいずれも2ヶ月で、シリーズとして構成の型が固まっていたためです。一方でアブダビのオフィスツアーは形式が異なり4ヶ月かかりました。
座談会型(2本)
座談会型は、複数人が同席して語り合う型です。1対1のインタビューでは出てこない、相手の発言に反応した言葉が拾えます。
EPSホールディングスの採用向け企業グループ紹介は、別々のグループ会社に所属する従業員が集まって語り合う座談会を、前編と後編の2本に分けて制作しました。複数のカメラアングルを使い、自然な会話の流れと表情を捉えています。参加者が複数いると話が広がるため、1本に収めようとすると要素が多くなります。分割を前提に構成すれば、それぞれで伝えたいテーマを絞れます。
座談会型は撮影自体は1日で済むことが多いものの、素材が長時間になるため編集に時間がかかります。
単独インタビュー型(4本)
単独インタビュー型は、1人ずつ順番に話してもらう型です。最も基本的で、応用が利きます。
伊藤忠丸紅鉄鋼の東京AP社員紹介動画は、事務職と一般職の社員インタビューを軸に、職務内容をインフォグラフィックスで補う構成にしました。HmletJapanの動画は、事業のPRポイントと採用メッセージを1本の動画で両立させる設計です。入居者と社員に出演してもらい、暮らしぶりや人のつながりを描いています。
昭和女子大学のベトナム人留学生インタビューと、立命館大学の国際連携学科の動画は、いずれも学生が語る形式です。立命館大学では留学前、留学中、留学後の学生それぞれに話を聞き、質問事項の作成から当社が担当しました。教育機関では、在学生の言葉が最も強い訴求材料になります。
都市対抗野球の出場に向けて制作した監督、主将、選手の3本は、いずれも1ヶ月で仕上げた15秒から60秒の短尺です。監督編には練習風景を、主将編と選手編には予選決勝の写真を挿入し、話の合間に見せる素材を変えています。単独型は撮影と編集の工程が単純なため、短期間での制作に向きます。
対話型(1本)
対話型は、インタビュアーと話し手が対等に会話する型です。かしこまった受け答えにならず、素の反応が引き出せます。
成城大学の国際交流PR動画は、学生同士が英語で会話する構成にしました。台本をあえて設定せず、出演する学生に自由に話してもらうことで、キャンパスで日常的に交わされている会話をそのまま映像に収めています。
事例一覧
| 事例 | 型 | 制作期間 | 尺 | 費用帯 |
|---|---|---|---|---|
| 伊藤忠丸紅鉄鋼 海外勤務の1日密着 タイ編 | 密着 | 2ヶ月 | 60秒以上 | 300万円〜 |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼 海外勤務の1日密着 アメリカ編 | 密着 | 2ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼 海外勤務の1日密着 ドイツ編 | 密着 | 2ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼 MISI海外オフィスツアー アブダビ編 | 密着 | 4ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| EPSホールディングス 採用向けグループ紹介 座談会 前編 | 座談会 | 4ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| EPSホールディングス 採用向けグループ紹介 座談会 後編 | 座談会 | 4ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| 伊藤忠丸紅鉄鋼 東京AP社員紹介動画 | 単独 | 4ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| HmletJapan ブランディング・採用向け動画 | 単独 | 2ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| 昭和女子大学 ベトナム人留学生インタビュー | 単独 | 3ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| 立命館大学 国際連携学科JDP PR動画 | 単独 | 4ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
| 成城大学 国際交流PR動画 | 対話 | 2ヶ月 | 60秒以上 | 記載なし |
費用帯は料金ページで予算別の制作事例として公開しているものだけを記載しています。都市対抗野球の3本は、上記11本とは別に制作した短尺の単独インタビューです。

14件の制作期間を見ると、1ヶ月が3本、2ヶ月が5本、3ヶ月が1本、4ヶ月が5本でした。
期間を左右するのは、撮影地ではなく出演人数とフォーマットの有無です。1ヶ月で仕上げた3本は、いずれも単独インタビューの短尺でした。2ヶ月の5本には海外での密着撮影が3本含まれますが、これはシリーズの続編で構成の型が決まっていたため短く収まりました。4ヶ月かかった5本は、複数人が同席する座談会や、新しい形式を一から立ち上げた案件です。
海外で撮るから長くなるとは限りません。何人に出てもらうか、そして前例のある形式かどうかで決まります。
インタビュー動画の作り方
工程は5つです。時間をかけるべきなのは、多くの人が想像する撮影ではなく、その前後です。
1. 誰に話してもらうかを決める
最初に決めるのは話し手です。ここで動画の質の大半が決まります。
選ぶ基準は、伝えたいことの当事者であるかどうかです。採用向けなら入社2年目から5年目の社員が、求職者との距離が近く共感を得やすくなります。販促向けなら、導入を決めた責任者ではなく、実際に日々使っている現場の担当者のほうがリアルな言葉が出ます。
肩書きの高さで選ぶと、当たり障りのない発言になりがちです。
2. 質問を設計する
聞きたいことをそのまま質問にしても、答えは返ってきません。「やりがいは何ですか」と聞けば「お客様に喜んでもらえることです」という一般的な答えが返るだけです。
具体的な出来事を聞く形に変換します。「印象に残っている案件を1つ挙げるとしたらどれですか」「そのとき何が大変でしたか」と聞けば、その人しか語れない話になります。詳しい質問例は後述します。
3. 撮影する
撮影当日は、話し手をリラックスさせることが最優先です。本題に入る前に雑談の時間を取り、カメラが回っていることを意識させない状態を作ります。
原稿を読み上げてもらう形は避けてください。目線が動き、言葉に体温がなくなります。伝えたい要点だけを事前に共有し、言い方は本人に任せるほうが良い素材になります。
4. 構成を組み立てる
撮影した素材は、話した順番どおりには使いません。伝えたい結論に向かって並べ替えます。
インタビュー動画で最も多い失敗は、撮った素材がもったいなくて全部入れてしまうことです。1本の動画で伝えることは1つに絞り、入りきらない話は別の動画に回すか、短尺版として切り出します。
5. 編集する
話の合間に、働いている様子や製品の映像を差し込みます。話し手が映り続けるだけの動画は、内容が良くても最後まで見てもらえません。
テロップは全文を入れず、要点だけにします。全文を出すと視聴者は文字を読んでしまい、話し手の表情を見なくなります。
回答を引き出す質問例
質問は用途によって変わります。当社が実際の制作で使っている考え方をもとに、用途別の例を挙げます。

採用向け(社員に聞く)
- 入社を決めたとき、他にどんな選択肢がありましたか
- 実際に働いてみて、入社前のイメージと違ったことはありますか
- 直近で印象に残っている仕事を1つ挙げるとしたら何ですか
- その仕事で、うまくいかなかった場面はありましたか
- そのとき誰に相談しましたか
- 今の職場で、当たり前になっているけれど他社では珍しいと思うことはありますか
- どんな人と一緒に働きたいですか
販促向け(顧客に聞く)
- 導入前は、その業務をどのように進めていましたか
- 何が起きたときに「変えなければ」と思いましたか
- 検討した際、他にどんな選択肢がありましたか
- 決め手になったのは何でしたか
- 導入直後、社内の反応はどうでしたか
- 今、数字や時間の面で変わったことはありますか
- 同じ課題を持つ会社に伝えるとしたら、何と言いますか
広報・ブランディング向け(経営者に聞く)
- この事業を始めたきっかけとなった出来事は何でしたか
- 判断に迷ったとき、何を基準に決めていますか
- これまでで一番苦しかった時期はいつですか
- そのとき、何を守ろうと考えましたか
- 10年後、この会社がどうなっていてほしいですか
質問設計の3つのコツ
第一に、答えが「はい」「いいえ」で終わる聞き方を避けます。「満足していますか」ではなく「どこが一番変わりましたか」と聞きます。
第二に、抽象的な質問の前に具体的な質問を置きます。いきなり「やりがいは」と聞かず、直近の仕事の話から入ると、そのあとの抽象的な質問にも自分の言葉で答えられるようになります。
第三に、想定より多めに用意します。実際に使う質問が7問なら、15問程度を準備しておくと、話が広がったときに追いかけられます。
撮影の実務
カメラは1台か2台か
2台で撮ると、話し手の表情を捉えた寄りの画と、全体が分かる引きの画を切り替えられます。話が長くなる場合や、言い直しをカットする場合、カメラを切り替えるだけで不自然さが消えます。
ただし2台にすると、カメラマンと機材が増えるぶん費用は上がります。判断の目安は次のとおりです。
| 条件 | 推奨 |
|---|---|
| 尺が60秒以内、話す内容が短い | 1台で足りる |
| 尺が60秒を超える、カットが多く入る | 2台が望ましい |
| 複数人の座談会 | 2台以上が必要 |
| 予算を抑えたい、かつ長尺 | 1台を4Kで撮り、編集で切り出して疑似的に2画角にする |
最後の方法は、4Kで撮影した映像をフルHDで書き出す際に一部を切り出すことで、寄りの画を作るやり方です。1台でも画に変化をつけられます。
背景と音
背景は、その人の仕事が伝わる場所を選びます。会議室の白い壁の前で撮ると、どの会社の動画か分からなくなります。
音は映像より重要です。話が聞き取れない動画は最後まで見てもらえません。ピンマイクを使い、空調の音が入る場所は避けてください。
費用相場と制作期間
当社の料金ページでは、お客様の声インタビューの動画を20万円から50万円の範囲で公開しています。採用向けのインタビューは採用動画の区分に含まれ、50万円から200万円が目安です。
同じインタビュー動画で幅があるのは、次の要素で金額が動くためです。
| 金額が動く要因 | 内容 |
|---|---|
| 撮影日数 | 密着型は同行日数がそのまま費用に反映される |
| 撮影場所 | 海外や複数拠点になると移動費と日数が加算される |
| カメラ台数と人員 | 2台体制、照明、音声の専任者を置くかで変わる |
| 出演人数 | 座談会や複数人インタビューは編集時間が増える |
| 納品本数 | 長編に加えて短尺版やSNS用を作ると増える |
費用を抑える方法として現実的なのは、撮影をまとめることです。1日の撮影で複数人のインタビューを収録すれば、1本あたりの単価は下がります。当社の料金ページでも、撮影のまとめ撮りをコストを抑える方法の1つとして挙げています。
制作期間は、単独インタビュー1本なら1ヶ月から2ヶ月、複数人が同席する座談会や新しい形式の立ち上げでは3ヶ月から4ヶ月が目安です。詳しい工程は動画制作の依頼から納品までの流れ、費用の内訳は動画制作の費用相場で解説しています。
公開後の活用と効果測定
インタビュー動画は、1本を1か所に置いて終わりにすると効果が出にくい動画です。話し手が語った内容は、切り出せば複数の場面で使えます。
| 置く場所 | 尺の目安 | 見る数値 |
|---|---|---|
| 採用サイト、サービスサイト | 2分から3分 | 視聴完了率、次のページへの遷移率 |
| 説明会、商談 | 3分から5分 | 商談化率、その場での反応 |
| SNS、Web広告 | 15秒から60秒 | 視聴単価、クリック率 |
| 社内共有 | 制限なし | 視聴数 |
長編を作った時点で、SNS用の短尺に切り出すことを想定しておくと、追加費用を抑えて展開できます。撮影後に「短い版も欲しい」となると、編集を一から組み直すことになります。
効果を見るときに注意したいのは、再生数だけを追わないことです。インタビュー動画の目的は多くの場合、数を集めることではなく、見た人の理解と納得を変えることです。採用なら応募者の質、販促なら商談での反応を見るほうが、動画の役割に合っています。
インタビュー動画のよくある質問
インタビュー動画の相場はいくらですか?
当社の料金ページでは、お客様の声インタビューを20万円から50万円、採用向けを50万円から200万円で公開しています。金額を動かすのは撮影日数、撮影場所、カメラ台数、出演人数、納品本数です。海外での密着撮影を伴う案件では300万円以上の帯になります。
インタビュー動画はどうやって作りますか?
話し手の選定、質問設計、撮影、構成、編集の5工程です。撮影当日にかかる時間は数時間から1日ですが、質問設計と編集にそれぞれ数週間を要します。全体の制作期間は1ヶ月から4ヶ月です。
どんな質問をすればよいですか?
「やりがいは何ですか」のような抽象的な質問ではなく、具体的な出来事を聞く形に変えてください。「印象に残っている案件を1つ挙げるとしたら」「そのとき何が大変でしたか」のように聞くと、その人しか語れない話が出ます。用途別の質問例はこの記事の質問例の章にまとめています。
カメラは何台必要ですか?
尺が60秒以内なら1台で足ります。60秒を超える場合やカットが多く入る場合は2台が望ましく、座談会は2台以上が必要です。予算を抑えたい場合は、1台を4Kで撮影し、編集で切り出して疑似的に2画角にする方法もあります。
社員が緊張してうまく話せない場合はどうしますか?
原稿を読み上げてもらうのは避けてください。目線が動き、言葉に体温がなくなります。本題の前に雑談の時間を取り、伝えたい要点だけを事前に共有して、言い方は本人に任せるほうが良い素材になります。撮り直しを前提に、同じ質問を角度を変えて複数回聞く方法も有効です。
まとめ:出来を決めるのは撮影ではなく企画と編集
インタビュー動画の出来を決めるのは、撮影ではなく企画と編集です。誰に話してもらうかを決め、具体的な出来事を聞く質問を設計し、撮った素材を伝えたい結論に向けて並べ替えてください。
型は密着、座談会、単独、対話の4つです。制作期間は単独インタビューなら1ヶ月から2ヶ月、複数人の座談会や新しい形式の立ち上げでは4ヶ月が目安になります。
当社はインタビューを主軸にした動画を14件公開しています。制作実績から、型ごとの仕上がりと制作期間をご確認いただけます。誰に何を聞くかの設計段階からご相談いただければ、目的に合った型と本数の提案ができます。
1,000社5,000本の実績