BtoBの動画マーケティングで成果が分かれるのは、動画の出来栄えよりも、作った後の設計です。どこに配信し、何を測って改善するか。ここが決まっていない動画は、どれだけ丁寧に作っても数字につながりません。
私たちVIDWEBは動画制作会社ですが、制作だけでなく、動画広告の運用やYouTubeチャンネルの運用まで自社で手がけています。その立場でBtoBのご相談を受けるとき、最初に確認するのは動画の内容ではなく、コンバージョンの設計です。BtoBは商材の単価が高く、問い合わせや受注の絶対数が少ないため、BtoCと同じ発想で広告を配信しても機械学習による最適化が安定せず、成果の出ない配信が続いてしまうからです。
この記事では、BtoBとBtoCの前提の違いから、配信先の使い分け、効果測定の組み立て方、費用の目安、そして当社が制作したBtoB動画の事例まで、制作と運用の両方をやっている実務の目線で解説します。
BtoBとBtoCの動画マーケティングの違い
BtoBの動画マーケティングを設計するうえで、最初に押さえておきたいのがBtoCとの前提の違いです。違いを整理すると次のようになります。
| 項目 | BtoC | BtoB |
|---|---|---|
| 訴求対象 | 生活者 | 法人や団体 |
| 顧客数 | 多い | 少ない |
| 購入の意思決定 | 1人 | 複数かつ多層 |
| 購入の目的 | 好意、所有、体験、課題解決 | 課題解決 |
| 利用者 | 多くの場合、購入者と同じ | 購買者と同じとは限らない |
| 検討期間 | 短期的 | 長期的 |
| 購買単価 | 少額 | 高額 |
| 購買で重視する点 | ブランドや付加価値も影響 | 機能や実績など |
この中で動画の設計に直結するのは、次の2点です。
意思決定が複数かつ多層である
BtoBでは、動画を見る人と購入を決める人が同じとは限りません。現場の担当者が見つけた動画が、上司や決裁者へ社内共有され、複数人の協議を経て発注に至ります。つまりBtoBの動画は、最初の視聴者だけでなく、その先で回覧される相手にも伝わるように作る必要があります。感情に訴える演出よりも、コスト削減や業務効率化など、決裁の場で説得材料になる情報を軸に据えるのはこのためです。

検討期間が長く、単価が高い
BtoBの商材は高額なものが多く、複数の競合と比較しながら数か月単位で検討されるのが一般的です。1本の動画で即決してもらう発想ではなく、認知、比較検討、商談、導入後といった顧客接点ごとに適切な動画を用意し、長い検討期間を通じて伝え続ける設計が求められます。
BtoBの動画の活用シーンと種類
BtoBで動画が使われる場面と、対応する動画の種類を整理します。それぞれの詳しい作り方は個別の記事で解説しているので、表内のリンクからご覧ください。ここでは全体像を一覧で押さえてください。
| 活用シーン | 主な動画の種類 | 狙い |
|---|---|---|
| 自社サイト・サービスページ | 商品・サービス紹介動画 | 複雑な商材の理解促進、問い合わせの後押し |
| 商談・営業活動 | 営業ツール動画、製品カタログ動画 | 説明の均質化、属人化の解消 |
| 動画広告(YouTube・SNS) | 認知向け短尺動画、サービス紹介動画 | 認知拡大、リード獲得 |
| ウェビナー・セミナー | セミナー動画、アーカイブ配信 | リード獲得、見込み顧客の育成 |
| 展示会・イベント | 展示会向け製品紹介動画 | ブースへの集客、その場での理解促進 |
| 採用活動 | 採用動画、社員インタビュー | 応募者への訴求、入社後のミスマッチ防止 |
| 導入検討の後押し | お客様の声インタビュー動画 | 第三者の実例による信頼の獲得 |
| 導入後のサポート | マニュアル動画、ハウツー動画 | 問い合わせ削減、顧客満足度の向上 |
どのシーンでも共通するのは、パンフレットや口頭説明で伝えきれない情報を、短時間で正確に伝えられるという動画の性質です。特に、実物を目の前で見せられない商材、たとえば大型の産業機械や無形のシステムほど、動画の効果は大きくなります。この点は後述の事例で具体的に紹介します。
配信先の選び方
動画は作っただけではマーケティングの効果を発揮しません。BtoBの動画広告を配信できる主な媒体と特徴は次のとおりです。
| 配信先 | 特徴 |
|---|---|
| YouTube(Google広告) | 動画の冒頭・途中・最後に配信されるインストリーム型が中心。音声つきで視聴される可能性が高く、視覚と聴覚の両方に訴求できる |
| Yahoo!広告 | Yahoo! JAPANのトップページ等へのアウトストリーム配信に加え、TVer・ABEMAなどへのインストリーム配信にも対応。アウトストリーム面では音声が流れない環境を想定した動画素材が必要 |
| Meta広告(Facebook・Instagram) | 実名利用が前提のため、役職や業種のデータに基づくターゲティング精度が強み。ビジネスパーソンの利用者も多い |
| LinkedIn広告 | 業種・役職への高精度なターゲティングが可能だが、国内では利用者が限られるため優先度は下がる。海外市場や特定職種を狙う場合の選択肢 |
BtoBに専門特化した動画広告媒体はほとんど存在しないため、選定の基準はターゲティング精度になります。当社が広告運用をお受けする場合、まずYouTubeから始めることをおすすめしています。利用者数が多くターゲティング精度も高いため、配信セグメントのA/Bテストを回して最適解を見つけやすいからです。
ターゲティングの設定では、次のような切り口をよく使います。
- 特定のジャンルに興味関心を持つユーザー
- 過去に関連キーワードで検索したユーザー
- 過去に自社サイトへ訪問したことのあるユーザー(リマーケティング)
- 競合企業のウェブページを閲覧する可能性のあるユーザー

なお、広告費をかけずにYouTube検索やおすすめ経由で視聴者を集めるYouTubeチャンネルの運用も、業種によっては有効です。YouTube広告の具体的な出稿方法と事例は、BtoB企業がYouTube広告を効果的に活用するポイントと事例で詳しく解説しています。
効果測定の設計
BtoBの動画マーケティングで最も差がつくのが効果測定です。動画広告は目的によって、測るべき指標が変わります。
| 広告の種類 | 配信の目的 | 主な評価指標 |
|---|---|---|
| ブランディング広告 | 潜在顧客層への認知拡大 | 視聴回数、視聴維持率、指名検索数 |
| レスポンス広告 | リード獲得やコンバージョンの獲得 | クリック数、クリック率、コンバージョン率、獲得単価 |
売り上げに直結するからといって、レスポンス広告ばかりに偏った配信をする広告主を、私たちは運用の現場で数多く見てきました。短期的には効率的に見えますが、競合がブランディング広告に投資している場合、認知の差が積み上がって長期的に苦しくなります。認知と獲得の両方にバランスよく配分することをおすすめします。
マイクロコンバージョンの設計がBtoBの鍵になる
BtoB広告でよくあるお悩みが、商材が高価格であるためにコンバージョン数が少なくなってしまうという点です。大規模な取引を中心とする企業では、コンバージョンが年に2、3件で十分というケースさえあります。
コンバージョンの絶対数が少ないと、広告媒体の機械学習による最適化の精度が安定しないという問題に直面します。ここで有効なのがマイクロコンバージョンの設定です。最終的なゴールである問い合わせよりも手前に、ハードルの低い中間指標を置きます。
- 料金ページや実績ページなど、重要なページへのアクセス
- ページ滞在時間が15秒以上
- フォーム入力の開始
- 埋め込み動画の再生
- 資料ダウンロードボタンのクリック

マイクロコンバージョンは何でもよいわけではなく、最終コンバージョンにつながる動作を選ぶことが重要です。適切に設定できれば媒体の機械学習が促進され、少ないコンバージョン数でも配信効率を高められます。
効果が出ないときの見直し方
動画を作って配信したものの、効果を実感できないというご相談は珍しくありません。当社の検索流入を見ても、動画マーケティングを始めた後に効果の測り方や立て直し方を探す検索が実際に届いています。見直すときは、次の順序で切り分けることをおすすめします。
1. そもそも見られているか
表示回数や視聴回数が伸びていない場合、動画の中身ではなく届け方の問題です。配信先のターゲティング設定、掲載しているページへの流入数、広告予算の配分を先に確認します。ここを飛ばして動画を作り直しても、同じ結果になります。
2. 見られているのに次の行動につながっていないか
視聴はされているのにクリックや問い合わせが増えない場合は、動画とその後の導線を疑います。視聴維持率のグラフでどこまで見られているかを確認し、離脱が早ければ冒頭の構成を、最後まで見られているのに行動につながらなければ、視聴後の受け皿となるページやCTAを見直します。
3. 効果を測れる状態になっているか
意外に多いのが、そもそも測定の仕組みがないケースです。BtoBは検討期間が長いため、動画の視聴から問い合わせまで数か月空くことがあります。前述のマイクロコンバージョンを設定しておかないと、動画が効いているのかどうかを判断する材料自体が残りません。効果が出ていないように見えて、実際には測れていないだけということは少なくないのです。
制作のポイント
配信と測定の土台ができたら、動画そのものの設計です。BtoBの動画制作で押さえるべきポイントを4つに絞って紹介します。
決裁者を説得できるメッセージを盛り込む
BtoB商材は複数の人が協議して購入を決めるため、視聴した担当者が社内で説明に使える情報を動画に入れておきます。導入によるコスト削減の程度や、業務がどう変わるかといった具体的な内容は、社内の会話のきっかけや説得材料になります。
課題解決のストーリーで構成する
BtoB商材の購入目的は課題解決にあり、好みや直感で購入されることはほとんどありません。問題提起、結果、実証、信頼、安心という流れで、自社の商品やサービスが何をどう解決できるのかを順に示す構成が有効です。
第三者の声や実績で信頼を裏づける
BtoB商材は高価なわりに参考にできる口コミが少なく、最終的には企業や商品への信頼感が決め手になります。利用者インタビュー、専門家の解説、企業の歴史や実績の紹介は、いずれも信頼を裏づける定番の手法です。
視聴データをもとに分析と改善を繰り返す
1本作って終わりではなく、視聴データを見ながら改善を繰り返すことで動画マーケティングは機能し始めます。社内にリソースがない場合は、制作だけでなく配信と分析まで対応できる会社に依頼するのも選択肢です。
費用の目安
BtoBでよく作られる動画の、当社の料金ページで公開している費用の目安です。
| 動画の種類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 商品説明・サービス紹介動画 | 30万円〜100万円 |
| 会社紹介・企業案内の動画 | 50万円〜400万円 |
| 広告用の動画・CM | 50万円〜300万円 |
| 展示会向け動画 | 40万円〜200万円 |
| セミナー収録動画 | 20万円〜50万円 |
| お客様の声インタビュー動画 | 20万円〜50万円 |
| マニュアル・ハウツー動画 | 20万円〜80万円 |
同じ種類の動画でも金額に幅があるのは、撮影日数、スタッフの人数、タレントやナレーターの起用、CGやアニメーションの有無で費用が動くためです。実物を撮影できない商材をアニメーションや3DCGで表現する場合と、既存素材を編集して仕上げる場合とでは、同じ尺でも見積もりは大きく変わります。予算を先に決めてから、その範囲でできる表現を制作会社と相談する進め方が現実的です。
BtoB動画の制作事例7選
当社が制作したBtoB向け動画の事例です。実物を見せにくい商材をどう表現したか、制作期間とあわせて紹介します。

1. 株式会社リコー「インタラクティブホワイトボードの製品紹介動画」
実写・制作期間3ヶ月。さまざまなワークプレイスに適応する事例を撮影し、テロップモーションを追加することで、映す、書く、つながる、共有するといった多機能性を分かりやすく紹介しています。
2. エプソン販売株式会社「インクジェットの技術紹介動画」
実写・アニメーション・3DCGの組み合わせ・制作期間2ヶ月。配線をインクジェットで印刷する試作を通じて、従来工程との比較や技術が実現するメリットを解説しています。実際に印刷している様子は実写で、それ以外は内容に応じてアニメーションと3DCGを適材適所で使い分けています。
3. 株式会社エムズ「採掘機の展示会向け製品紹介動画」
実写・制作期間2ヶ月。ドイツ・ミュンヘンで行われる展示会用の動画です。現地の文化や習慣に合わせるため、海外在住のクリエイターを制作チームにアサインしました。スプリングドリルをさまざまな角度から撮影し、力強い印象にまとめています。
4. 株式会社朋栄「バーチャル展示会動画」
実写素材とグラフィックの組み合わせ・制作期間1ヶ月。世界最大の放送機器展で展示を予定していた新製品と各種ソリューションを、出展予定のブースレイアウトを活かしたバーチャルツアー形式で紹介しています。オフラインでの販促が制限された時期に、展示会をオンラインへ持ち込んだ事例です。
5. 株式会社椿本チエイン「自動仕分け機のサービス紹介動画」
アニメーションと実写素材の組み合わせ・制作期間2ヶ月半。物流現場でさまざまなモノを届けるための仕分けを行う機械について、現場でどのように使用されているかを、製品の仕組みとあわせて伝えています。設備の仕組みの説明をアニメーションが担っています。
6. 大電株式会社「メディアコンバーターの新製品PR動画」
3DCG・制作期間2ヶ月。100Gbpsの高速光伝送通信を実現する製品のプロモーション動画です。通信という完全に不可視の価値を、3DCGの演出で期待感に変換しています。
7. 株式会社イシダ「組み合わせ計量機の50周年記念動画」
アニメーション・制作期間2ヶ月半。製品の歴史と歴代マシンを振り返る構成で、全体にオールド感のある演出を施しています。
7件のうち4件が、アニメーションや3DCGを使っています。当社に届くBtoBのご相談は、大型機械、無形のシステム、目に見えない技術など、実物をそのまま撮影できない商材の話から始まることが多く、その解決手段としてアニメーションやCGを選ぶケースが実際に多いためです。表現の選択は見た目の好みではなく、商材の性質から決まります。
よくある質問
BtoBの動画マーケティングとは何ですか?
法人顧客を対象に、動画を使って認知の拡大、リードの獲得、商談の後押し、導入後のサポートなどを行うマーケティング手法です。文章や静止画では伝わりにくい商材の特長を短時間で伝えられるため、複雑な製品や無形のサービスを扱うBtoB企業と相性がよい手法です。
BtoCの動画マーケティングと何が違いますか?
最大の違いは、動画を見る人と購入を決める人が別であることです。BtoBでは動画が社内で回覧され、複数人の協議を経て発注に至るため、感情的な訴求よりも、決裁の場で説得材料になる情報が求められます。検討期間も数か月単位と長いため、顧客接点ごとに動画を用意する設計が必要です。
効果はどのように測ればよいですか?
認知目的なら視聴回数や視聴維持率、獲得目的ならクリック率やコンバージョン率が基本の指標です。ただしBtoBはコンバージョンの絶対数が少ないため、料金ページへのアクセスや資料ダウンロードなどのマイクロコンバージョンを設定し、中間指標で配信を最適化することをおすすめします。
動画制作の費用はどれくらいかかりますか?
当社の場合、商品説明・サービス紹介動画で30万円から100万円、会社紹介動画で50万円から400万円が目安です。撮影日数、スタッフ人数、CGやアニメーションの有無で金額が変わります。詳しくは料金ページをご覧ください。
まとめ: BtoBの動画は効果測定の設計から始める
BtoBの動画マーケティングで重要なのは、BtoCとの前提の違いを理解したうえで、配信先と効果測定まで含めて設計することです。意思決定が多層で検討期間が長いBtoBでは、決裁者に届くメッセージ設計と、マイクロコンバージョンを使った測定の仕組みが成果を左右します。
株式会社VIDWEBは、動画の企画・制作から、動画広告の運用、YouTubeチャンネルの運用までを一貫して手がけています。作って終わりではなく、配信と測定まで見据えたご提案が可能ですので、BtoB企業向けの動画制作・動画マーケティングのページとあわせて、お気軽にご相談ください。
1,000社5,000本の実績