アプリ紹介動画を作ろうとするとき、多くの場合は表現から考え始めます。実写にするか、アニメーションにするか、どんなトーンにするか。
しかし先に決めるべきなのは掲載先です。App Storeに載せる動画には、Appleが定めた明確な制約があります。人が端末を操作している様子を撮影した実写は、そもそも使えません。Google Playは条件が異なります。Web広告として配信する場合は、ストアのような表現の制約はありませんが、配信する媒体ごとの規定に従う必要があります。
同じ「アプリ紹介動画」でも、置く場所によって作れるものが変わります。ここを最初に確認しないと、完成してから作り直しになります。
この記事では、掲載先ごとの要件を公式の情報にもとづいて整理したうえで、当社が制作した実例と費用相場を紹介します。

アプリ紹介動画とは
アプリ紹介動画は、スマートフォンアプリの機能や使い方、世界観を短時間で伝える動画です。目的によって、次の4種類に整理できます。
| 種類 | 目的 | 適した尺 | 主な掲載先 |
|---|---|---|---|
| ティザー型 | 公開前の期待を高める | 15秒から30秒 | SNS、Web広告 |
| 広告型 | ダウンロードを促す | 15秒から60秒 | Web広告、SNS広告、交通広告 |
| ハウツー型 | 使い方や操作手順を説明する | 30秒から90秒 | アプリ内、サポートページ、ストア |
| ブランディング型 | サービスの世界観を伝える | 30秒から90秒 | 自社サイト、SNS |
アプリはダウンロードして触ってみるまで価値が分かりません。動画は、その「触ってみる前」の理解を補う役割を持ちます。
掲載先で作れる動画が変わる
ここが最も重要な点です。掲載先は大きく3つに分かれ、それぞれ制約の強さがまったく違います。
| 掲載先 | 内容の制約 | 尺 | 本数 |
|---|---|---|---|
| App Store(アプリプレビュー) | アプリ画面のキャプチャのみ。人が端末を操作する実写は不可 | 15秒から30秒 | デバイスサイズと言語ごとに最大3本 |
| Google Play(プロモーション動画) | 実体験の映像が中心。条件付きで人物の登場も可 | 明示規定なし(最初の30秒が自動再生) | 1本 |
| Web広告・SNS・自社サイト | ストアのような表現の制約はない。ただし配信媒体ごとの広告ポリシーに従う | 媒体・広告フォーマットごとの規定による | 制限なし |
制約が最も強いのはAppleです。順に見ていきます。
App Storeのアプリプレビューに使う場合
アプリ画面のキャプチャしか使えない
Appleの App Review ガイドライン2.3.4は、プレビューについて「アプリ自体の画面キャプチャのみを使用できる」と定めています。さらに公式のガイドページでは「人が端末を操作している様子を撮影しないこと。肩越しのアングルや、画面をタップする指などが該当します」と明記されています。
つまり、俳優がスマートフォンを操作するシーンを撮影した映像は、App Storeのプレビューには使えません。実写の広告動画をそのまま流用しようとして、この段階で気づくケースがあります。
操作の流れを見せたい場合は、代替手段が公式に用意されています。同じページで「アプリ内での操作やナビゲーションの方法を示す必要がある場合は、タッチホットスポットなどのグラフィック要素を追加してもかまいません」とされています。実写の指ではなく、画面上に重ねる図形で操作を示す方法です。
ナレーションや、映像とテキストのオーバーレイは追加できます。
尺と本数
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 長さ | 15秒から30秒 |
| 本数 | 対応デバイスサイズと言語ごとに最大3本 |
| 形式 | H.264(.mov / .m4v / .mp4)またはProRes 422 HQ(.mov) |
| フレームレート | 最大30fps |
| ファイルサイズ | 最大500MB |
| 向き | iOSとiPadOSは縦横どちらも可 |
アップロード後の処理に最大24時間かかります。公開日から逆算して余裕を持たせてください。
見落としやすい3つの点
第一に、プレビューは既定でミュート再生されます。Appleも「音声を切った状態で再生されるため、映像に文脈を加えるコピーの使用を検討してください」と案内しています。ナレーションで説明する設計にすると、多くの視聴者には伝わりません。テキストで補う必要があります。
第二に、ポスターフレーム(サムネイルに相当する静止画)を変更すると再審査になります。既定では5秒地点が使われます。
第三に、審査で落ちやすい要件がいくつかあります。アプリ内課金がある場合は、課金が必要な要素をプレビューやスクリーンショットで明示する必要があります(ガイドライン2.3.2)。また、実在の個人情報ではなく架空のアカウント情報を表示すること(2.3.9)、他のアプリストアの名称やアイコンを含めないこと(2.3.10)も定められています。価格の表示は、地域によって通貨と金額が異なるため避けるよう案内されています。
Google Playのプロモーション動画に使う場合
YouTubeのURLを指定する方式
Google Playでは、動画ファイルを直接アップロードするのではなく、YouTubeのURLを1本だけ指定します。プレイリストやチャンネルのURLは使えません。
そのため、YouTube側の設定が動画の表示に影響します。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 広告 | 収益化をオフにする。広告が有効だとGoogle Playに表示されない |
| 公開設定 | 公開または限定公開(非公開は不可) |
| 年齢制限 | 年齢制限がかかっていると使えない |
| 埋め込み | 埋め込みを許可する設定にする |
動画は表示されているのに広告が出てしまう、あるいはそもそも表示されない、というトラブルの多くはこの設定が原因です。
最初の10秒で核心を見せる
Googleは尺の上限を明示していませんが、最初の30秒だけが自動再生されると案内しています。そのうえで、次の2点を推奨しています。
- 実際のアプリ内の体験に焦点を当て、コア機能とコンテンツを最初の10秒以内に見せること
- 動画の80パーセント以上をユーザー体験を表すものにすること
タイトル画面やロゴ、事前にレンダリングしたプロモーション素材は最小限にとどめるよう案内されています。「最高の」「今すぐダウンロード」といった宣伝的な文言や、期間限定の内容も避けるべきとされています。
実写は条件付きで使える
Appleとの大きな違いがここです。Googleのガイドラインは「端末を操作する人物を含めないこと(画面をタップする指など)。ただし、コアとなるゲームプレイやアプリの利用が端末の外で行われる場合を除く」としています。
歩数計や位置情報を使うアプリなど、体験の中心が端末の外にあるものは、人物が登場する映像も許容されます。
広告や自社サイトで使う場合
ストアの外で使う動画には、こうした表現の制約はありません。実写でドラマを作ることも、俳優を起用することもできます。
ただし、まったく自由というわけではありません。広告として配信する場合は、媒体ごとに広告ポリシーと入稿規定があります。尺やアスペクト比、ファイル形式の要件は媒体と広告フォーマットによって異なり、規定を満たさない動画は配信できません。表現の幅が広いぶん、配信先を決めてから設計してください。
当社が制作した日本空港ビルデングの羽田空港公式アプリの動画は、この形です。
課題は「空港に着いてから存在を知られること」
同社からは、多くの来港者にとって便利な公式アプリでありながら、実際には空港に到着してから初めて存在を知る人が多い、という課題を伺いました。来港前に使ってもらえれば、空港の利用そのものがスムーズになります。
そこで、事前ダウンロードを促す広告動画として企画しました。ストア掲載用ではなく、来港前の人に届ける動画です。
1本にまとめず、相手ごとに分けた
制作したのは3本です。

| 動画 | 想定した相手 | 見せる機能 |
|---|---|---|
| アプリ紹介編 | 空港利用者全般 | アプリの主な機能と利便性 |
| フライト登録 レジャー編 | レジャー目的で空港を使う人 | 空港内でのアプリの使いどころ |
| マイフライト登録 ビジネス編 | ビジネスパーソン | 空港利用時の利便性 |
3本とも実写で、制作期間は2ヶ月、尺は15秒から60秒です。企画構成から撮影、編集までを担当しました。
同じアプリでも、旅行で年に数回使う人と、出張で頻繁に使う人では、刺さる機能が違います。1本にまとめると、どちらにも当てはまらない説明になりがちです。
空港を撮らずに空港のアプリを見せた
演出で特徴的なのは、空港の映像をあえて抑えた点です。ハウススタジオでの撮影を通して、日常から空港利用までのつながりを表現しました。
事前ダウンロードを促す動画なので、視聴者はまだ空港にいません。空港の風景から始めると自身の場面として受け取られにくく、家にいる場面から入るほうが「出発前に入れておこう」という行動に近づきます。掲載先と、見る人がどこにいるかを踏まえた設計です。
撮影しない選択肢もある
当社ではAIアバターを使ったアプリ紹介のサンプルも公開しています。生成AIによるアバターと音声で構成し、撮影とナレーション収録を行わずに制作しました。制作期間は3日から7日、尺は7秒です。
実写で2ヶ月かかる工程と比べると、期間の差は大きくなります。表現の幅は限られますが、短尺で数を作る場合や、検証段階の動画には向きます。
費用相場
当社の料金ページでは、アプリ・ゲーム紹介の動画を30万円から80万円の範囲で公開しています。
金額を動かす要素は次のとおりです。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 撮影の有無 | スタジオでの実写撮影を行うかどうかで大きく変わる |
| 出演者 | キャスティングを行うと出演料と契約期間の費用が発生する |
| 本数 | 複数本をまとめて制作すると1本あたりは下がる |
| 表現手法 | 3DCGやアニメーションは作り込みの度合いで変動する |
| 尺と縦横の展開 | 縦型と横型の両方を用意すると編集工数が増える |
抑えたい場合は、撮影を伴わない構成にする、担当範囲を編集だけに限定する、素材を支給する、といった方法があります。より詳しい内訳は動画制作の費用相場を解説した記事で説明しています。
アプリ紹介動画のよくある質問
アプリ紹介動画の費用はいくらですか?
当社の料金ページではアプリ・ゲーム紹介の動画を30万円から80万円で公開しています。撮影の有無、出演者のキャスティング、制作本数、表現手法で金額が動きます。
App Storeに実写の動画は載せられますか?
載せられません。Appleのガイドラインはプレビューについて「アプリ自体の画面キャプチャのみ」と定めており、人が端末を操作する様子の撮影も明確に禁止されています。操作の流れを見せたい場合は、画面上に重ねるタッチホットスポットなどのグラフィック要素で表現します。
ストア用と広告用は同じ動画を使い回せますか?
そのままの使い回しは難しいと考えてください。App Storeは15秒から30秒でアプリ画面のキャプチャのみという制約があり、実写の広告動画は要件を満たしません。長編を作ってからストア用に短く編集し直す前提で設計しておくと、追加費用を抑えられます。
Google Playで動画が表示されないのはなぜですか?
多くの場合はYouTube側の設定が原因です。収益化をオフにしていない、非公開設定になっている、年齢制限がかかっている、埋め込みを許可していない、のいずれかを確認してください。プレイリストやチャンネルのURLを入力している場合も表示されません。
制作期間はどのくらいですか?
当社が制作した羽田空港公式アプリの動画は、企画構成から撮影、編集まで含めて2ヶ月でした。撮影を伴わずAIアバターで制作したサンプルは3日から7日です。撮影の有無が期間を大きく左右します。
まとめ:表現より先に掲載先を決める
アプリ紹介動画は、表現より先に掲載先を決めてください。
App Storeのアプリプレビューはアプリ画面のキャプチャに限られ、人が端末を操作する実写は使えません。15秒から30秒、既定でミュート再生されるため、テキストで補う設計が必要です。Google PlayはYouTubeのURLを1本指定する方式で、収益化のオフが必須です。最初の10秒で核心を見せてください。
広告や自社サイトで使うなら、ストアのような表現の制約はありません。ただし配信媒体ごとに広告ポリシーと入稿規定があるため、配信先を決めてから設計してください。そのうえで、誰に向けて何本作るかが結果を分けます。
商品やサービス全般の動画の作り方は商品紹介動画・サービス紹介動画の記事で解説しています。アプリの動画をどこに置くかが決まっていない段階でも、掲載先の要件を含めてご相談いただけます。
1,000社5,000本の実績