動画制作を初めて依頼するとき、多くの担当者が知りたいのは「何がどんな順番で進み、どれくらいかかるのか」だと思います。結論から言うと、依頼から納品までの流れは、発注前3ステップと発注後6ステップの計9ステップに整理できます。
ただし、すべての案件が同じ流れをたどるわけではありません。どこから任せるかで、流れも期間も変わります。私たちVIDWEBが公開している制作実績のうち、クライアント案件149件を集計すると、制作期間の中央値は2ヶ月で、約6割が2ヶ月以内に納品まで進んでいます。そして約6割は、企画から丸ごと任せる形の依頼でした。この記事では、9ステップの流れを、この実測データと合わせて解説します。
動画制作の依頼から納品までの流れ。全体像は9ステップ
まず全体像です。発注前が3ステップ、発注後が6ステップです。

| 段階 | ステップ | 主にやること | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 発注前 | 1. ヒアリング | 目的・用途・ターゲット・予算・納期の共有 | 企画・構成で合計2〜4週間 |
| 発注前 | 2. 企画・見積もり提案 | 企画書・絵コンテ・シナリオと見積もりの提示 | 同上 |
| 発注前 | 3. 発注 | 契約。NDA・著作権・肖像権の確認 | 数日 |
| 発注後 | 4. プリプロダクション | スケジュール・台本・ロケハン・キャスティング | 1〜3週間 |
| 発注後 | 5. 撮影 | 撮影本番。現場立ち会いまたはオンライン確認 | 撮影自体は1〜2日が多い |
| 発注後 | 6. 動画編集 | カット割り・テロップ・色調補正 | 編集・MAで合計3〜6週間 |
| 発注後 | 7. 初稿確認 | 試写と修正指示 | 同上 |
| 発注後 | 8. MA(音声編集) | BGM・効果音・ナレーション | 同上 |
| 発注後 | 9. 納品 | 納品形式の確認とデータ納品 | 数日 |
期間の目安を合計すると6〜13週間、つまり1.5〜3ヶ月です。当社の実測の中央値2ヶ月は、ちょうどこの真ん中に当たります。各ステップの中身は依頼範囲によって増減するため、まず標準形を押さえたうえで、後半の実測データで自社のケースに引きつけてください。
動画制作を依頼する流れ【発注前】
発注前の3ステップは、動画の完成度の大半を決める工程です。ここで決まっていないことは、発注後にそのまま手戻りになって返ってきます。
1. ヒアリング
制作会社に、動画の目的・用途・ターゲット・予算・納期を伝えるステップです。この段階で自社側が用意しておきたいのは次の4点です。
- 目的を一文にしたもの(例: 展示会で製品の仕組みを3分で説明したい)
- 使う場面と公開先(Webサイト、展示会、説明会、YouTubeなど)
- 納期。特に使用日が決まっている場合はその日付
- イメージに近い参考動画2〜3本
目的が採用なら採用動画の作り方と事例、会社案内なら会社紹介動画の事例のように、目的別の記事で相場観を掴んでから臨むと、ヒアリングの精度が一段上がります。
2. 企画・見積もり提案
ヒアリング内容をもとに、制作会社が企画書・絵コンテ・シナリオと見積もりを提示します。企画と見積もりは無料で対応する会社が一般的です。
見積もりは総額だけでなく、どの工程が含まれているかで比較してください。同じ金額でも、企画・構成から含む見積もりと、編集だけの見積もりでは中身がまったく違います。内訳の読み方は動画制作の費用相場と見積もり内訳の解説にまとめています。
3. 発注
内容と金額に合意したら契約です。このとき必ず確認するのが権利まわりです。
- NDA(秘密保持契約)。商品情報などの漏えいを防ぐための契約です
- 著作権。完成した動画の権利の帰属と使用範囲を明確にします。基本は動画の著作権の解説と音楽・BGMの著作権の解説をご覧ください
- 肖像権。出演者の使用範囲(媒体・期間)を決めておきます
権利関係を契約時に固めておくことが、公開後のトラブルを防ぐ一番の近道です。
動画制作を依頼する流れ【発注後】
発注後は制作会社側の作業が中心になりますが、各ステップに発注側の関与ポイントがあります。
4. プリプロダクション(撮影準備)
スケジュール作成・台本作成・ロケハン・キャスティングを行う準備工程です。撮影許可の手続きは制作会社側が対応します。発注側の主な仕事は、出演する社員のスケジュール確保と、撮影場所の社内調整です。
キャスティングやイラスト制作などの付帯工程も、依頼範囲に含められます。当社の公開実績149件では、キャスティング対応が8件、イラスト作成が9件、CG制作が6件ありました。
5. 撮影
撮影本番です。撮影自体は1〜2日で終わる案件が多く、可能であれば現場に立ち会うことをおすすめします。その場で確認して指示を出せるため、編集後の手戻りが減ります。遠方の場合はオンラインでの立ち会いも一般的になりました。当社では海外ロケの案件を、現地クリエイターと日本からの遠隔ディレクションで進めることもあります。
6. 動画編集
撮影素材の選別、カット割りの決定、テロップの挿入、トランジションや色調補正といった仕上げを行います。ここは制作会社側の作業が中心ですが、テロップの表記ルール(社名・製品名・用字用語)だけは先に共有しておくと修正が減ります。
7. 初稿確認
編集した初稿を試写し、修正指示を出すステップです。ここでの動き方が納期を大きく左右します。詳しくは後述の「修正の実務」で解説しますが、原則は、修正指示を全部署からまとめて1回で出すこと、窓口を1人に絞ることです。構成レベルの大幅な変更はこの段階では納期と費用に影響するため、絵コンテの段階で潰しておくのが理想です。
8. MA(音声編集)
BGM・効果音・ナレーションを映像に合わせて調整する音の仕上げ工程です。ナレーション収録も依頼範囲に含められます。当社の実績149件では、担当業務にナレーションを含む案件が29件ありました。
9. 納品
Web用データ、放送用データ、DVD・ブルーレイなど、用途に合わせた形式で納品されます。公開先(自社サイト・YouTube・広告媒体)ごとに必要な形式が違うため、発注時に使う場面を伝えてあれば、ここで迷うことはありません。あわせて、完成データの二次利用(切り出してSNSに使う等)の範囲も確認しておきましょう。
実写とアニメーションで流れはどう変わるか
9ステップは実写を前提とした標準形です。アニメーションの場合は撮影とロケハンがなくなり、代わりに絵コンテとイラストの確定が品質を決める工程になります。
| 項目 | 実写 | アニメーション |
|---|---|---|
| 撮影・ロケハン | あり。出演者・場所の調整が必要 | なし。天候・スケジュール制約から自由 |
| 品質を決める工程 | 撮影の設計と現場 | 絵コンテ・イラストの確定 |
| 修正の重さ | 再撮影は高コスト。編集で吸収できる範囲は軽い | 後工程での作画修正が重い。前工程の確定が重要 |
| 期間の傾向 | 中央値2ヶ月(当社実測91件) | 撮影なし案件の中央値も2ヶ月。ただし分布は短い側に寄る |
当社の実測では、撮影ありの案件91件、撮影なし(アニメーション・CG等)の案件58件で、中央値はどちらも2ヶ月でした。アニメーションだから一律に速いわけではなく、作画やイラスト制作の規模によっては、撮影がなくても4ヶ月かかった例があります。速さの理由は撮影の有無そのものより、素材が揃っているか、修正の往復が少ないかにあります。
制作期間の実測。149件の中央値は2ヶ月
一般的な解説では、動画制作の期間は「1〜3ヶ月程度」と書かれることがほとんどです。間違いではありませんが、幅が広すぎて計画には使えません。そこで、当社が公開している制作実績のうち、制作期間が記載されたクライアント案件149件を集計しました。

| 制作期間 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1ヶ月以内 | 18件 | 12% |
| 1〜2ヶ月 | 71件 | 48% |
| 2〜3ヶ月 | 41件 | 28% |
| 3〜4ヶ月 | 18件 | 12% |
| 4ヶ月超 | 1件 | 1% |
中央値は2ヶ月、約6割が2ヶ月以内に収まっています。最短は2週間で、担当範囲が演出・編集のみだったバイエルのテレビCM(アニメーション)です。最長は8ヶ月のサーモスの会社案内動画で、海外工場の撮影を含む大型案件でした。
この分布からわかるのは、期間を動かすのは動画の尺ではないということです。効いているのは、素材が揃っているか、関係者(決裁者)が何人いるか、撮影の規模がどれくらいか、の3つです。使用日が決まっている場合は、標準の2ヶ月に社内確認の予備を2〜4週間足して、3ヶ月前に着手しておくのが安全です。
どこから任せるかで流れと期間は変わる。実測は「企画から一括」が約6割
同じ149件を「どこから任せたか」で分けると、依頼の形は大きく4つに分かれます。

| 依頼の形 | 件数 | 期間の中央値 | 発注側の主な仕事 |
|---|---|---|---|
| 企画から一括 | 89件(約6割) | 2ヶ月 | 目的の言語化とフィードバックに集中できる |
| 構成・シナリオから | 42件 | 3ヶ月 | 企画・要件の整理は自社側で行う |
| 演出・編集から | 15件 | 2ヶ月 | 構成案・素材を支給する。素材の質が仕上がりを決める |
| 撮影・編集のみなど部分依頼 | 3件 | 2ヶ月 | 依頼範囲外の全工程を自社で担う |
補足が2つあります。1つ目は、実測の約6割が「企画から一括」だったことです。動画制作が初めての場合や、社内に企画のノウハウがない場合は、この形が標準と考えて差し支えありません。9ステップをフルにたどるのはこの形です。
2つ目は、「構成・シナリオから」の中央値3ヶ月は、依頼の形が重いからではないということです。当社の実測では、海外撮影やシリーズ・複数本納品の大型案件がこの形に集中しており、それが中央値を押し上げています。自社で企画を固めてから依頼すること自体は、期間を延ばす要因ではありません。
なお、素材が揃っていて編集だけ頼みたい、といった小さな依頼を検討している場合は、制作会社とフリーランスの使い分けも選択肢になります。動画制作を個人・フリーランスに依頼する場合の料金と注意点で整理しています。
工程が延びやすいポイントと短縮策
工程別の期間の目安と、実務で遅延が起きやすいポイントは次のとおりです。
| 工程 | 期間の目安 | 遅延しやすいポイント |
|---|---|---|
| 企画・構成 | 2〜4週間 | 構成の合意形成。決裁者のレビュー往復 |
| 撮影準備・撮影 | 1〜3週間(撮影自体は1〜2日が多い) | 出演者・ロケ地のスケジュール調整 |
| 編集・MA | 3〜6週間 | 修正指示の集約。素材の追加支給待ち |
遅延の原因は、3工程とも制作会社側の作業速度ではなく、確認と調整の待ち時間です。逆に言えば、発注側の動き方で短縮できます。
- 決裁者を最初のヒアリングから巻き込む。初稿で初めて役員が見る、が最大の手戻り要因です
- ロゴ・パンフレット・過去動画などの素材を着手時にまとめて支給する
- 出演者の撮影日を早期に確保する。複数本作る場合はまとめ撮りにする
- 修正指示は集約して出す(次章)
急ぎの場合は、実測の短い側の作り方が参考になります。素材支給と工程の絞り込みで1ヶ月を切った例、部分依頼で2週間の例があるほか、生成AIを使う作り方は後述のとおりさらに短くなります。
修正の実務。回数と出し方で納期が決まる
多くの制作会社は、見積もりに修正対応の範囲と回数を規定しています。発注前に確認すべきは次の3点です。
- 修正は何回まで見積もりに含まれるか
- どこからが追加費用になるか(テロップ修正と、構成変更・再撮影では扱いが違います)
- 修正1往復に何日かかる想定か
そのうえで、発注側の動き方の原則は3つです。修正指示は全部署の意見を集めてまとめて1回で出すこと。窓口を1人に絞ること。指示は「もっとかっこよく」ではなく、何分何秒のカットをどうしたいか具体的に書くことです。修正の往復回数が1回増えるごとに、納期は数日〜1週間単位で延びていきます。逆に、この3原則を守った案件は、当社の経験ではほぼ予定どおりに納品まで進みます。
生成AIで変わる工程
生成AIの実用化で、流れの一部は大きく短縮できるようになりました。当社がAI活用で制作したサンプル動画は、撮影・ロケハン・キャスティングの工程がなくなり、構成と編集のみの3日〜2週間で完成しています。従来の実写では考えられない速度です。
ただし、すべてがAIに置き換わるわけではありません。企画・構成の設計、カット間の一貫性、品質の最終判断は人の仕事のままで、商用利用では学習データや権利の扱いの確認も必要です。どのツールで何ができるかは動画生成AIツールの解説記事で詳しく検証しています。急ぎの案件や実験的な取り組みでは、AIと従来工程のハイブリッドを見積もり段階で相談してみてください。
納品後の活用まで考えて依頼する
動画は納品がゴールではありません。完成した動画をどこでどう配信するかで成果が決まります。
当社では、制作後の活用として、動画広告・リスティング広告の運用代行と、企業のYouTubeチャンネル運用支援を提供しています。配信目的に応じて最適な動画の作り(尺・構成・縦横比)は変わるため、配信や運用まで検討している場合は、制作前の段階でご相談いただくのが最も効率的です。
動画制作の流れのよくある質問
動画制作の期間はどのくらいかかりますか?
当社の公開実績149件の実測では、中央値2ヶ月、約6割が2ヶ月以内です。素材支給や部分依頼では2週間〜1ヶ月の例もあり、海外撮影や複数本納品の大型案件では3〜4ヶ月かかります。使用日が決まっている場合は3ヶ月前の着手が安全です。
何から始めればいいですか?
目的を一文にすること、使う場面と公開先を決めること、納期と予算の幅を決めること、参考動画を2〜3本探すことの4つです。この4点が揃っていれば、初回のヒアリングから具体的な提案と見積もりを受けられます。
修正は何回までできますか?
制作会社との契約・見積もりの規定によります。回数と追加費用の線引きを発注前に確認してください。回数の範囲内でも、指示をまとめて1回で出すか、小出しにするかで納期は大きく変わります。
急ぎで動画を作れますか?
作り方次第で可能です。当社の実測では、1ヶ月以内に納品した案件が18件あり、最短は2週間でした。短い案件に共通するのは、素材の支給、担当範囲の絞り込み、撮影のない表現手法です。AIを活用した作り方では3日〜2週間の実例もあります。ただし短縮できるのは撮影・編集の工程で、目的と構成を固める時間を削ると品質に直結するため、まず制作会社に納期を伝えて工程設計から相談してください。
動画制作の費用はいくらかかりますか?
動画の種類と依頼する工程の範囲で変わります。相場の考え方と見積もり内訳の読み方は動画制作の費用相場の解説にまとめています。当社の料金ページでは、予算帯別の制作実例も公開しています。
まとめ。流れを知る目的は、逆算できるようになること
動画制作の流れは、発注前3ステップ・発注後6ステップの9ステップです。そして実測データが示すとおり、期間の中央値は2ヶ月、どこから任せるかで発注側の仕事は変わります。流れを知る目的は暗記ではなく、使用日から着手日を逆算できるようになること、そして自社が何を準備すれば早く良いものができるかを掴むことです。
私たちVIDWEBは、累計5,000本の制作実績(リピート率83.9%)をもとに、企画からの一括依頼にも、素材を活かした部分依頼にも対応しています。まずは制作実績で近い事例をご覧ください。ご相談・お見積もりは無料です。
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