マニュアル動画作成に適したソフトウェアをピックアップしてご紹介します。動画形式で業務手順や操作ガイドを作る「マニュアル動画」は、視覚的に分かりやすく、効率的に情報を伝えることができます。この記事では、無料で使えるおすすめソフトを取り上げつつ、どのようなツールを選べばよいかのポイントも詳しく説明します。
マニュアル動画とは
マニュアル動画とは、製品やサービスの使い方、機器やソフトウェアの操作方法などを動画で説明したものです。マニュアル動画は、文字や写真・図だけでは分かりにくい内容を視覚的に伝えられることが特長です。また、音声(ナレーション)を加えることで、ユーザーは多くの文字を読むことなく内容を理解できます。
マニュアル動画は、インターネット接続環境やスマートフォンなどの普及に伴い、さまざまな分野で広く利用されるようになりました。現在では、人材教育や人材育成、ユーザーサポートなどを目的に幅広く活用されています。
マニュアル動画のメリット・デメリット
マニュアル動画は、文章や図だけで表したマニュアルよりも動きや手順をわかりやすく伝えられることがメリットです。ユーザーは、マニュアルから作業内容を正確に学ぶことができ、作業品質のバラつきも少なくなります。
一方、マニュアル動画にはデメリットもあります。例えば、動画の作成や編集には時間やコストがかかります。ユーザーはマニュアル動画を視聴するインターネット環境や端末も必要です。
このように、マニュアル動画にはメリット・デメリットがあることを踏まえたうえで、目的に応じて従来の「紙のマニュアル」と使い分けることが大切です。
マニュアル動画の詳しいメリット・デメリットは以下の記事を参考にしてください。
マニュアル動画を作成できるおすすめソフト / ツール
マニュアル動画を作成するには、カメラなどの撮影機材、動画編集ソフト、動画配信ソフトが必要です。
さまざまな選択肢がありますが、例えば
- 「汎用的な動画編集ツール」
- 「マニュアル作成に特化した動画編集ツール」
- 「編集・配信・学習管理など複数の機能を備えたツール」
などがあります。
ここでは、動画編集機能を持つソフトウェアを中心に「無料プランがあるソフト」「有料のソフト」に分けて紹介します(2023年9月執筆時点の情報です)。
無料ソフト(無料プランがあるソフト)
OS付属の動画編集ソフト
動画を手軽に編集し、マニュアル動画を作成したい場合に適しているのは、パソコンにもともと付属している動画編集ソフトです。OS付属の動画編集ソフトは、Windows 10であれば「Microsoftフォト」、macOSやiOSであれば「iMovie」などが有名です。また、Windows 11からは「Microsoft Clipchamp」というアプリケーションが標準装備されています。いずれも無料で使え、基本的な動画編集には十分対応できます(一部有料プランもあります)。
Vrew(ブリュー)
AIによる音声認識で自動生成された字幕を編集することで、動画編集ができるソフトウェアです。不要なセリフのテキストデータを削除すると、動画の該当部分もカットされます。出演者の発言をもとに文章を編集するように操作できるため、セミナー形式のマニュアル動画など、講師が口頭で説明している動画の編集におすすめです。音声分析120分まで無料で使用できます。
Lightworks(ライトワークス)
Lightworksは、ソフトをダウンロードし、ユーザー登録すると無料で使用できる動画編集ソフトです(高度な機能が使える有料版もあります)。もともとはプロ向けの有料ソフトであり、無料版でも本格的な動画編集機能が揃っていることが特長です。そのため、初心者向けの簡単な編集ソフトを求めている人ではなく、ある程度、動画編集のスキルがある人におすすめのソフトです。
AirCourse(エアコース)
AirCourseは、標準的な動画研修コンテンツの受講とオリジナル動画の配信ができるeラーニングに特化したシステムです。システム上で動画の編集はできませんが、作成したマニュアル動画のファイルをアップロードすることでユーザーに配信できます。フリープランが用意されており、機能制限はありますが無料から使用できます。
有料ソフト
tebiki(テビキ)
スマートフォンなどで撮影した動画から簡単にマニュアル動画を作成できるツールです。音声認識による自動字幕生成機能、外国語への自動翻訳機能などが特長で、製造業や物流業、小売業など現場のノウハウをマニュアル化したい場合に向いています。
Teachme Biz(ティーチミービズ)
スマートフォン上でも簡単に動画を編集できるマニュアル作成ツールです。「矢印や文字を入れる」「動画の一部分を切り出す」などのマニュアル動画作成でよく使う機能が備わっており、誰でも使いやすいことがポイントです。動画配信や視聴状況を分析する管理機能もあります。
itutor(アイチューター)
itutorはパソコン上の操作画面を自動的にキャプチャしてマニュアルを作成できるツールです。動画を取り込んで編集することもでき、パワーポイントを編集するような感覚で、オブジェクトや文字を追加できます。ソフトウェアの操作方法などをマニュアル化したい場合におすすめです。
マニュアル動画作成ソフトの選び方
自社に合った動画マニュアル作成ソフトを選定するうえで、検討しておきたいポイントを紹介します。
操作環境が合っているか
ソフトウェアによって「パソコン上での編集を前提としているソフト」と「スマートフォンなどでも簡単に編集できるソフト」があります。ソフトウェアの操作を記録したい場合や高度な編集が必要な場合は前者が、現場で撮影した動画をすぐにマニュアル化したい場合は後者が適しています。
自動字幕機能など、制作を省力化できる機能があるか
マニュアル動画を作成できるソフトには、自動字幕機能、多言語への自動翻訳機能など動画編集を補助する機能が備わっている場合があります。作りたい動画の内容や求める機能、動画制作のスキルに応じて、便利な機能があるソフトウェアを選びましょう。
使用人数や制作する動画の量に合った料金プランがあるか
有償のマニュアル動画作成ソフトの場合、料金体系も重要な検討ポイントです。プランごとに使用できる機能やアップロードできる動画の容量、ユーザー人数などの制限があるため、自社の使用環境に適したサービスを選ぶことが大切です。
マニュアル動画の作り方(手順や流れ)
マニュアル動画の作成方法には、大きく分けて「自社で内製する」場合と動画制作会社などに「外注する」場合があります。内製・外注のそれぞれのメリット・デメリットは以下の記事を参考にしてください。
ここでは、内製する場合の手順を紹介します。
STEP1.マニュアル全体に必要な動画の本数や1本ごとのテーマを決める
マニュアル動画は、操作や作業の工程を切り分け、短い動画で構成するのがおすすめです。マニュアルで伝えたい内容を何本の動画に分けて作成するのかを考え、1本1本の大まかなテーマを決めます。
STEP2.1本1本の動画の詳細な構成を考え、必要な素材を集める
短い1本の動画をどのような内容にするか、詳しい構成を考え、動画制作に必要な資料や写真、動画などを集めます。
STEP3.台本や絵コンテを作成する
説明やナレーションを記載した台本を作成します。台本には、説明に対応するシーンの内容も記載しておくと良いでしょう。より専門的に動画を制作する場合は、絵コンテも作成します。
STEP4.動画の撮影・編集をする
実写が必要な内容の場合は、動画の撮影をします。撮影した動画や集めた素材をもとに動画を編集します。
STEP5.視聴環境に動画をアップロードする
上記で紹介したような動画配信機能のあるソフトや動画共有プラットフォームなどを利用して、動画を配信します。
マニュアル動画を効果的に作るポイント
最後に、マニュアル動画をより効果的に制作するためのポイントを紹介します。
誰が見るかを意識してわかりやすさや専門性を調整する
マニュアル動画の内容を検討する際は、視聴するユーザーのレベルに合った難易度を意識することが大切です。「初めて業務にあたる人にわかりやすく」「専門知識のある技術者のスキルアップに」など用途や目的を明確にして制作するようにしましょう。
動画の尺を短くする
長い動画は手軽に視聴できず、ユーザーも飽きやすくなります。マニュアル動画は、1本の長い動画で複数のテーマを伝えるのではなく、作業工程や業務テーマごとに短く切り分けた複数の動画で構成することが大切です。
手順や操作をテロップやアニメーションでわかりやすく表現する
口頭の説明や単調なナレーションだけでは、視聴者に注目してほしいポイントが伝わりません。重要な箇所をテロップで強調したり、手順をアニメーションで表示したりするなど、動画ならではのわかりやすい表現を工夫しましょう。
まとめ:マニュアル動画の制作には無料ソフトを有効活用しよう
この記事では、マニュアル動画の作成に役立つ無料ソフト・有料ソフトをまとめて紹介しました。
どのソフトが適しているかは、作成したいマニュアル動画の内容や用途によって異なるため、自社の目的を明確にしたうえで最適なソフトを選びましょう。