【事例あり】電車内動画広告の効果と費用は？制作のポイントも解説

動画広告市場が急速に拡大する中で、適切な媒体選定が広告効果を最大化する重要なポイントとなっています。本記事では、主要な動画広告媒体の特徴や選定基準、運用ポイントを網羅的に解説し、最適な広告戦略を立案するための知識を提供します。

電車内動画広告は、通勤・通学や移動などで日常的に電車を利用する多くの人々にリーチできる、近年ますます注目を集めている広告手法です。

高解像度液晶ディスプレイの普及や動画制作技術の向上により、鮮やかな映像で、乗客の視線を引きつけ、記憶に残る広告体験を提供できるようになりました。

電車内での動画広告とは？

電車内動画広告とは、電車内に設置された液晶ディスプレイで放映される広告です。毎日多くの人が利用する電車内では、平日の通勤・通学客から、土日祝日のレジャーや観光客まで、幅広い層へ自然にアプローチできるため、効果的な宣伝手段として注目を集めています。

以下は、主な電車内動画広告サービスの一例です。

• JR東日本「トレインチャンネル」

JR主要10路線およびゆりかもめで展開されている車両ビジョンです。通常の広告枠に加え、天気予報やニュースなど、さまざまなコンテンツと連動した商品設定も提供しています。

• JR西日本「WESTビジョン」

JR西日本エリアの電車内で、車両天井部やドア上に設置された19インチ・17インチ・20.7インチのモニターで映像を映す車両ビジョンです。トレインチャンネルと連動した放映プランも用意されています。

• 東京メトロ「Tokyo Metro Vision」

東京メトロ各路線の車両ドア上部に設置された電車内の車両ビジョンです。全9路線で展開されており、路線ごとにカスタマイズして放映できます。

電車内動画広告の特徴とメリット

電車内動画広告には、以下の3つの特徴とメリットがあります。

• 高い視認率とザイオンス効果（単純接触効果）
• ターゲティングの柔軟性
• 高解像度ディスプレイによるブランドイメージの向上

以下で、それぞれについて詳しく説明します。

高い視認率とザイオンス効果（単純接触効果）

電車内は密閉空間であり、乗客の目が自然と車両ビジョンに向かうため、高い視認率が見込めます。

通勤・通学者の多くが毎日同じ路線を利用するため、同じ広告に繰り返し接することになります。この反復により、心理的な「刷り込み効果」が生まれます。これは心理学では「ザイオンス効果（単純接触効果）」として知られ、同じものを見る機会が増えるほど、そのものへの好意や信頼感が高まる現象のことをいいます。

電車内動画広告の大きな特徴は、このザイオンス効果を活用し、継続的な露出を通じてブランド認知度と購買意欲の向上を実現できる点にあります。

ターゲティングの柔軟性

電車内動画広告の大きな強みは、路線、エリア、時間帯を細かく指定して広告を展開できることです。企画段階で「どの利用者層に訴求したいか」を明確にし、その層が多く利用する路線や時間帯を選択できます。

例えば、大学周辺の路線では学生層、オフィス街へ向かう路線ではビジネスパーソンが、観光スポット周辺の路線では国内外の旅行者が多く利用します。この「路線特性」を活用することで、求めるターゲットに効率的にアプローチできます。

また、時間帯によるターゲティングも効果的です。朝の通勤ラッシュ時と休日の午後では、利用者の属性や心理状態が大きく異なります。この特性を活かし、最適な時間帯に広告を配信することで、より効果的なメッセージ訴求を実現できます。

高解像度ディスプレイによるブランドイメージの向上

近年、車両内のディスプレイは高解像度化が進み、高品質な写真や映像を鮮明に再現できるようになりました。これは、ブランドイメージの構築において大きな強みとなっています。

また、従来の車内広告では静止画や簡易的なアニメーションが中心でしたが、山手線および横須賀線・総武線快速では、連続した液晶ディスプレイ（まど上チャンネル）を活用し、複数画面をシームレスにつなぐパノラマ映像演出が可能です。

映像表現も、単なるスライドショーにとどまらず、ストーリー性のある短編映像、臨場感豊かな実写動画、ダイナミックなアニメーションなど、多彩なクリエイティブ展開が実現できます。この質の高い映像と多様な演出により、ブランドイメージを効果的に高められます。

電車内動画広告の出稿方法

電車内動画広告を出稿する際の主なプロセスについて、以下のステップごとに説明します。

1. 問い合わせ・要件定義
2. 空き枠確認・見積依頼
3. クリエイティブ企画・制作
4. 鉄道会社の審査・契約
5. 放映開始・効果検証

なお、具体的な要件や条件は鉄道会社や広告代理店、路線により異なるため、事前の確認が必要です。

1.問い合わせ・要件定義

まずは、電車内広告を取り扱っている広告代理店や、該当路線のメディアレップ（媒体社）に問い合わせます。これらの代理店は鉄道会社と提携しており、広告枠の管理やスケジュール調整を担当しています。

問い合わせ時には、以下の項目を明確に伝えるとスムーズです。

• 希望する路線および区間、放映期間
• 動画広告の秒数・本数
• ターゲット層や訴求したい内容

これらの情報に基づき、代理店からは取り扱い可能な広告枠、料金プラン、参考事例などの資料が提供されます。

2.空き枠確認・見積依頼

広告代理店は指定された路線や期間での空き広告枠を確認します。鉄道会社や季節によって空き状況は異なり、別の路線や期間を提案されることもあります。

空き枠が確定すると、路線・期間ごとの費用見積もりが提示されます。なお、広告掲載費は、路線の利用者数、主要乗降駅の特性、放映期間、動画の長さや放映回数などによって異なります。

3.クリエイティブ企画・制作

実際の動画制作にあたっては、鉄道会社や取引先代理店が提示するフォーマット・仕様（解像度、ファイル形式、音声有無、ビットレートなど）に従う必要があります。

多くの場合、電車内は音声を出せない、または音声があっても聞こえにくい環境のため、視覚的なメッセージ訴求が重要です。

例えば、テロップや字幕、アイキャッチとなるグラフィックスを工夫して、音声なしでも情報が伝わるクリエイティブを制作します。

4.鉄道会社の審査・契約

完成した広告動画は、鉄道会社や関連する審査機関によるチェックを受ける必要があります。

審査基準には以下が含まれます。

• 公序良俗に反しない内容
• 誇大広告や虚偽表現の排除
• 鉄道会社独自の業種規制（例：ギャンブル、特定の医薬品、アルコール広告など）への適合
• 指定フォーマット・品質基準への適合

審査を通過後、正式な契約を締結し、放映スケジュールが確定します。

5.放映開始・効果検証

鉄道会社へ最終版データを提出し、スケジュールに沿って放映が開始されます。放映後は、広告効果検証を行います。効果検証には以下のような方法が考えられます。

• 広告で訴求した商品・サービス名の検索数増加状況モニタリング
• SNSやオンライン上での関連投稿・ハッシュタグの使用状況や反応確認
• アンケート調査や店舗来客数・購買数推移の測定

以上のプロセスを通じて、電車内動画広告出稿が行われます。ただし、詳細な要件や申請手順は路線や鉄道会社、代理店によって異なるため、公式情報の確認や担当者への問い合わせが不可欠です。

電車内動画広告の費用目安

電車内動画広告の費用は、広告商品のフォーマットや放映期間によって異なります。また、広告費用は路線ごとの利用者数や乗客属性、放映時間帯によって変動します。

以下は、JR東日本が展開する「トレインチャンネル」における、単線プランの料金表です。

【単線プラン】※共通条件：放映期間1週間、スポットCM（15秒）

路線名	広告料金
中央線快速	1,100,000円
京浜東北線・根岸線	990,000円
中央線・総武線各駅停車	800,000円
埼京線	550,000円
京葉線	350,000円
横浜線	300,000円
南武線	300,000円
常磐線各駅停車	200,000円

参考：jeki 株式会社ジェイアール東日本企画「デジタルサイネージ トレインチャンネル 単線」
JR西日本「WESTビジョン」や、東京メトロ「Tokyo Metro Vision」も同様に、公式サイトや広告代理店を通じて料金表を確認できます。なお、実際の料金・プランは更新される場合がありますので、最新情報は必ず公式サイトや資料でご確認ください。

クリエイティブ制作の費用目安

電車内動画広告の制作費用は、クオリティや内容によって大きく異なります。

以下の表は参考価格帯です。

価格帯	動画の内容
約10～30万円	・写真や画像素材を元にしたスライドショー ・文字やロゴを少し動かす程度のシンプルな動画
約30～80万円	・短い実写映像 ・簡易的なアニメーション（イラストや図形）
約80～200万円以上	・本格的なCGアニメーション、特殊効果 ・モデルや芸能人を起用したハイエンドな動画

費用を抑えたい場合

• 写真や画像を効果的に活用する
• テロップやシンプルなアニメーションで情報を伝える

予算に余裕がある場合

• 実写映像でインパクトを与える
• 高品質なアニメーションで視聴者の注目を集める

電車内動画広告クリエイティブ制作のポイント

電車内動画広告は、無音環境や短尺という独自の条件下で、乗客の視線をいかに引きつけるかが重要です。効果的なクリエイティブを制作するために、以下のポイントに着目しましょう。

• 音声なしでも伝わる映像設計
• ターゲットに合わせて訴求内容を最適化
• ディスプレイ配置を活かした映像演出
• WebサイトやSNSとの連携でさらなる効果を狙う

それぞれについて説明します。

音声なしでも伝わる映像設計

電車内では音声が流れない、または極めて聞き取りにくい環境であるため、音声に頼らず視覚情報だけでメッセージを伝える映像設計が求められます。

具体的には、文字やテロップのサイズや配色、画面内での商品ロゴや問い合わせ先URLの常時表示などが有効です。また、短尺広告の場合、冒頭3秒でインパクトを与える構成を意識することで、視聴者の注意を引きつけやすくなります。

ターゲットに合わせて訴求内容を最適化

路線によって利用者の属性が異なるため、ターゲットに合わせて訴求内容を最適化しましょう。

例えば、ビジネス路線ではB2B向けサービスや転職サービス、学生の利用が多い路線では学習塾やSNS映えする商品PRなど、訴求内容を使い分けることが効果的です。

また、曜日や時間帯も考慮することで、特定のターゲット層により響くメッセージを届けられます。

ディスプレイ配置を活かした映像演出

電車内のドア上部に設置されたディスプレイは、乗客の目線が自然にやや上を向く位置にあります。この視線の特性を考慮した映像演出を行うことが、効果的な情報伝達につながります。

例えば、動画内の動きにおいては、上下よりも左右の動きを基調としたデザインを採用することで、自然な視認性が向上し、乗客の注目を集めやすくなります。

さらに、動きにリズムを加えることで、映像に躍動感とメリハリが生まれ、単調さを回避しつつ、視覚的なインパクトを強化できます。

WebサイトやSNSとの連携でさらなる効果を狙う

電車内動画広告の効果を最大化するには、WebサイトやSNSとの連携が重要です。動画内に簡潔で記憶に残るキーワードやURLを表示すれば、視聴者をスムーズにオンラインへ誘導できます。こうした工夫により、広告効果をデジタル領域へ広げ、より多くの潜在顧客と接点を持つことができます。

電車内動画広告の事例

以下に、電車内で実施された動画広告の具体例をご紹介します。

【企業紹介】エフサステクノロジーズ株式会社

企業理念や提供サービスが、簡潔かつ分かりやすい表現で紹介されています。

※他社の事例です。

【スポーツ】FC東京

選手たちの迫力あるプレーやファンの熱狂的な応援を印象的に描き出し、視聴者の感情を揺さぶることで、試合観戦への意欲を掻き立てています。

※他社の事例です。

【ゲーム】レーシングマスター

ダイナミックなカット割りや効果的なエフェクトを駆使し、視聴者の興味を強く惹きつける工夫が凝らされています。

※他社の事例です。

【ガジェット】Jabra Speak2

連続した液晶ディスプレイ（まど上チャンネル）の特性を活かし、横長の画面全体をダイナミックに使った迫力あるテロップ演出で、視聴者に強いインパクトを与えています。

※他社の事例です。

【通信】ソフトバンク

山手線で放映されることを踏まえ、動画内で山手線ゲームを取り入れています。媒体とコンテンツの親和性が高く、乗客の共感を呼ぶとともに、より強い印象を残す効果が期待できます。

※他社の事例です。

電車内動画広告で効果的なブランディングを展開しよう

電車内動画広告は、多様なターゲット層に訴求できる効果的なマーケティング手段です。その特徴である高い視認率、柔軟なターゲティング、そして高解像度ディスプレイによるブランドイメージの向上を活かすことで、企業のプロモーションを次のレベルへと引き上げられます。

VIDWEBでは、電車内動画広告をはじめとする動画制作や広告戦略のサポートを行っています。ターゲット層に響くクリエイティブなコンテンツの制作から、効果的なメディアプランニングまで、企業のブランディングを包括的に支援します。ぜひお気軽にご相談ください！