Amazonスポンサーブランド動画広告(Amazon Ads)とは、商標登録したブランドの商品やサービスを、動画でアピールできる広告フォーマットのことです。Amazon上でブランドの認知を高めたり、ユーザーの関心を引いて、購入につなげたりできます。
この記事では、Amazonスポンサーブランド動画広告の特徴と設定方法、効果的なクリエイティブを制作するポイントを紹介します。
Amazonスポンサーブランド動画広告とは?
Amazonスポンサーブランド動画広告とは、Amazonの検索結果画面の上部や中部と、商品詳細ページに表示される動画広告のことです。
- 検索結果に表示される例
- 商品詳細ページに表示される例
Amazonスポンサーブランド動画広告は、以下3つの要件を満たすと利用できます。
- Amazonブランド登録済みのブランドオーナーであること
- 出品形態が大口出品(月額登録料4,900円)であること
- 広告審査に合格すること
広告の課金形態は、クリックされると料金が発生するCPC形式であり、動画が表示されるだけでは課金されません。ユーザーが広告エリアをクリックすると、事前に設定したリンク先(商品詳細ページやAmazonストアなど)に遷移します。
なお、Amazonの動画広告フォーマットには、Amazon DSP動画広告(オンライン動画広告)もあります。こちらは、Amazonに出品していない人も利用できます。課金形態は、広告が表示されるたびに料金が発生するインプレッション形式であり、最低出稿料金は300万円です。
参考:Amazon広告商品「広告媒体資料 (2023年7-9月期)」
Amazonスポンサーブランド動画広告に出稿するメリット
Amazonスポンサーブランド動画広告を利用する主なメリットは以下の3つです。
- ユーザーの興味を引きやすい
- 商品の購入につながりやすい
- 競合の検索結果に自社製品を表示できる
それぞれについて詳しく説明します。
ユーザーの興味を引きやすい
Amazonでは、同じジャンルの商品がカタログ形式で表示されます。この中にある動画広告は、ユーザーの興味を引きつけ、情報を無意識的に伝えられます。
PC版の検索結果ページでは、横1列の約5商品分のエリアを占有できます。また、動画の右横に商品情報を掲載できるため、製品の機能や性能、仕様をダイレクトに訴求できます。
商品の購入につながりやすい
Amazonスポンサーブランド動画広告では、Amazonの商品ページやAmazonストアをリンク先として設定できます。これにより、ユーザーは購入や欲しいものリストへの追加などのアクションを起こしやすくなります。
Amazon公式によると、広告主がスポンサーブランド広告に続いてスポンサーブランド動画広告を開始した結果、高い効果が得られたとのデータがあります。
スポンサーブランド広告を開始した後にスポンサーブランド動画広告キャンペーンを開始した広告主様は、その後3か月間にわたり、平均して1か月あたりのインプレッション数が28%、クリック数が33%、CTRが2%、広告費用対効果(ROAS)が4%増加しました*。
Amazon Internalデータ(米国、英国、ドイツ、8月19日~1月21日)*一部のマーケットプレイスでは、商品や機能をご利用いただけない場合があります。
引用:Amazon ads「スポンサーブランド広告完全ガイド」
さらに、「タイムセール」や「Amazonクーポン」を併用することで、購入率を向上させられるでしょう。
競合の検索結果にも自社の製品を表示できる
Amazon上でユーザーが競合の商品名で検索したとき、自社の商品を同じ画面に表示できます。競合と比較して、どのような特徴やメリットを持っているか明確にすることで、自社の商品に興味を持ってもらうきっかけを作れます。
さらに、動画は単に商品をアピールするのではなく、その背景にあるブランドストーリーも視覚的に伝えられます。これは、ブランドへの信頼感を醸成し、認知度を高めるのに効果的です。
Amazonスポンサーブランド動画広告のクリエイティブの要件
Amazonスポンサーブランド動画広告のクリエイティブ要件は以下の通りです。
動画再生時間 | 6~45秒(20秒以下を推奨) |
---|---|
動画のサイズ | 1280x720px、1920x1080px、または3840x2160px |
ファイルサイズ | 500MB以下 |
ファイル形式 | MP4またはMOV |
アスペクト比 | 16:9 |
動画コーデック | H.264またはH.265 |
Amazonスポンサーブランド動画広告の効果的な作り方
効果的な動画クリエイティブを制作することで、広告の効果を高められます。
ここでは、動画の構成と品質について、それぞれのポイントを説明します。
動画構成のポイント
視聴者の注意を引いたり、短時間で効率よく情報を伝えるためには、動画の構成を工夫する必要があります。
- 無音でも成立する構成にする
動画クリエイティブはデフォルトでミュート(無音)に設定されているため、無音でも内容が理解できる構成にしましょう。音声は必須ではありませんが、ブランドのイメージを高めるために、高品質なBGMやナレーションの使用をおすすめします。
- 最初の5秒以内に製品の魅力が伝わる映像と機能紹介を含める
ユーザーに最高の第一印象を与えるために、最初の2秒間は商品の魅力を伝える映像を表示し、5秒以内に商品の最も優れた特徴を強調しましょう。これにより、視聴者は即座に製品の価値を理解できます。
- ロゴとエンドカード(CTA)を含める
動画全体を通してロゴを表示する方法や、最後に数秒間ロゴやエンドカードを表示する方法があります。エンドカードには、ロゴだけでなく、CTA(コール・トゥ・アクション)も含めると効果的です。「今すぐ購入」「詳細を確認」「もっと見る」など、具体的なアクションを促す表現を使用しましょう。
- ループすることを前提に制作する
動画の再生が終了すると、動画は自動的にループ再生されます。シームレスなループを実現するためには、最後にエンドカードを設置したり、フェードインを避けるなどして、黒い画面にならないよう工夫することが重要です。
- 動画の長さは20秒以内に収める
Amazon公式は、動画の長さを20秒以内に収めることを推奨しています。短い時間で商品の魅力を最大限に伝えるために、動画の品質へ細心の注意を払いましょう。
参考:Amazon「スポンサーブランド動画広告の作成ガイド」
動画品質に関するポイント
競合と差別化するためにも、高品質な動画を制作し、自社の商品が優れていることをアピールしましょう。
- 視認性の高いテロップを使用する
ユーザーが容易に読み取れるように、色と大きさに配慮したテキストを使用しましょう。内容を理解しやすくするために、テロップや字幕を最大限活用します。これにより、視聴者は動画の内容をすばやく把握できます。
- テキストは1秒以上表示する
ユーザーが内容を簡単に理解できるように、テキストは1秒以上表示しましょう。字幕やテロップを使用することで、より多くの情報を効果的に伝えられます。
- 高品質・高画質な動画素材を使う
ユーザーは、動画広告の品質を基に商品の品質を判断することがあります。不鮮明な映像や音声、視覚的な興味を引くだけの演出などは避けましょう。
Amazon広告では、動画広告の品質を低下させる要素を含めることは許可されていません。ガイドラインやポリシーに準拠していない動画は審査に通らない可能性があるため、注意が必要です。
参考:Amazon ads「スポンサー広告のガイドラインおよび承認ポリシー」
Amazonスポンサーブランド動画広告の費用相場
Amazonスポンサーブランド動画広告の費用相場は、1クリックあたり約20〜200円となっています。ただし、これはあくまで平均的な範囲であり、変動する可能性があるのでご注意ください。
また、Amazon公式では、広告予算として1日あたり1,000円程度からの運用開始を推奨しています。これらの情報を考慮して、自社の目標売上やマーケティング戦略に基づいて適切な広告予算を設定することが重要です。
Amazonスポンサーブランド動画広告の始め方
Amazonスポンサーブランド動画広告の始め方について説明します。
Amazonブランド登録済みの方は、Amazonスポンサーブランド動画広告の設定方法へ進んでください。
自社のブランドをAmazonに登録する
Amazonスポンサーブランド広告を開始するには、まず、自社のブランドをAmazonに登録する必要があります。登録には、商標権・ブランドロゴ・商品画像の3つが必要です。
Amazonへのブランド登録自体は無料ですが、商標権の取得には通常半年〜1年程度かかり、自分で商標登録する場合は約3万円、代理人(弁理士)に依頼する場合は8〜10万円の出願料や登録料が発生します。また、ブランドロゴを新たに作成する場合は、別途作成費用が必要です。
Amazonストアを作成する
Amazonストアとは、自社のブランドや商品を一つのウェブページ上でまとめて掲載できるカスタムページサービスです。セラーセントラルから、「ストアビルダー」を使用してページを編集できます。
Amazonストアの作成は必須ではありませんが、画面トップに売れ筋商品を掲載したり、動画クリエイティブを配置したりできます。これにより、ユーザーが購入を検討する時間を短縮できます。
Amazonスポンサーブランド動画広告の設定方法
Amazonスポンサーブランド動画広告を掲載する手順を紹介します。
- 「キャンペーンを作成」から「スポンサーブランド広告」を選択する
アカウントにサインインして、キャンペーンマネージャーに移動します。「新規キャンペーンを作成する」をクリックして、スポンサーブランド広告を選択してください。
- キャンペーン名、開始日と終了日、予算を入力する
キャンペーンの目的が明確にわかるような名前を付けて、配信期間と予算を入力します。
- 広告グループを作成して「広告フォーマット」と「ランディングページ」を選択する
「広告グループ名」を入力し、「広告フォーマット」から動画を選択します。ランディングページは、Amazonストアか商品詳細ページのいずれかを選択しましょう。
- ターゲティング戦略を選択する
ターゲティングには、「キーワードターゲティング」と「商品ターゲティング」があります。
【キーワードターゲティング】 自社の商品が検索結果に表示されるようなキーワードを設定します。購入意欲が高いユーザーに効率よくアプローチできます。 【商品ターゲティング】 カテゴリーや特定の商品を選択して広告のターゲットを設定します。比較検討段階にいるユーザーに効率よくアプローチできます。 |
- 動画広告クリエイティブを設定する
ブランド名とロゴ、見出しを入力し、動画クリエイティブをアップロードします。最後に「審査に申請」をクリックして完了です。
審査落ちの対処法
広告が審査落ちしてしまったときは、以下の項目に該当していないかチェックしてみましょう。
□ テキストや音声にWebサイトのリンクが含まれている □ 冒頭・ラストに黒や空白のフレームがついている □ 映像や音声が途切れたような編集になっている □ Amazonのロゴ、アイコンを使用している □ カスタマーレビューの内容を利用している □ 根拠のない表現が使われている 例)No,1 90%の人が高評価 など |
Amazonスポンサーブランド動画広告の成功事例
Amazonスポンサーブランド動画広告の成功事例を紹介します。
中国の家電ブランドがROASを3.3倍に増加
中国のある家電ブランドは、さらなる売上拡大のために、新しい広告フォーマットの導入を検討していました。そこでAmazonのスポンサーブランド動画広告を開始したところ、同社のベンチマーク(目標となる基準)と比較してROAS(広告費用対効果)3.3倍という結果をもたらしました。
特に米国では、テストキャンペーン中にスポンサーブランドの動画広告が全体の広告収益の25%を占めるという結果が得られました。
参考:Amazon ads「新境地を開く: スポンサーブランド動画広告の導入事例」
スウェーデンの輸入販売会社がインプレッション数300万を達成
オーディオ製品を提供するスウェーデンの輸入雑貨販売会社は、イギリスでスポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告のキャンペーンを実施したところ、2ヵ月で好調な結果が得られたため、海外展開を開始。
市場拡大を目的に、スポンサーブランド広告を用いてストアへの集客を強化したところ、年間インプレッションが300万件以上に達し、売上高広告費比率(ACOS)が前年比で10%減少しました。
参考:Amazon ads「BrandvaultがUrbanistaブランド向けにスポンサー広告を使用している方法」
Amazonスポンサーブランド動画広告で売上アップにつなげよう
Amazonのスポンサーブランド動画広告は、ブランド認知を拡大し、ユーザーの興味関心を喚起するのに最適です。Amazon上で商品を眺めているだけのユーザーにも効果的にアプローチできます。
ただし、成果を出すためには一定以上の品質が必要であり、ブランドのトーンやスタイルを忠実に表現することが求められます。また、独自のメリットを際立たせなければ、コンバージョンは期待できません。
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